小説大好き!! -5ページ目

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奪われた名声と自由2

九.(最悪の結果のこと)

数分後私は既に料理を片付けられ食後のコーヒーを置かれたテーブルに
うなだれていた。
写真の自画像は紛れもない親父の顔。
三人はみな嬉しそうにはしゃぎながら、良かったを連呼している。
そりゃ、良かったことにこしたことはない。罪人じゃなかったのだから。
しかし、今の私にはそれ以上に、怒りと悔しさが上回っていた。
私が見るのを少しためらい、後回しにした訳。

誰かに騙された……

私はテーブルを思いっきりたたきつけていた。何度も何度も……
その行動に三人いや宿にいる人たちが何事?のように見つめている。
「私、騙されてた。8年間もずっと。」
悔し涙が溢れだしてきた。
「一体どういうことだ?」
ハンカチを私に渡しながらセイバーが理由を聞いてきた。
村の我が家に届いたのは、処刑されたという報告書。
じゃあ何のために?誰がそんな偽の報告書を送ってきたのか?
国直属の警備団、自衛官などが殉職し、その人が妻子ある身柄だったとしたら……
当然その妻、子は生活保護が受けられるはずである。
ならたとえ只のワーパーだった人でも、一国の危機を救って倒れ、
その人物が妻子ある身、村の再建をしていると知ったら国はどうする?見殺しか?
「そりゃ、村の再建資金や、手伝い位してくれるわな当然」
セイバーのひと言に、私はテーブルをバンとひとたたきして、
「誰かに持っていかれた。親父の名声も、私たちの自由も。」
誰が好き好んでこんな危険な職業選ぶものか。
私は他に手段がなかったから、今の職業をやってるだけだ。
本当だったら今頃、かっこいい彼氏でも見つけて、綺麗な草原でお弁当広げて、
素敵な恋愛なんぞをしていたかもしれない。
「ジュノ来るか?真相確かめようぜ。」
セイバーの誘いに私は、
「有難う、でもその前に一度村に帰って確かめるわ。」
万が一のために保管してあるのだ。報告書が。
それを、持ってジュノのカムラナート大公に会って詳しいことを聞き出そうと考える。
「で村は何処にあるんですか?」
ショーテルの問いに私はコンシュタッド高原に村があることを伝える。
「割と近いじゃん、チョコボならすぐに着きそうだよ?」
ロッドが椅子の上に立ちながら私を見つめている。
「そうだな、一緒に行こうか?みんなで。」
セイバーのひと言に何でそこまでしてしてくれるの?と私は問う。
「こいつ助けてくれたの誰でしたっけ?」
セイバーはロッドの頭をポンポンっと叩く。
ロッドは照れくさそうに鼻をこしこしと擦っている。
えっそれだけの理由で?
更にセイバーは
「それに俺、曲がった奴が嫌いな性質でね。」
そして私の頭もポンと叩き、
「こーんな可愛いお嬢さんを、不幸な目にあわせてるなんて、お兄さん許さないぞっと。」
ポンポン叩かれながら私はまた泣き出してしまった。
「さて、泣いてる暇があるならさっさと出発しようぜ?」
私を覗き込みにっこりと優しく微笑むセイバーに私はちょっと照れくさくなり、
ごしごし涙を拭い、ほっぺを数回両手でパンパンと叩く。
「うん、行きましょう。絶対に騙した奴とっ捕まえてやる。」
私は右手を強く握り締める。
「じゃあこいつを君に渡しておこう。」
そういうとひとつのリンクシェルを私にくれた。
見てみると青と白のスプライトの綺麗なパールがついている。
「こいつらもおんなじ物付けてるんだぜ。」
二人をクイクイと親指でさしながら。
「これで君は俺たちの仲間だ。」
そして右手を差し出すセイバー。
ロッドもショーテルもその差し出された右手に手を重ねていく。
そして私もゆっくりとそっと手を重ねていく
「これでパーティの成立だな。」
そういうと彼は、私のアルミケースからひとつエーテルタバコをくわえ火をつけ煙をふかし、こう言った。
「宜しくな。」

十・(レイピア初パーティー結成のこと)

私は商業区門ので口で一人、彼らが来るのを待っていた。
コンシュタッド高原。私の村に向かう為に。
春には色とりどりの花を咲かせ、夏にはあたり一面が鮮やかな緑色にそまり、秋にはおいしい果実を実らせ冬が来ると、あたり一面が銀世界になる。
……と、ここまで書くと、まぁなんて良いところなんでしょ。そんなところに住んで、癒されてみたい。なんて思うだろうが、実際はそんな甘い物ではない。
毎日、冒険者がぞろぞろと蟻の行列。おまけに、あたり一面モンスターだらけ……こんなところに住んでいる物好きは、おそらく私たち位だろう。
私は腰を下ろし東の方角を眺める。
数分後2羽のチョコボが、やって来た。
乗っているのはショーテルとセイバーの二人。
「あれロッドはどうしたの?」
私の質問にショーテルの背中が答える。
「ここだよ。」
なんとロッドはショーテルの背中に帯で縛り付けられている。
しかも後ろ向きで……
「こうしておくと後方気にしなくていいんですよ。」
ショーテルの言葉に私は納得した。
なるほどね、でもそれだと酔ったりしないのか?
「さて、お前さんものりな。」
セイバーは手綱を引きチョコボをしゃがませる。
そして私は、チョコボに飛び乗りセイバーの背中にしがみつく。
「鎧つけてなきゃ最高なのになぁ。」
セイバーはため息ひとつついた。
確かにゴツゴツと鎧が当たる。
つけてなければ背中の温もりも感じられるだろう。
私は、ここまで良くしてくれている彼に少し、好意を抱いていた。ちょこっと顔が熱くなってきた。
それに察したかセイバーはひと言。
「ひょっとして惚れたりした。」
私はぷいっと無言で横に視線をそむけた。
くすくす笑ってるショーテルとロッド……うぅ~恥ずかしい……
セイバーは軽く笑いながらチョコボの腹に軽く踵を当てる。
立ち上がるチョコボ。
「じゃいきますよ。お嬢さん。」
そう言うと手綱をしならせチョコボを走らせた。
地面が……人が……モンスターが……景色が……飛ぶように視線から消えてゆく……鼓膜からは風の音が駆け抜けてゆく……
「速い、すっご~い」
私の感激の声を上げる。
「だろ~。これならすぐ着くよ。」
前方を駆けるチョコボから縛られたロッドが、手を振りながら答える。
「飛ばすからしっかりつかまっててくれよ。」
セイバーのひと言に私は彼の背中にしっかりと体をくっつける。
手綱がまたしなる。
どんどん加速していく。
もう景色が分からないほどの速さになっている。聞こえてくるのは風の音だけになってしまっていた。

十一.(詐欺師をぶっ飛ばせのこと)

もう半日は走ってきたのだろうか、一度休憩をはさみまた出発をする私たち三人。
休憩をしたのは、ロッドがチョコボ酔いしたからである。
ちゅーか普通するだろ?その乗り方だと……
私は何故普通に乗らないのかと一度尋ねたのだが。
その理由はロッドを前に乗っけると、ずっとしゃべりっぱなしで
五月蝿いらしいのだ。おまけに胸まで触る始末……すけべなのか?
吐くものもないくらい吐いたらしいので取りあえず出発となったのだが……
並みのステーキ食うからだろ?タルタル用のセットもあったのに……
せっかく奮発して食べさせた最高の肉……しくしく
「もうすぐだよ。」
私は村がある方角を指差した、ポツポツと並ぶ風車小屋。ここいらが、私たちの村である。
数分後村に到着しチョコボから降り大声で村人を呼んだ。
私の声が辺りに響き渡る。
そして、ひょこひょことでて来る村の住人。
その数私を含め30人。小さなむらなのだ。
私たち三人はチョコボから降りることにした。
するとチョコボは、一鳴きしバストゥークの我が家へと帰っていった。
「おぉ、お嬢かえってきたのか?」
一人の男性が、私に近づいてきた。
「お帰り、レイピア。」
四十半ばの女性が私に話しかけてくる。
「ただいま、叔母様。」
そういうと私は彼女に抱きついた。
「あんな大金どうしたんだい?」
私は、頭を撫でてくれているおば様に、今までの経緯を話した。
その夜……
盛大な料理が並ぶ……羊の丸焼きに、ワインそして私たち。
相変わらず、青い顔してるロッド……まだ醒めてないのか?
「しかし、今まで騙されてたなんて。」
皆が口をそろえて同じ事を繰り返し
「じゃあ、これは貴方に渡しておくわね。」
叔母様はれいの報告書を私に渡してくれた。
「そんじゃ俺は一足先にジュノにかえるわ。」
セイバーは、報告書をひょいと取り上げ……
「なんか分かったら連絡する。リンクシェルは常時身につけて置くようにしてくれ。」
胡坐を組んでいた彼はすくりと立ち上がり、身支度をととのえ始めた。
村人たちは彼に声援を送っている。
「そんじゃいってくるわ。」
彼は一枚の紙を体に貼り付け両手で印を結ぶ。
すると彼の体は光り輝き光の霧になり天高く飛び去っていった。
『デジョン』
一瞬で設定している目的地へ運んでくれる黒魔法。
それを誰でも扱えるように一枚の紙に封印した呪符である。ただ一回限りなのだが。
「で私たちはどうします?」
ショーテルはお行儀よくちょこんと座りワインをちびちび飲んでいる。
「取りあえずバストゥークで彼の連絡を待つわ。」
私は、ショーテルにそう言うと、すくっと立ち上がり、
「みんな、ちょっと聞いて。」
村人の視線をこっちに集める。
「この前送ったお金で半年持たせて頂戴。」
そして鞘か剣を抜き眺めながら
「今の今まで騙してた奴とっ捕まえてくるから。」
盛大な拍手が高原に響き渡る……私は剣を夜空に高々と掲げた


十二.(コンシュタッドを離れてのこと)

次の日の朝早く、私たち3人はバストゥークへ向かう為、身支度をととのえ始めていた。
村の人達から、二日分の食料を分けてもらい個々にサックへと詰め込んでいく。
「さて、準備はいいかしら?」
私の合図に二人ともこくりと頷いた。 
チョコボがいない為、徒歩になる。おそらく早くて一日半はかかるだろう。無論何もなければの話だが……
私たちは高原を抜けるため歩き出した。
まあモンスターどもに囲まれても三人もいれば問題ないだろう。
ここいら辺りなら私一人でもやっていけるのだから。
半日歩いたところで2体のクゥダフに遭遇した。
1体は戦士系もう1体は魔道師系か……
「私はあっち相手にするから片方お願い。」
私は魔道師系のクゥダフを指差す。
「はい、じゃあ戦士系は私たちが相手します。」
戦闘開始である。
私は両手で印を結び相手が唱えるよりも一足早く魔法を放つ。
「静寂よ!」
『サイレス』
相手の魔力を封じる黒魔術。
魔法の詠唱を出来なくし一時的に発声が出来なくなる。
魔法は相手にすると厄介なのだ、なので先に封印しておくのがベスト。
戦士系クゥダフにロッドが走りよる。
そして目の前でロッドの姿が消えた……
なに?どういうことなの?
「へへーん。」
クゥダフの後で相手が手にしていた剣を持っている。凄い……ぜんぜん見えなかった。
ロッドは一瞬で相手の武器を奪っていたのだ。
「はっ。」
そしてショーテルは相手の懐に素早く入り、相手の顎をめがけ蹴りを突き上げる。
空中へ飛ばされるクゥダフ。
「そらよ、返すぜ。」
そういうと先ほど奪った剣を飛ばされているクゥダフめがけ投げつけた。
ダシュッ
剣は背中に突き刺さり貫通、腹にまで達している。串刺しという奴だ。どさりと音を立て地面に這い蹲るクゥダフ。もう、絶命しているだろう。
凄い、これが連携なのか……気をとり直し私もそろそろ行動にでる。右手に集中させ魔法を放つ。
「束縛よ!」
『バインド』
黒魔法系弱体魔法
相手に精神をコントロールし動けなくしてしまう魔法。
そして距離をおいて術の詠唱をする。
「木々を揺らす風の精霊よ、我が剣となりて、刃と成せ。」
『エアロ』
黒魔法系精霊術。
一定の範囲に強烈な疾風を巻き起こし真空の刃を発生させる魔法だ。
クゥダフにそれが襲い掛かる。
そしてバラバラに刻み始めていった。
「ひゅ~やっぱ魔法は凄いや。」
ロッドが私のお尻をポンポンたたきながら……
「こらこら、触るのやめなさいって。」
ごうん。
ショーテルの拳骨がロッドに炸裂する。
「いい加減にしなさい。ロッド。」
……今ので死んでないのだろうか……すんごい音したけど?
「あーぅぅー。」
頭を抑えて唸っているロッド、あ、生きてた。
「にしても凄いわよね。貴方たち。」
私はロッドの頭に出来たどでかいタンコブを眺めつつひと言。
「もう三年の付き合いですから。即席のパーティーとはちがいますよ。」
照れながらショーテルは語る。
「それにロッドの早業すごいよねぇ。」
あたしの言葉に反応したのかロッドは立ち上がり、
「これのことかな。」
私の目の前で消えた……
はっもしかして……やっぱり無い……腰につけた剣が鞘ごと。
「へー凄い剣だなぁー。かっこいー。」
ロッド自分の背丈よりもながいであろう、私から奪った剣をするりと抜き眺めている。
「わわっ重い。」
バランスを崩しロッドはすっころんだ。
キィィィン
剣先が若干赤に染まる……
「わっちゃっちゃっちゃぁー」
えっ……彼のお尻に火が付いている。私は慌てて魔法を唱える。
『ウォーター』
黒魔法系精霊術
水の刃を形成し敵を切り刻む魔法……それの魔法力を最小限にまで絞込み只の水を形成させロッドめがけてなげつけた。
「あーたすかった……けどもっとスマートなほうほうなかったの?」
びしょ濡れのロッドは恨めしい目でこっちを見る。
「私のキュートでプリティなお尻を触ったお返しだよ。」
そういって彼の鼻をピンと弾く。
しかし……何故炎がでたのか?
あれだけ試しても全然出なかったのに……もしかすると?
私は剣を拾い一太刀振ってみた。
剣が真っ赤に染まり炎が舞う。
やっぱりそういうことだったのか。
セイバーが言っていたコツってこういうことなのか!
私は剣を鞘に収め、腰に取り付ける
「さあいきましょう。」
私たちはこの場所を立ち去りバストゥークへと又歩き出したのだった。

十三.(発動!炎を纏う魔法剣のこと)

私は深呼吸して、剣を構えていた。
もうじき商業区に到着するのだが、その前に、試したいことがあったのだ。万が一のことを考えて、ショーテルとロッドに、後方で待機してもらっていた。
相手はクゥダフ二匹どちらも戦士系である。私は素早く、懐に入り鋭い一撃を放つが……手ごたえが妙に悪い……
「あれ、なんかへんだな?」
あっ、そうか武器を買いかえてたんだった。
慌てて、攻撃を盾でかわしつつ、距離をとる。そして剣を前に差し出し相手との間合いを計った。
「よっしこれくらいだな。」
肩の力を抜き、剣をゆったりと構えなおす。すり足で近寄り、相手が私の距離に入るのを待つ。耐え切れなくなったのか、一体のクゥダフがこっち迫ってきた。
私は、相手の喉下にめがけ、腰を回転させ素早く太刀を放つ。
剣は真っ赤に染まり炎の刃が相手の首に襲い掛かる。喉を焼き切られた一体はどさりとうつぶせになって倒れた。
私は左手に持っていた盾を手首にスライドさせて固定、今度は剣を、両手持に持ち替えて上段で構えもう一体に備える。
「はぁぁ」
呼吸を整え、前に一歩踏み込みそのまま切り下ろす。そのまま右手に持ち替え左から右へ水平に剣を振る。
クゥダフの胴体に十字の焼き傷が出来る。炎の十字切りといったところか……そのまま軽くどかっと蹴りを入れると、クゥダフはそのまま仰向けに倒れてしまった。
そして鞘に剣を収めて、後を振り向き、二人にガッツポーズをしてみせる。
「凄い、すごーぃ。」
それを見てか、ショーテルは飛び跳ねて感激している。
指笛鳴らしているをロッド、もうやんややんやの大騒ぎである。そこまで感動されると、こっちも照れてしまうんだけど……
私はあたまをコリコリと掻きつつ、二人にハイタッチをする。
セイバーが言っていたコツ……それは、単純な物だった。
剣先に集中し力まない事要は、腕力だけで剣を振らないことなのだ。
全ての力を剣先に注ぎ遠心力がある限界に達すると、初めてフレイムソードの持っている魔力が発動する。
まぁ、腕力だけでも発動しないわけでもないのだが……
女である私には全体重をのせないと発動は無理みたいだ。取りあえず買って損は無かったというだけ有り難かった。
取りあえずこの場所で数時間ほど鍛錬することに二人も賛成した。
個々に練習する三人。
ショーテルは拳法の型を取り始める。
ロッドは短剣を持ちシャドーをはじめた。
そして私は何度も素振りをする。
一太刀一太刀炎がまい踊る……

十四.(二人のモルモットのこと)

商業区へ帰ってきた私たちは、私の提案で、私のモーグリハウスで待機することにした。
別に個々で待機してもいいのだが、こういうときは固まって行動していた方が都合が良い。
と言うのは建前で……うふふ。
二人を中に入れると私は気づかれないように鍵をかける。
「お客さんだクポ?」
モーグリはパタパタと私に近づいてきた。
「うんそうだよ。」
私は、お茶を入れてくれるよう、モーグリに頼む。そして二人をリビングに招待した。
「ちょっと二人ともそこで立ってて頂戴。」
二人はきょとんとするが、その場で立ってくれた。
「何をはじめるんですか?」
ショーテルのひと言と同時に私は呪文を唱え始める。
そしてそれをロッドに向けて放った。
光が彼を包むそして……
「あ~れ~え~?」
ロッドの動きがスローモーになった。
まるでナマケモノがごとく動作がのろい……私とショーテルはそのしぐさを見て数分笑い転げた。
『弱体魔法スロー』
相手の精神をコントロールし脳の伝達信号を一時的に遅くする魔法である。
おそらく当の本人も気が付いてないだろう。
彼にかかっていた術を解き。
「んじゃ次は~。」
私はショーテルをチラッと目線を送る。
「ひっ痛いのはやですよぉ。」
逃げようとする彼女にもうひとつ覚えた魔法をかけた。
「あれ?何ともないんですけど?」
キラキラ輝いている自分の体をキョロキョロ見回すショーテル。
「ちょっと失礼して。」
私はそういうと彼女の体に手を触れてみた。
「うんうん大成功。」
私はにっこりした顔で、不思議そうな顔をしているショーテルに自分の体に触れてみろと私はいう。
「あれ?何か鎧を着てる感じですぅ。」
それを聞いたロッドは彼女に触れてみる。
「ほんとだ。なんか硬いよ?」
ロッドも少し驚いている。
「プロテスですねこれ。」
ショーテルは私にそういった。
白魔法系強化魔法『プロテス』
全身を魔法の壁で包み込み物理的な衝撃を和らげる効果はある。
さてと、リビングにおいてあるラックから数冊の魔法書を取り出しテーブルにどさりと置く私。
「実験台宜しく。」
ニヤリと笑うその姿を見たのか、二人は慌てて外へ逃げ出そうとするのだが……
さっき部屋の鍵かけちゃったもんねぇ。鍵は私じゃないと開けられないように魔法かかってるしぃ……
滅多にないしね、人体での魔法訓練するの。うふふふぅ。
「観念しなさいな。」
私は両手をわきわきさせながら二人にじりじりと近づいていく。
二人は抱き合ってガタガタと震えている。
「大丈夫、死にはしないから。」
私は又ニヤリと笑う。
「おっお助けぇ~。」
二人の叫びが商業区に響き渡るのだった……

十五.(レイピア驚きの急展開?のこと)

小一時間が過ぎ、私たち三人はうつ伏せになってぶっ倒れていた……
「うぅ、もっもう駄目。」
皆が同じ言葉を吐く。
魔法の連発・唱える側と受ける側。どちらにしても、もう精神力が限界だった。
いつもなら、モーグリが相手をしてくれている。いやいやだが……
テーブルには、モーグリが用意してくれた、お茶とお菓子が置いてあるのだが、もうそれに手を出す気力が残っていなかった。
「モーグリ、例の奴持ってきて~。」
私はうつ伏せのまま弱弱しく、モーグリに液体入りの小瓶を三つ持ってこさせた。
それを手にする3人。
「ささ、ぐいっとあけちゃってくださいな。」
私は一本のそれを一気に飲み干した。
足の先から、頭のてっぺんまで爽快感が押寄せる。まるで、頭から悪いガスが抜けていく感じ……これが、原液のエーテルの効果である。
二人もそれを飲み……
「ぷは~生き返った~。」
ごろりと、仰向けに転がるロッド。
「死ぬかとおもいましたよぅ。」
起き上がりざまに、私を恨めしげに見つめているショーテル。
「まっまぁいいじゃない。おかげで魔法も大分習得できたし。」
私は焦りながら、お茶を勧める。
紅茶をすする私たち。そしてケーキをぱくついていた矢先にリンクシェルからセイバーの声がした。
何でも、情報用のスクリーンを見ろという。
仕方なくスクリーンを見ることにする私たち。
雷のクリスタルを媒体にし、各国の情報を映像化して映し出す今で言うテレビといったところか。
取りあえずセイバーに指示でジュノの情報を見ることにする私たち……
「記者会見ですかね?」
ショーテルはスクリーンにかぶりついて見入っている。
「えっぇぇぇ~。」
ショーテルは馬鹿でかく声を上げ、私を手招きする。
何事なのか?取りあえずスクリーンの前に座る私……
「なっなにこれぇ~。」
私は唖然として紅茶カップを落っことす
会見に移ってるのは紛れもないジュノ大公。
そしてその内容とは……ジュノを救った英雄の娘が生きていた。という内容だったのだ。
やっぱり、騙されていたのか……私は死んだことにされていた。
そして、村の住人もそれぞれの国に移籍したという……んな馬鹿な!
「これはもうジュノに良くしかないですね。」
ショーテルは私の落としたカップを片付けながらそう言った。
ジュノには飛空艇で行くのだが……生憎、パスポートを取ってない。
どうしようかと悩んでる時にまたリンクシェルが反応する。
「ジュノの大使が君に会いたいそうだよ。迎えをよこすらしい。」
セイバーのひと言に私は何時なのか聞きだす。
三日後にこちらに迎えが来るらしい。
これならジュノにいける……
「そう、わかった。ひとつ質問いいかな。」
私はセイバーに、ジュノで何をやらかしたのか聞きだす。
どうやら彼は大使に例の報告書を見せたらしい。
その報告書を見たとたん大使の顔が青ざめたというのだ。
取りあえず真相に一歩近づいたのは確かだ。
「三日間まがあくなぁ~。」
私はちょこんと座っている二人に目線を送る。
「んじゃ三日間、お相手よろしくね。」
二人の顔が青ざめていく。
「えぇ~。」
二人は又抱き合って震えだした。
「お願いゆるしてぇ~。」

十六.(ジュノヘ殴り込み!のこと)

三日後私たちはジュノに向かう為、バストゥークの港区にある、飛空挺のポートにやって来た。
飛空挺は一時間おきにやって来るのだが、次の便がそろそろ到着する。
次の便は緊急便ということで出航口には誰もいなかった。
おそらくこれにジュノの使いの人が乗っているはずである。
そうこうしているうちに、港区にサイレンが鳴り響く。
飛空挺が着水するため橋があがる合図だ。
慌てて橋を数人が渡りきりガードが橋を封鎖している。
数分後ポートに到着し中から数人の乗客が降りてくる。
その中の一人のヒュームの男性が、私たちの目の前で立ち止まり
「お待たせいたしました、ジュノの使いの者です。」
深々とお辞儀する使いの人。
「お世話になります。」
私はぺこりと頭を下げ、挨拶を交わした。
「それでは参りましょう。」
私たちは彼の後について飛空挺に乗り込んだ。
飛空挺……
この『ヴァナ・ディール』には
徒歩・チョコボ・船・飛空挺と数種類の魔法が、交通手段として用いられている。
とくに飛空挺は特殊で水上と空二つのルートで乗客を運ぶことが出来る。
まぁ殆どが、空のルートを取るのだが……取りあえず私は甲板に上がってみることにする。
まぁ見た感じ数個のでっかいプロペラが付いてるだけで、そこいらの船と外観はかわらない。
何回か飛んでいるところを見たことはあるのだが、乗ったことは一度もなかった。
どんな感じなのか少し興奮はするのだが……
「そろそろ出航いたしますので、船内に戻られてください。」
乗務員さんに連れられ、私は一旦船内に戻ることにした。
「では出航いたします。気分が悪くなられた方は私までご連絡ください。」
乗務員さんの言葉とともに例のサイレンが鳴り響く。
橋が跳ね上がる。飛空挺が水上を走り始めた。
数分後、体に少し負担がかかり始める。何か重い物がのしかかったみたいに……そしてそれはすぐにおさまった。
「もう飛んでるんですか?」
私は使いの人に聞いてみた。
「ええ、飛んでますよ。ジュノまでは二時間で到着します。」
二時間?そんなに早くつくのか……
チョコボつかっても二日はかかると思うけど……
「あの~上あがってみてもいいですか?」
私は船内の天井を指差しながら使いの人に聞く。
「甲板は危険ですので、機長室に案内いたしましょうか?外の景色が見れますよ。」
私は機長室に案内してもらうことにする。
「二人は行かないの?」
ショーテルとロッドに一緒に行かないかと尋ねたのだが
「そんな気力ありません。」
ぷぅとほっぺを膨らましむくれている、ショーテル。
「あんだけ魔法唱えまくって平気なのネーちゃんくらいだよ。」
とロッドは力なく私に言い返す。
「化け物。」
二人はボソッと同じ事を言う。
むかっ
「静寂」
私は二人にサイレスをかける。
「むがむがむがむ~」
まともに口が聞けなくなる二人。
「ひと言多い。」
私は二人にそう言い放ち、機長室へ言ってくると伝える。
むがむが言ってる二人を後に機長室へ案内してもらうことにした。
そこには機長と副機長が船の操縦を任されていた。
周りはガラス張りで外の景色が見渡せる……山の上を通り過ぎようとしている……人やモンスターが蟻のように小さい……本当に飛んでるんだ。
「すご~い。」
私の声に副機長が振り向き、
「君が、英雄の娘さんかい?」
私はぺこりとお辞儀をして、
「お世話になります。」
と軽く挨拶をする。
すると副機長さんは私を見つめながら
「ジュノは人が多いからビックリするよ。」
とひと言
『ジュノ』
カムラナート大公が納めるかなり大きい国。
各国への交通ルートの中心になっているので、冒険者の数の多さが、半端ではないそうだ。
そしてその国の中にあるル・ルデの庭に大公の館があるらしい。
「あんた可愛いからナンパされんように気をつけなさいよ。」
そういうと副機長さんは席へ座られた。
「もうすぐジュノに到着するから船内に戻りたまえ。」
機長さんは私ににこやかに話しかける。
私は又深々とお辞儀をし船内に戻ることにした。
更に真相に近づいた……この先一体何があるのか分からないが、真相を暴いて、皆の無念を晴らしたい。
私は船内に戻り、到着に備えることにした。



『ジュノ大国』
『下層部』『上層部』『飛空挺乗り場』そして 『ル・ルデの庭』
四層の区間に分かれている大きい国で、冒険者制度にワーパー制度をいち早く用いた国でもある。
ワーパー制度がなかった時代、殆どの冒険者が金の欲望にとらわれていた。私利私欲のために、剣を振るい魔法を使う冒険者たち。
ワーパー制度とは一部の優れた冒険者や、私のように生活難の人間に与えられた制度である。
だが適正な試験をパスしなければ、この制度は受けられない。だが、今もその欲望に勝てず彷徨い歩くのがアイダーである。
私はいつまでこの仕事を続けなくてはならないだろうか……

十七.(第一部最終章)

ジュノのポートに飛空挺が着水する。
桟橋によせられる飛空挺。
船員さんたちはフックにロープを繋ぎ止めている。
私たちは飛空挺から降りる準備をする。
「何か外が騒がしくないですか。」
ショーテルが船内の窓から外を覗きながら手招きをしている。
確かに騒がしいのだが、これが普通なんじゃないのか?大きい国だし……
私もショーテルが覗いていた窓から外を眺めてみる。
「なによこれ。」
外には撮影用の複写装置を抱えた報道員がわんさか……ひょっとして私が来るのを待っていたのか?
だとしたらこのまま出て行くのは非常にまずい。
「参りましたねぇ。」
使いの人もこの状況に困っている。
もうこれしかないな……可愛そうだけど仕方ない。
私はショーテルとロッドを呼んで耳打で作戦を伝える。
「嫌です絶対にいやぁー」
「おいらも反対。」
二人とも大ブーイングである。
「しょうがないでしょ。これしか良いアイデア浮かばなかったんだから。」
そしてちょっと目を潤わせながら、
「お願い、もう少しで親父に会えるの。」
私の悲しそうな芝居を見てか、しぶしぶ二人はOKしてくれた。
結構騙されやすいタイプなんだな。この二人は……私の考え……只単に二人に船から下りてもらうだけ。
囮になってもらうのだ……恐る恐る船を降りる二人。
案の定……揉みくちゃにされている……もはや、報道員の波にのまれて姿が見えない。……数分後、ぞろぞろと入港口に向かう報道員たち。
どうやら、諦めてくれたらしい。
「死んでませんよね?お二方。」
「だいじょうぶでしょ?さあ、行きましょう。」
私は冷たい視線を感じながらも船から降りる。
報道員が群がっていた場所に横たわっている二人。
しかもぴくぴく痙攣を起こしてるし。
「だから嫌だって言ったのにぃ。」
「おっおいらもう駄目、死ぬ……」
二人とも仰向けにぶっ倒れ、全身足跡だらけ……
「はいはい、いつまでも寝てないで立った立った。」
ぱんぱん手をたたき無理やり立たせ入港口を目指す。
「鬼……」
「悪魔だわ……」
完全に二人はふてくされている。
使いの人もこれには流石に苦笑いしている。
私は気にすることなく入港口の扉を開け、中に入ると室内の受付テーブルで背もたれしているセイバーの姿があった。
「お勤めご苦労さん。団長。」
「上手く播けましたか?報道員の方々は。」
「ええ、サンドリア行きのポートに陽動したから大丈夫ですよ。」
「では後はお任せしますね。」
使いの人はそう言って、ポートから出て行った。
「団長?」
さっきの使いの人が、そうだったのか?
「まあ、いろいろとあってね。理由は歩きながら話そう。大公も君が来るのをまってるしね。」
そして私たちはジュノに入国手続きを済ませポートから出ることになった。
「うひゃー。」
私はあまりの人の多さに、驚愕の声を上げる。殆ど歩行者天国並みで、まともに歩けない状態だ。
そんな私とは裏腹に三人はスイスイ人の波を避けつつ歩いている。
「ちょっと待ってよ。」
私は三人を呼び止めた。
「田舎もんはこれだからねぇ。」
「まったくよねぇ。」
ロッドとショーテルは私を横目で見つつニヤニヤしている。
うぅ、さっきの仕返しのつもりか……悔しいけど言い返せない……くそっ
「慣れてないからしょうがないか。んじゃゆっくり行きますか。」
セイバーは一旦私のいるところに戻ってくれた。
「さっき言ってた団長って?」
私は彼に理由を聞くことにする。
セイバーたちはある冒険者の団体に入団していた。
冒険者たちは、多人数で団体を組みそこで各国々の情報をやり取りしている。
その団体の中で皆仲間を募って冒険に出るのである。でその団体の設立者が団長になるわけなのだが……
「なんで団長さんが使いに?」
もともとジュノのバストゥーク大使館から使いが来る予定だったが、緊急事態でデルクフの塔の調査の依頼を大公から命じられたらしいのだ。
セイバーも調べ物で手が離せず、急遽手が空いていた団長に頼んだというのだ。
「調べ物って何調べてたの?」
セイバーが調べたところ……偽の報告書は大公直筆でサインもあったのだが、筆跡鑑定したところ、大公が書いた物ではないことが分かったらしい。
じゃあ例の偽の報告書を誰が書き、村に届けたのか……
「で、犯人は分かった?」
「いや、まだそこまで行き着いてない。」
彼の言葉に少し肩をおとす。
「でこっちが本物の報告書の内容だ。」
私は彼から書類を手渡される。
その内容とは……『英雄の活躍を称え村の再建費用の資金を与える』という内容だった。
「やっぱりお金が絡んでたのか。」
持ち逃げされたのだ、誰かに……
「何それ、酷すぎる。」
ショーテルの口が開いた。
「とにかく謝罪がしたいらしい。急いでル・ルデの庭に行くぞ。」
セイバーが再び歩き出した。
慌てて遅れまいと私も歩き出す。
まぁ大体の予想は、以前宿で食事していた時に分かっていたから、さほど腹が立たなかった。
……謝罪かぁ……でも大公が悪くはないんだし……
少し大公に面会するのに躊躇している私だった。

第一部完