サッカー審判TIPS(170)
笛の使い方(2)
ラインを割ったことを表わす笛と反則を告げる笛が同じ吹き方で良いわけがない。
また反則であってもたまたま手に当たったような悪意のない反則と、イエロー覚悟で削りにいった反則も同じ吹き方にはならない。
笛は主審の意思を乗せて吹くものであり、その強さや長さでそのプレーに対する判定の表現をしなければならない。
具体的には、
キックオフ…「始めーっ」ぴーっ
オフサイド…「はい、オフサイド」ぴーっ
ラインアウト…「おいおい、ライン割ってるよ」ぴぴぴぴぴ
規定の距離…「はい、壁下がろう」ぴぴっ
プレー再開…「始めーっ」ぴーっ
悪意の無いファウル…「あー残念。ファウルだ」ぴっ
悪質なファウル…「こらーっ」ぴーーーーっ
小競り合い…「やめなさいっ」ぴぴっぴぴっ
タイムアップ…「はーい、お疲れさん」ぴっぴっぴーっ
というような感じでしょうか。
文字で笛の音を表わすのには限界があるから、とにかく意思を込めるということを意識して練習をしておくとよい。
また、実際の試合で吹いたときも同僚や周りの人に「何か気づいたことはあったか」を常に聴く謙虚な姿勢が望まれる。
そうやって聞かれれば「そういえばもう少し大きく笛を吹いたほうがいいよ」とか「背を向けずにバックステップで移動したらもっとよかったのに」などと言ってくれる人もいるかもしれない。
普通はそう思ってもなかなか自分から言ってくれるケースは少ないので自分からアドバイスを求めることで自分ではできていたと思ったことでもまだ不十分だということを発見できる場合もる。
私は自分では十分大きな音量で笛を吹いていたと信じていたが、あるとき「もっと大きく吹いたほうがいいよ」と言われたことがあり、客観的に見ている人のアドバイスや感想は大切だと実感した。
今はこれまで以上に強く吹くことを心がけている。
話がまた脱線した。
最後のタイムアップの笛はいろいろなスタイルがある。
ラジオ体操みたいだが、最初の「ぴっ」で両手を水平に伸ばし、次の「ぴっ」で両手を垂直に伸ばし、最後の「ぴーっ」で揃えた両手を体の前に伸ばして両手の指先でセンタースポットを指す、という方法を最近では使っている。
左で笛を持ち、右手を頭上に上げて「ぴーーっ」、センタースポットを指して「ぴぴーーっ」なんてのもよいかもしれない。
特に決まりはないので見苦しくなければ何か自分ならではの特別なスタイルを作ってみてはいかがでしょうか。
Jの試合や海外の試合をテレビや観客席で見たときに最後の審判の動作が映ったら今度は注目してみよう。