サッカー審判TIPS(692) 長友のハンド? | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(692)
長友のハンド
 
アジアカップオマーン戦で、ペナルティエリア内で相手の攻撃を防ごうと飛び込んだ
長友選手にボールが当たりコーナーキックとなった。
しかしながら、この場面が放送でスロー再生されたところを見たらどうも腕に当たって
いるように見える。
 
「ハンドの反則」とよく言われるが、正しくはハンドリング(handling)だ。Handle、つまり
手で扱うということが反則と見なされる。単に手に当たっただけで一律にハンドリング
の反則になるわけではない。
「手や腕がボールに向かって動いたのでない限り」反則ではない
 
DFが自分からボールに向かって手や腕を動かしたかどうか。
・広げた腕や手(不必要な位置にあることになる)にボールが当たったか。
ということだろう。
 (腕が身体に付けられている場合は不必要な位置とは見なさないと思う)
 
やっかいなのが、至近距離からボールが向かってきたため広げた腕がよけ切れなかった
ケース。これは主審の裁量となるのだろう。
 
それで思い出すのは20101012日の日韓戦。
松井のクロスがペナルティエリア内で韓国DFの手に当たった。
主審のイルマトフ氏(ウズベキスタン)PKを取らずプレーを流した。
この判定は物議を醸し、翌日のスポーツ新聞でも写真が掲載された。
その写真では明らかに腕が身体から離れていた。
 
広げた腕ではあるが至近距離のため避け切れなかったと判断したのだろう。
今回の長友のハンド(らしきプレー)も身体から腕が離れているように見えたが、避け切れ
なかったと判断されたのでハンドリングと判断されなかったのではないかと推察する。
 
では、身体から離れていた腕がボールに当たりPK・退場となったロシアW杯のコロンビア
のDFはどうなのか。
至近距離のため避けきれなかったといえるほど近い距離ではなかった。
香川選手のシュートを胸か肩に当てようと腕を広げてボールに向かっていた。
腕がボールに向かっていたためハンドリングと判定し、手による決定的得点機会の阻止の
ためPK、そして退場となったのだろう。 
 
ハンドリングの判定は難しい。
が、手に当たったのを主審が見ていながらも反則を取らないケースもあるのだということがある程度
浸透してきたのだろうか。「あの程度では取らないよね」と冷静に見れるファンも増えているように思う。