サッカー審判TIPS(735) スローインの悲劇 | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(735) スローインの悲劇

 

ネットのニュースで見た映像。

ロシアで行われた試合で、スローインの際に目の前から離れずに邪魔をしている相手選手に対してその顔面にボールをぶつけたというプレーがあったそうだ。

競技規則では、相手競技者は2m以上離れなければならないとされている。

規則に具体的に距離が明示されるようになる前は、投げ入れる選手の前でジャンプしたり何らかの動作をして邪魔をした場合にのみ警告されるという扱いだった。だが、今では立っているだけでも2m以内の至近距離の場合は警告対象だ。

このケースでは、映像を見ている限りスローワーは何度か投げようという動作をしたが相手選手がどこうとしなかったので業を煮やしてぶつけたようである。

主審としては、あるいは近くにいる副審が相手競技者が離れようとしないのを認識したらその競技者に離れるように口頭でもよいから速やかに注意すべきだったろう。

それだけの時間はあったように思えるし、主審あるいは副審が注意するのが聞こえたらスローワーも顔面にボールをぶつけるという暴挙には出なかっただろう。そのまま相手が下がらなければイエローカードが出るのだから。

 

で、ぶつけたスローワーは退場だ。理由は「乱暴なプレー」。手の代わりにボールで相手の顔面をなぐったのと同じことになる。

いっぽう、相手競技者が背中を向けている場合にスロワーが相手の背中に(過剰な力ではなく)ボールを当ててそのリターンボールをプレーするのはかまわない、と競技規則に出ている。相手競技者は自分の背中に突然ボールが当たったらびっくりするだろうし、これ幸いと痛がる(ふりをする)かもしれない。

でもそのスローインは正しいプレーなのだということがわざわざ書かれているのが面白い。

そんなプレーを見てみたいものだが、自分が審判をやっているときには起こらないでほしい。

 

ニュ―スの出典↓ (いつまでリンクが有効かわかりませんが)