京都の着付け教室 きものシャン
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講師はマクスを着用いたします。
こんにちは 京都の着付け教室 きものシャン 講師の原 です。
本日は、世間での着付け指導講師のイメージと無料着物教室の販売会について、ふざけたタイトルでお送りします笑
・着付け教室の先生の圧が強かった。
・初心者なのに総額100万円近くのものをすすめられた。
・販売会で購入した人とそうでない人について、先生の態度が違った。
・なんだかんだで、着付け教室つかれた、こわかった。
そんなネガティブな元生徒様の声、少し前まではよく聞きました。済んでしまったことなので「おつかれさまでした」としか言いようがなく、そこで挫折しちゃったパターンもふくめて、うちに入門してもらって再出発という人もおられます。
でも皆さん、その先生に従順な生徒さんばかりだと思いますか?笑
販売会があるとなると、それまでに生徒さん達が先生に対して、尊敬、信頼、言われたことは素直に聞くような状態にしていかなければならないということで、先生達もあれこれ四苦八苦しながら日々を過ごしておられます。
しかしながら、着付け教室、たまに無法地帯化することもあり。
今日お話しするのは今から30年ほど前の「先生もつらいよ」なエピソードです。
ちなみに今は教室も少人数制が当たり前になっており、1人の先生に対して4名とかそんなものが一般的らしいんですけど、昔は1人の講師に8名とか、かなり多かったので、教室の秩序を保つのがなかなか大変だったようです。
すべて実話。私が目撃したものもあれば、「もー原さんちょっと聞いてよ」と先生から愚痴・相談を聞いたものなども含みます。
※私は生徒であったり、講師の友人であったり、取引業者であったりという立場です。全国いろいろ出張していた時代なので、地域は関西に限りません。
「着付けの先生もつらいよ」
①手作り命の「すてきな奥さん」
とにかく、すべて手作りをつらぬく生徒さん。
腰紐はご自身が使用して伝線してしまったストッキングやタイツなど。長さが足りない、締まりすぎてしまうからモスリンの腰紐を買って、と先生がいくら言っても聞きません。
帯枕はトイレットペーパーの芯。
襟芯は新聞広告を折りたたんだもの。
和装ブラは娘さんが昔使っていたというスポーツブラ。
着物は全て骨董市で買ってきたサイズのかなり小さいものばかり。当然ながら、着付けがうまく行きません。
でもめっちゃ質問魔で、彼女のカットインが激しく全体のレッスンがなかなか進まない、小物を買ってくださいというと事務局に長時間のクレームという、かなりの強キャラ。
でも節約が主婦の美徳として、様々なメディアでよく取り上げられていた時代でした。
素敵な奥さんっていう雑誌で、子供のおもちゃを牛乳パックや生肉のトレーで作ると企画を見たこともあります。
限られたお金の中で家族のために何かする、それは素晴らしいことだけど、習い事には向いていませんね^^;
販売会には欠席されたそうです。
②「どっこいしょ」おばあちゃん
無料着付け教室だと、やはり「暇だから来た」という人が多くなります。
ただ高齢者の方が販売会で着物を買う率も高く、教室側も70代の主婦層を多く受け入れていました。
今では考えられませんが、この時代は信販もゆるくて、72歳 無職(主婦)でも60回ローンとかどんどん通っていたのです(!)
ご年齢的に、集団でのレッスンだとすぐ疲れてしまう。先生も無理に「立ってください」とは言えないのですが、
「どっこいしょ」と座ってレッスン中におしゃべりを始めるグループもおられ、教室の一体感ゼロなパターンもありました。
③戦前着物推進派
こちらも高齢者ゾーンなのですが、「私が子供の頃は」「うちの母は」と現代の着物と違う昔の庶民の着方を持ち出して、先生に異議を唱える生徒さん。
昔と今では生活環境も、寸法の取り方もちがい、それに伴い商品開発の視点も変わっています、と面白く論理的にお話しできる先生もいますが、多くの着付け教室の先生は、タジタジ。
またレッスンの流れが変わってしまいます笑
先生が注意すると、「先生はまだ若いから知らないでしょう」「私たちが小さい頃は、駅前に(傷痍)軍人さんがいてねぇ」「そうそう」「今の人は知らないけどねぇ」などと、戦争体験思い出話も出てきちゃいます。
戦争、といわれると、戦争を知らない子供たちは何も言えません、、、。
④絶対買わないレジスタンス
こちらは比較的に若い人に多かったパターン。そもそも入会する前から、「絶対買わないけど、絶対に無料で習ってやる。」という反体制の強い意識を持った人たち。
販売会の前の数回のレッスンの後に、教室の仲間に声をかけて同志を募りレジスタンスを結成します笑。
頑なに買い物はしないけど、レッスンは絶対に休まず、習得にも熱心です。
そしてお世話になっておきながら、悪徳着付け教室の暴露ネタとして、ネットに書き込み、恩を仇で返します笑。
しかしながら、この抵抗があってこそ、このやり方ではいけない、もう少し情報をオープンにして、生徒さん達に寄り添った教室運営をすべきという流れになったのも事実でしょう。
はぐくまれるカリスマ性
そんななかで、システムに沿って働かなければならない着付け教室の先生達。
かなり揉まれます。悩みます。ノイローゼ気味になる人もおられて、自分には無理だと辞めていかれる人もいます。ちなみに販売会で売れてもその売り上げがそのままパーセンテージで先生に入るということではありません。もちろん待遇への評価にはつながりますが、基本的には給料制です。逆に販売につながる指導力のない先生にとっては針の筵。
しかし、そのなかから揉まれ揉まれてサバイバルされた講師陣からは、絶大なカリスマ性・オーラをまとった先生が生まれます。
生徒さんがうっとりとしてついていきたくなるような、頭のてっぺんからつま先まで完璧な美をつらぬくセレブ講師や、思わずお母さんって呼んで抱きしめてもらいたくなるような、宗教者にも通ずるような包容力モンスター講師など、いろんなスゴイ先生たちがおられました。
やはり統率力がすごくて、そして着付け以外にも教えていただけることがたくさんありました。
お花やお茶の習い事はひととおりしっかりしたレベルまで習得していて教養が深い。その上で、指導者としてそれなりに苦労しながらもプライド全開でがんばってこられた。同時に子育てなども一通り経験しているので、生徒さんの人生相談にも乗れるし、一流の呉服屋や歌舞伎界とも付き合いがあったりするので、やはり文化発信者としても生徒さんに影響を与えられる。
私は若い頃、コレらの先生達の苦悩と生き様をたっぷり見せていただき学んだのでした。
「私にはこんなことできないな」と笑
ただ、これらの先生達の生々しい姿、キャラクターは私にとってはとても魅力的に、人間的に感じ、大切な学びの時間になりました。
自分は同じことはできないけれど、ファッションとしての着物は素晴らしいし、無理強いしなければ着物を買う際に講師がそばにいることはむしろベストな環境だし、そして何より売ることメインじゃなくて学ぶことメインに持っていけば、おのずと良い商品の価値が伝わる。
そうすれば着物ユーザーにとっても販売業者にとっても、必ず良い方向になるハズ、と考え、必ずこの良いところを受け継いで、自分なりに開花させていこうと思いました。
また、この当時すでに大問題とされてきた少子高齢化の波。この先を考えた時に、いままでの着付け学院のやり方は続かないとも思ったのでした。
最近思うこと
今でもこの形態は継続していて、さまざまな着付け教室が存在していますが、昔からずっと同じやり方ではなく、やはり世の流れと共に変化が見られます。
まずひとクラスの人数が減っています。
そして、年齢別にグループを振り分けたり、自由に振替ができるようにしたり、強引な勧誘を避けたり、工夫されています。
その反面、組織的に動いているなかでは、濃いキャラの先生がいなくなったなと見ていて思います。
いまでも全国あれこれ知り合いネットワークがあるのですが、圧の強い「ザ」なギラギラオーラの着付け講師の先生が仕切っているのっていまでは、東京の一部のエリアくらいでしょうか。
その他の地域では、良くも悪くも販売員さんの延長線上のような個性のない先生が増えました。
昔のキャラの濃い先生達が懐かしく感じますが、これも今のニーズなのでしょう。
そしてこんなこと思ってしまう私も、「昔の人間」カテゴリに一歩足を踏み入れているのだと思います。これをそのまま若い世代に押し付けたら老害。しかし自分の人生経験の学びの要素として、決して風化させることなく、うまく使うことができたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後の予定
6月9日(日)キャンセル待ち対応中
リユース着物目利き講座<レベルアップ紬編>
(京都)
6月29日(土)キャンセル待ち対応中
リユース着物目利き講座<着物編>(大阪)
*過去の開催募集記事です。どんな内容なのか詳細ご覧いただけます。
9月6日(金)および9月7日(土) 募集前
「長襦袢のプロに学ぶ 品質と楽しみ方講座&販売会」(京都)
10月12日(土) 募集前
「リユース着物目利き講座 着物編」(大阪)
堺筋本町・船場センタービルお買い物ツアー付き
*過去の開催募集記事です。どんな内容なのか詳細ご覧いただけます。
10月26日(土) 募集前
「リユース着物目利き講座 帯編」(大阪)
堺筋本町・船場センタービルお買い物ツアーは開催未定
*過去の開催募集記事です。どんな内容なのか詳細ご覧いただけます。