京都の着付け教室 きものシャン

レッスン会場:烏丸御池教室 (京都市営地下鉄烏丸御池駅すぐ)

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初級レッスン 全8回 + 着物のTPO基礎知識 全1回 

お悩み解決レッスン  1回 90分

 

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こんにちは 京都の着付け教室 きものシャン 講師の原 です。

  チェンジリング

突然ですが、皆さま「チェンジリング」という映画をご存知でしょうか? アメリカの闇を描くことに全力投球のクリントイーストウッドが監督、当時ハリウッドで人気絶頂だったアンジェリーナジョリーが主演として注目を集めた2008年のアメリカ映画です。
映画のなかでは、シングルマザーのアンジェリーナジョリー(以下アンジーとします)の1人息子9歳のぼっちゃんがお留守番中に行方不明に。

捜索の末、半年近く経って警察が「ぼん、戻りましたえ」と連れてきたのは自分の息子とは全く別の他所の子供さん。

「いや、この子うっとこの子とちゃいますけど⁈」

とうろたえるアンジーに圧をかけて丸め込んで無理矢理事件解決にしちゃおうとする警察。

「せやさかい、うちの息子とちゃう言うてるやろ、ワレ!」とキレるアンジー、しかし逆にアンジーがアタオカ診断され精神病院に放り込まれるという 1920年代の実話を元にした恐ろしい内容です。(いやホント、ひどすぎやろ、、、)

今だったら子供の動画や写真がスマホに大量にあるだろうから(もちろんDNA鑑定もあるし)、半年後に別人帰って来たってイッパツでバレる訳ですが、当時はまだ電話が普及し始めたばかりという時代。

なお、この映画のタイトルになっている「チェンジリング」というのは、ヨーロッパの伝承に出てくる「取り替えっ子」のことで、妖精が人間の子供をさらった際に、その代わりに妖精たちが置いていく子供(身代わり)のことを指します。

チェンジリングの伝承の背景には、先天的な病の兆候が現れた子供についての説明を求めるという要素・役割があったと言われています。

日本にも天狗などに攫われた子供が特異な才能(神通力)を持って別人のようになって帰ってくるという話がありますね。

また、出奔した男を名乗る別人が村に帰還しその行方不明だった男として暮らすという、これまた16世紀にフランスで起きた実際の事件を調査した「マルタンゲールの帰還」という研究書もあります。かなり名著ですので、民間の歴史に興味のある人にはおすすめです。
いまどきはネット上での「なりすまし」が当たり前ですが、当時は生身のなりすましですから、周囲を巻き込んでの一大ヒューマンドラマです。

アイデンティティはどのように形成されるのか、他人の変化を周囲がどう受け入れるのか受け入れないのか、安定したコミュニティとはなにか、などなど考えるイシューが多く、私も大学の頃に読んだのですがめちゃくちゃ面白くて、ハマりました。ハマるかハマらないかはあなた次第です笑


  「これ私が買った帯じゃありません」

さてさて、今日は着物の売り場で起きたチェンジリングについて。

礼装用の帯を探して、とある小売店に行かれた女性。色々と品物を見る中で、これは!という素敵な帯に巡り会いました。


(※画像は実際の帯ではなく、イメージです) 


礼装用ですから着用の目的が決まっており、さっそくお店にお仕立てをお願いして帰宅されました。

後日、仕上がった旨の連絡をもらい、お店に受け取りに行くことに。

待ちに待った素敵な帯との再会です。

しかし購入者の女性、仕立て上がった帯を手に取って愕然とします。

「これ私が買った帯じゃありません!」

「お客様の帯に間違いありません」と、お店側が購入時の写真画像を見せながら説明するも、購入者の女性は納得しません。

画像のものと目の前の帯は、同じ色、同じデザインなのですが、糸のふんわりとした膨らみ、そして何より触り心地が仕立てる前と全く違うのです。

小売店の説得で、とにかくその日は品物を受け取って帰ってきた女性ですが、やっぱりおかしいと感じて以下のような仮説を立てます。

購入時に見せてもらった帯が本物の高級品で


仕立て上がりで納品されたものは、元の品をコピーして低コストで作ったイミテーションなのではないか????


もちろん常識的に考えて、着物屋でそんなビジネスは存在しません。そんな手の込んだ、リスクのあることをしても儲けになりませんので。

しかし、購入した女性にとっては、このような非現実的な仮説を立ててしまうくらい、元の帯とは別物が納品されたのです。

この真相、着物の知識のある人にはもうお分かりですね。


  残念すぎる、帯の加工

いわゆる帯のセット加工による弊害です。

一般的には、帯がクタクタで太鼓がシャキッとしない場合に、帯に張りを持たせるため表面に樹脂加工を施すことがあります。

これは新品の帯に対してよく行われることで、業界のなかでは当たり前の加工です。

しかし、あくまでも加工のひとつ、であって、すべての帯に必ず施される加工ではありません。

またこの加工そのものにも様々な考え方があり、安物だからする、高級品だからしないとも一概には言い切れません。

ただ注意が必要なのは、モノにっては元の帯の風合いを著しく損なうことになり、それを知らずに不必要な加工を施してしまう小売店もあるという点です。

この女性が購入時に見たものは、しなやかな地組織の風合いと、ふっくらとした緯糸の立体的な美しさ...唐織の袋帯でした。

仕立て上がって来た帯は、ガサガサの手触り、さらにふっくらとした緯糸の部分もペタンとした、元の帯とは同じものと思えない姿になっていました。

さてこの件、どうなったのでしょうか。


  加工についての確認をしよう

その女性、一度は帯を持ち帰ったもののどうしても納得出来ず、かといって購入店に再度説明を求める気にもなれず、

帯が西陣織であること、唐織であることなど、購入時に聞いた商品説明を元に、インターネットでキーワード検索して何か良い知恵はないものかと調べていました。

そのなかである情報発信者に出会います。その人は、帯や着物を楽しむためのイベントなどを開催しており、西陣織の業者とも繋がりの深い立場であったため、購入者である女性は、思い切って相談してみることにしたそうです。

結果として、小売店さんと話し合いの機会が設けられ、どうにか落とし所が見つかったそうです。
(どのような補償であったかは、購入者様も小売店側も、公にされたくないと思いますので、お話しするのはここまでとします。)

お客の立場からすれば、こんなことは本来必要のない手間と思われるかもしれませんが、現状売り場でこのようなトラブルが起きているわけですから、正論を言っていても仕方ないわけです。

加工について、右から左へ聞き流さないこと。

わからないことがあればキチンと質問して、お店の人もわからなければ、説明できる業者に確認してもらうこと。

見当違いのクレーマーも困りますけど、無関心すぎる消費者もまた、そのジャンルを輝かせることにはならないと思います。

つまり、買って箪笥にしまって着ない人達が多ければ、金額的には売れていても、売る側も惰性的な商売になってしまったり、作り手は品物のレベルアップ、改善のためのフィードバックが得られなかったりという問題があるでしょう。

これは個人的に思うのですが、人間誰しも「ありがとう」とお客様から感謝されるからこそ、もっとがんばろう、もっと良い品物を届けようと努力するわけですよ。

この購入者の女性のように、ご自身が心惹かれた品物に対して真っ直ぐに向き合う姿勢のあるユーザーさんが増えていかれれば、また何度も言いますが加工について何も言わないではなく、わからないことは聞く、確認すると言う姿勢を持った人が増えれば、小売店でもそれなりの注意を払ってもう少し気をつけてくれるようになるんちゃうかなと思います。

まあもちろん、そもそも着物屋さんがもっとしっかりしてくれ!とオイラも思うよ。思うけれど、

でもさ、そんなことは着物屋さんの経営者の姿勢にかかってることだから、売り場の店員さんにちょこちょこ個別に客が言ったって全体は変わらないわけですよ。

だから、消費者が変わる。
着心地に関する情報は、実際にお召しになる人が1番持っているんですから。

要望を伝える、ご自身の品物について確認する、そして満足なお買い物ができたら、お店の人に感謝を伝えてあげてください。

良い循環を作りましょう。
そのお手伝いをするのも、着付け講師の役割であると私は考えています。


最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

今後のスケジュール


【満席】2月11日(日)キャンセル待ち

新たらしい体験型の講座を作りました。

vol.1  紬織物の過去と未来を考える会 京都

3時間 5,000円

(真綿の糸作りワークショップ付き)



【募集は2月から】3月31日(日)

新たらしい体験型の講座を作りました。

vol.2 染め技法の古今を読み解く会 京都

3時間 5,000円

(擦り友禅技法での半衿作りワークショップ付き)



【満席】3月23日(土)キャンセル待ち

リユース着物目利き講座 着物編 大阪

3時間 7,000円

(船場センタービルツアー付き)



募集は2月から】4月20日(土)

リユース着物目利き講座 帯編 大阪 

2時間 7,000円