サッカー審判TIPS(688)
犬も歩けばボールに当たる
今週のサッカー関連ニュースで私のツボだったのは、モドリッチのバロンドールでもなく、天皇杯決勝の組み合わせが決まったことでもない。
やはり、犬がピッチに乱入してシュートをブロックしたという話だろう。
アルゼンチン3部リーグの試合で、無人のゴールに向かっていたシュートをゴール前を横切った犬がブロック。
正しくは、シュート「が」犬「に」当たったというべきだが。
状況はこうだ。
ゴールキーパーがパントキック。それを体に当ててブロックしたフォワードの選手。
足元に落ちたボールを無人の(はずの)ゴールに向かってシュート。
ボールはゴール前を横切った犬に当たり跳ね返った。(そのボールを両軍がどう処理したかまではわからない。ゴールラインを割ったようにも見える)
犬は倒れることもなく反対側のゴールラインから出て行った(ように思える)。
犬がサッカーの試合中にピッチに入るということ自体珍しい。
さらに、その犬がボールの争点に近いところにいるということもさらに珍しい。
ましてやボールが犬に当たる。しかもそれがあわや得点というシュートだったりする。
その確率たるや天文学的に低い数字になるだろう。
そして、このような場合に主審はどうするかということまで競技規則には書かれている。
今年(2018/2019)の競技規則第5条(65ページ)を見てみよう。
一番下の部分に外部からの妨害があった場合の対応について書かれている。
曰く、
「試合中、試合球以外のボール(少年の試合なんかで隣のピッチから飛んできた球ね)、その他の物(プレミアではビーチボールが入ってきたことがあった)、または動物(ほらこれだ)が競技のフィールドに入った場合、主審は:」
プレーが妨害された場合に限り、プレーを停止しなければならない。(ドロップボールで再開) (後略)
つまり、この試合では犬に当たった場所、これはゴールエリア内なのでゴールラインと平行なゴールエリアのライン上でドロップボールを行なうことになる。
たぶん実際の試合でもそういうことになったのだろう。
妨害された得点はホームチームのシュートだったらしい。
しかし試合はホームチームが勝利したため犬は痛い目にあわずに済んだとか済まないとか…。
※なお、ゴールキーパーのパントキックの際にフォワードの選手がキーパーの邪魔をしなかったかどうかも
争点になると思われるが、動画を見る限りキーパーの真ん前に立って邪魔をしたようには見えない。