サッカー審判TIPS(215)
3級審判研修会(2)
前回に引き続き、8月9日に行なわれた研修会のテスト問題から抜粋してみよう。
引っ掛け問題がいくつかあった。
あっていれば○、間違っていれば×をつける問題。
(1)任意のマークはコーナーフラッグポストから10.15mのところにつける
(2)試合中に交代要員がピッチに入ってきた。主審は「無断進入」として警告をした
(3)けがの確認やけが人の搬出のために要した時間をロスタイムに加えるかどうかは主審の裁量に任されている
さて、いかがであろうか。
答えは○××です。
(1)9.15mという数字は10ヤードなのでよく出てくるが、10.15mという数字はなじみがない。だから×をつけそうになるが、これは正しい。「任意のマーク」とはコーナーキックのときに守備側選手がこれ以上近づいてはいけないというポイントを示すためのマークである。フリーキックのときに守備側は9.15m離れなければならないというのはご存知だろう。コーナーキックも9.15m離れなければならないが、その距離はボールから計測する。ボールはアーク内のどこに置いてもよいのだから、アークの中で一番ゴールに近い位置すなわち半径1mのアークのゴールライン上でゴールポストに近いところに置いたと仮定してそこから9.15mの位置、すなわちフラッグからだと10.15mの位置にマークされるのだ。
(2)無断進入で警告ができるのは「競技者」に対してだけ。交代要員はまだ「競技者」になっていないので「無断進入」の理由で警告を与えることはできない。
ルールブック第12条「ファウルと不正行為」の中に「警告となる反則」として競技者に対しては7項目、交代要員または交代して退いた競技者に対して3項目の反則が書かれている。
交代要員に警告できるのは次の場合である。
・反スポーツ行為
・言葉または行動による異議
・プレーの再開を遅らせる
(3)けがの治療に要した時間は空費された時間として必ず加えなければならない。
第7条「試合時間」のところに、次のことで時間が空費された場合、前後半それぞれ時間を追加するとある。「次のこと」の場合は必ず追加しなければならないのだ。
・競技者の交代
・負傷の程度の判断
・治療のためのフィールドからの退出
・時間の浪費
・その他の理由
ただし、どれだけの時間を追加するかは主審の裁量である。上記の理由によるロスタイムをまったく加えないということはできない。