先週末は、京都府の北部・京丹後市にある私の実家に帰省していました
こんにちは、京都市山科区で
夫と2017年生まれの娘の3人暮らし
着付け講師のきむら くみこ です
白生地の『丹後ちりめん』で有名な丹後ですが、京都・西陣の帯の下請けである『出機(でばた)』も多く、私の母も自宅と繋がっている機屋で、帯の生地を織っています
こんな機械で織ります
(機の前側)
ガチャンガチャンと、すごい騒音の中でのお仕事
昔、着物業界が元気だった昭和30~40年代頃は、”ガチャンと織ったら一万円”という、『がちゃまん景気』に沸いた時代もあったそう
実家でも、多い時は4台の機を動かしていて、景気の良かった当時は月に60万円ほどの収入があったとのこと
母の織った帯たち
私が子供の頃は、近所のどこを歩いても機の音がするような地域でしたが、今では不景気と着物離れで出機も激減し、織機を処分してしまった方も多いのだとか...
10丁機という、緯糸(よこいと)を入れた杼(ひ・シャトル)を10本分セットできるこの織機は、母が毎月の工賃から天引きで購入したそうです
元請けからのリースで機械を借りる人もいたそうですが、会社の都合によっては引き上げられてしまうこともあったそうで、購入しておいて良かったと話していました
母も一時期は出機を止めていたこともありましたが、織機は残していたので、今稼働しているのは1台のみですが、ぼちぼちお仕事があるようです
その機の後ろ側はというと、こんな風に経糸が通っています
今回の帰省は、ちょうど母の機の経糸が無くなるタイミングと重なっていて、素人でも手伝えるものなのか聞いてみたところ、
糸が結んであればいい
少々緩んでいても、後で引っ張って調節できるから大丈夫
とのことだったので、はじめて私も手伝ってみることに
整経(せいけい)屋さんからの新しい経糸(たていと)のロールを機械にセットして、今、機にかかっている経糸とつないでいきます
その数、なんと3,600本
上下交互にセットされてる細い糸を、順番を間違えないように端から1本ずつ取って、左からの糸(以前から使っていた機械につながっている糸)と、右からの糸(新しく使う糸)を結んでつなげていきます
細い糸がするする滑るので、途中指先にハンドクリームを塗りながら結んでいきます
が、それでも細い糸は扱いにくく、2本をまとめて結ぶのが予想以上に難しい
私が何度もやり直している間に、母は次々に結んでいきます
一緒に見ていた7歳娘もやってみることに
![笑い](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/674.png)
母は、止め結びという、2本をまとめて1回結ぶやり方でやりますが、娘は、固結びという、いわゆる普通の結び方で2回結びます
母は、
早くないよ、もっと早い人はなんぼでもおる
と言いますが、それでも早い
早さの違いを、動画でどうぞ
下に黒い布が敷いてあるのは、白い糸を見えやすくするため
母によると、
白糸の方がよく見えるが、汚れが目立つ
黒糸は細く感じ、見えにくい
とのこと
ちょっと試しにやってみた夫は、1本も結べずギブアップ
袋帯を60本分ほど織れる長さの経糸
1日2本のペースで織るとすると、1ヶ月ちょっとでセットした経糸を使い切るんだとか
その度に、毎回この作業が必要とは・・・
当時は、田舎では珍しかった会社勤めや公務員などの家を除いて、ほとんどの家が機織りをしていたといいます
なので、私が子供の頃は、夜に近所のおばあちゃんがアルバイトとして、この経糸つなぎを手伝いに来てくれていました
(たてつなぎは機械を動かすわけではないので、夜にやってても近所迷惑になりません)
2人がかりで作業すると早いけれど、今は手伝ってくれる人がいないので、母一人でやっています
3600本の糸を全てつなぐには、丸1日かかるそうです
出来上がった製品を納品して工賃をいただく歩合制なので、こんな作業も含めると、時給200円ほどになるとのこと
「たてつなぎ」子供のころから聞き馴染みのある言葉でしたが、こんなに大変な作業だったとは・・・
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