10月19日(日)に行われた京都vs湘南での出来事。
前半終了間際、ロングボールに抜け出した湘南の選手が京都のDFにスライディングで倒された。
決定的得点機会の阻止(Denying an Obvious Goal Scoring Opportunity : DOGSO)という判定で即座に笛が吹かれ、DFにレッドカードが提示された。
ところが、画像を見てもわかるように後ろから走りこんだ湘南の選手がこぼれたボールに向かっている。
このままGKと1対1になりそうな局面だ。
この状態であればプレーを流して得点を狙わせてくれた方が湘南としてはありがたかったのではないだろうか。ゴールまでの距離や角度、追いかけてくるDFとの距離、得点の可能性は高いと思える。
DOGSOの状況であっても主審の判断でプレーを流すという選択肢もあるはずだ。
その場合は流した場合はプレーが途切れたところでファウルを犯したDFに対してイエローカードを出す。
アドバンテージを適用したことによって懲罰を一段階下げる。
(シュートが入っても外れてもイエローカード)
主審は「アドバンテージ」または「プレーオン」と発声し両手を前に出すジェスチャーを行う。できればファウルを犯した競技者に「〇番、後で警告!」と言い残しておけるとベスト。
流すかどうかは主審の判断だ。攻撃側の都合は考慮されないし、攻撃側に希望を聞くわけにもいかない。
GKと1対1になる可能性が高いが今回はプレーを続けさせてもらいその後も11人対11人で戦うのがよいか、それよりも相手を10人にしてしまった方がよいのか、は以下のような要素で判断できるのではないか。(しないけど)
なお、通常は得点の方がうれしいと思う。
「得点差」(この1点が入れば勝てる)、
「GKと1対1になる選手の技量」(GKの方が格段に上手い、追いかけてくるDFが俊足)、
「退場となる相手選手の重要度」(こいつはDFラインのキーマンだ)、
「時間帯」(開始直後だと相手が10人になるととても有利、終了間際なら得点機会の方が重要)
などの条件を考えて判断できるとしたら、攻撃側サポとしては「よくぞ流してくれた」にもなるし「流さずに一発退場のほうがよかったかも」のどちらにもなり得るのではないか。
(個人の感想です)
ここで復習。DOGSOの判定が成立するためには、以下の4つの条件が考慮される。
(1)ゴールへの距離
(2)プレーの方向
(3)守備側競技者の数と位置
(4)ボールをキープまたはコントロールできる可能性
以下はそれぞれの番号に対応した説明
(1)’ もしゴールから遠くても、例えばハーフウェーライン付近で飛び出した相手選手にDFが付いていけず独走できるような状況で、それをファウルで阻止した場合はゴールから遠くてもDOGSO成立だろう。
ただしこれにもオプションがある。ファウルされてこぼれたボールを攻撃側の他の選手が拾いゴールに向かうとする。攻撃側のチャンスということでアドバンテージを適用したとしよう。しかしボールを拾った選手をファウルを犯した選手が追いかけるということがあり得る。
本来退場となるべき選手がプレーに関与し続けることになるのでこれはまずい。
(2)’ プレーがゴールから離れる方向に向かっている場合、例えばゴールから遠ざかる方向に流れたボールを追う相手競技者にファウルした場合などはDOGSOとは言えない。
(3)’ たとえGKと1対1になる可能性があるとしても、ボール保持者に向かう守備側競技者やゴールマウスのカバーに戻る守備側競技者がいた場合は決定的得点機会とは言えない。
(4)’ ファウルが無かったとしてもGKが先にボールを処理できたであろうと思われるような場合など
上記でDOGSOでないと判断された場合でもファウルで止めた場合は、フリーキックでの再開となり状況によってイエローカードが出たり懲罰なしだったりする。
DOGSOでない場合としてSPA(Stop a Promising Attack)という
用語がある。相手の大きなチャンスを阻止するプレーだがDOGSOの要件を満たさない場合に用いられ、レッドカードではなくイエローカードで処分される。アドバンテージが適用された場合にはイエローカードが一段階軽減されカードなしとなる。
なお、最初に戻って今回の京都vs湘南のケース。
「DOGSOとしてレッドカード」は判定としては正しいが、できればシュートがどうなるかまでアドバンテージを適用してほしかったというのが個人的な感想です。
ファウルを犯した相手選手が退場になり10人になるというのは攻撃側にとってはプレゼントではある。が、GKと1対1というプレゼントの方がワクワクするし外しても相手DFにイエローカードを与えることができるので悪くはない。
自分の経験談。ファウルを確認したらできるだけ速やかに笛を吹くように心がけているのだが、あるとき目の前で縦パスを出した選手にアフタータックル。すぐに笛を吹いたのだが、そのパスに反応した味方選手がDFラインの裏に飛び出していた。
もちろん飛び出した選手からは「流してよ~」という恨み言を言われてしまった。「ごめん、ごめん」と謝ったもののWait &Seeの重要性を認識した瞬間だった。
たとえ笛が一拍遅れたとしてもファウルを取ってくれたということなので不満にはならないだろうけれども…。
アドバンテージの適用があり得る場面なのか、それこそプレーの方向を考えながらWait & Seeを実践したい。
