幕末に横井小楠という人物がいました。

こう言うと、

「なにした人?」

と聞かれることが多いのですが、ちょっと困ります。

坂本龍馬や勝海舟ならいざしらず、

「これこれのことをやった」

という実績がない人物が幕末には多いのです。

ですが、実績がないからと言ってたいしたことがなかったか、というとまったく違います。

雄藩には優秀な人物が多く、幕府や親藩には人材がいなかったような話をする人がいるようですが、そんなことはありません。

たとえば、和親条約が各国と結ばれる安政まで、オピニオンリーダーだったのは御三家水戸藩の後期水戸学です。

 

横井小楠は一言で言ってしまうと福井藩主・松平春嶽のブレインということになります。

当時、もっとも優れた国際的センスの持ち主のひとりだったと言えます。

 

具体的には、小楠はどんなことを考えていたのでしょう?

源円了の「実学思想の系譜」「徳川思想小史」に詳しい記載があります。

けっこう難しいのではしょって書くと、小楠は「富国」により国家の独立を保とうと考えたと言います。

さらに身分制の否定、議会制の肯定、血統による世襲政治の否定した点などは、アメリカの共和制と通じる部分があります。

国際的には武力の必要性を認めながらも、国家の平和的共存を理想とし、積極的貿易論を展開しました。

商社の結成を呼び掛けるなど近代的な考えの萌芽を持っていた人物でした。

 

ただ酒に飲まれる性質だったらしく、酒席での失敗は多かったようです。

頭はいいけれど、なんとも人間味のある人物でした。

小楠の思想について、もっと詳しく知りたい方は、兄弟ブログ 大江戸百花繚乱PARTⅢ をご覧ください。