サッカー審判TIPS(349)
素早いFK
3月6日(土)のJリーグ開幕戦。
ガンバ大阪vs名古屋グランパス。
ハーフウェーライン付近で名古屋のケネディがファウル。ガンバの遠藤がFKを蹴ろうとしたところケネディが離れなかった。主審(岡田正義氏)が一旦止めた。
ケネディは近づくのは止めたが十分に離れてはいなかった。
遠藤が素早く味方に出そうとしたが、離れ際にケネディが出した足にボールが当たった。
ケネディにイエローカードが出された。
FKのときに規定の距離を離れない場合は「規定の距離を守らない」ということで警告をすることになるのでこの対応は間違いない。
しかしながらルールブック123ページに「距離」と題した項目があり、そこにはこう書かれている。
競技者がフリーキックを素早く行なって、ボールから9.15m離れていない相手競技者がキックを妨害することなく、ボールをインターセプトした場合、主審はプレーを続けさせなければならない。
競技者がフリーキックを素早く行なおうとしたところ、ボールの近くにいた相手競技者が意図的にキックを妨害した場合、主審はプレーの再開を遅らせたことでその相手競技者を警告しなければならない。
つまり、最初にケネディが離れなかったので主審が離れるように促したのは、上記2段落目のようなことが起きそうだと判断しそれを未然に防ぐ目的で注意をしたものと思われる。
そしてそれに従って離れようとしたケネディが、たまたま自分の足の届く位置にボールが蹴られたので足を出した、というように見えた。
これは上記1段落目にあるようにキッカーが蹴るのを妨害したわけではなく、9.15m離れていない位置に相手競技者がいることを承知で蹴ったキックにたまたま足が届いたということなのではないかと思えた。
だから、ケネディが悪いのではなく足が届きそうなところにボールを蹴った遠藤のミスではないだろうかという見方ができるとも思える。
背が高く足が長い外国人選手を相手にするとき、日本人相手と同じようなコースに蹴ったら足が出てカットされるということを国際経験豊富な遠藤が知らなかったということは考えにくいのだが…。
だから、このプレーは何も考えずに「あ、ケネディは距離を守らなかったから警告だったんだね」と見ていればよかったのだが、ちょっと捻くれた人だと上記のようなことを言うかもしれない。(オレだろ)
などということを思ったプレーでした。