サッカー審判TIPS(155) 延長戦にあたって | サッカー審判KenKenのブログ

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延長戦にあたって


前後半戦って引き分けに終わった場合、トーナメント戦などで勝者を決めなければならないことがある。
勝者を決めるためにはいくつかの方法がある。
もっともポピュラーなのがペナルティマークからのキックである。PK戦、PK合戦などと言うこともある。合戦なんて古い言葉がサッカーで生き残っており、小学生が使っているなんてちょっと感慨深い。
しかしながらこれは罰則として相手に与える試合中のPKとは違うので「ペナルティマークからのキック」と言うのだ。
(これは以前の日記にも書いた)

うしろの試合のスケジュールが詰まっていなければ「延長戦」も時たま行なわれる。
特に高校サッカーや大学サッカーではよく見かける。プロの試合ではほとんど行なわれていないのではないだろうか。
その延長戦、ルールブックには「それぞれ15分を超えない範囲で前後半同じ時間の延長戦を設けることができる」と書かれている。

●いくら体力があっても延長戦を前後半20分ずつやる、ということはない。
●15分一本勝負の延長戦というのもない。必ず前後半やるということ。

この前後半必ず行なうということは、たぶん両方のピッチ状態が異なる場合や太陽の向き、風向き、両方の副審の技量差などを考慮し、どちらのチームにも同じ条件で攻守を行なわせるという意図があるものと思われる。
一時期Jリーグでも行なわれていたVゴール方式(どちらかがゴールした時点で試合終了)は今はどこのリーグも採用していない。たとえば、一方のチームがぬかるんだゴール前で守らなければいけない状況で点を取られたとなるともう一方のチームにも同じ条件(ぬかるんだゴール前で守る機会)を与えなければ不公平である、という精神が根底にあり、Vゴールで試合が終わってしまっては不公平だからということで今は採用されていないのではないかと個人的には考えている。

で、延長戦は「新たな前後半の試合の開始」なのであらためてコイントスを行ない、勝ったチームが攻めるエンドを決め、負けたチームがキックオフを行なうという通常の試合開始と同じ手順で進むのである。