こんばんは。野崎弁当です。
今日は1994年にスーパーファミコンにて発売された『真・女神転生if…』についてお話しします。
(※画像はNintendo Switch Online版です)
このゲームは、以前ブログで取り上げた『真・女神転生』の
シリーズ作品なのですが、舞台こそ同じ東京ながら、設定は『真・女神転生』のパラレルワールドということになります。
『真・女神転生』とその続編の『真・女神転生II』は、主人公は違えどその舞台は同じ時間軸であり地続きです。
ですが、この『真・女神転生if…』は「もしも、真・女神転生の世界で、あの事件が起こらなかったら……」という、もしものパラレルワールドを描いた作品です。
なので「if…」な訳ですね。
とはいえ舞台設定がそうであるだけでストーリー的には過去2作品とは大きくリンクしていないので、過去2作品をプレイしていなくても楽しめる作品となっています。
さて、この真・女神転生if…は過去の作品と同じように悪魔と交渉したり悪魔同士を合体させたりして、悪魔を使役しながら戦っていきます。
しかし、旧作とは違うこのゲームの大きな特徴が、「学園物」であること、「異世界転移もの」であること、そして「ガーディアンシステム」があることです。
主人公は高校生。学校の教室でクラスメートと会話するところから物語は始まります。
そして、
不安を煽る音楽と共に、学校ごと異世界に転移してしまいます。
そんな中で主人公は、「学校のみんなを助けたい」「とにかく自分だけでも助かりたい」など、それぞれ目的の違う4人のパートナー候補(一人は隠しキャラ)から1人を選び、状況の打破を目指して共に学校と異世界である魔界を行き来していくことになります。
選ぶパートナーによってストーリー展開やエンディングも変わってきます。
そして、主人公たちが行き来する魔界は、「傲慢界」「飽食界」「怠惰界」「憤怒界」「嫉妬界」「貪欲界」と七つの大罪をモチーフにした魔界。それぞれの魔界の特徴やギミックも各々の七つの大罪とリンクしていて面白いです(ちなみに七つの大罪の一つ「色欲」が無いのも、ストーリーと照らし合わせると色々考察しがいがあります)。
今でこそ異世界転移ものや異世界転生ものは流行りのジャンルになっていますし、七つの大罪を取り入れた作品もたくさんありますが、1994年当時にこれらの設定で1本の傑作RPGを作り上げたと考えるとすごいですよね。先見の明……!
そして、このゲームの大きな特徴である「学園物」「ガーディアンシステム」ですが、これらの要素は人気シリーズとなったペルソナシリーズに引き継がれています。つまりこの真・女神転生if……がペルソナシリーズの原点と言っても過言ではないということですね。
学園物という点に関してはその名の通りでほぼ説明不要ですが、女神異聞録ペルソナ、ペルソナ2罪、ペルソナ3、4、5……と各シリーズでこの舞台設定が生かされています(ペルソナ2罪の続編であるペルソナ2罰のみ、とあるストーリー上のコンセプトによって主人公パーティーが社会人となっています)。どの作品も、少年少女の冒険と成長を描き、ジュブナイル的要素が強いですね。
そしてガーディアンシステム。これは、主人公とパートナーに特定の悪魔がまるで守護霊かのように憑りつくことでステータスが増減するというシステムなのですが、これも特定の悪魔(内なる人格を具現化したもの)を自分に降ろすかのように行使して共に戦うペルソナのシステムと似たものであり、ペルソナの基本システムはこのガーディアンシステムを昇華させて出来上がったものだと考えられますね。
ということで、人気シリーズの原点であり、かつ今の時代でも遜色ない設定の傑作が、この『真・女神転生if…』なのですが、
このゲーム、
めっちゃムズイ。
どのパートナーのルートを選んでも難しいのですが、特に難しいのは隠しキャラのアキラルート。他のパートナーで一度エンディングを迎えているか最終ボス手前まで行っていないと出てこないルートなのですが、このルートがめちゃくちゃ難しくて、攻略本や攻略サイト無しでクリアすることなんて本当に出来んのか?というくらい難しい。
↑最難関ルートのパートナーであるアキラ。マジもんの不良です。
他の3人のパートナーとは比べ物にならないくらいルートが難しいので、一度クリアしたとしても是非2週目としてこのアキラルートを楽しんでもらいたいと思います。楽しめるかどうかは自分の精神力によるかもしれませんが。
また、前述したガーディアンシステムを使いこなすのがなかなか難しく、それもこのゲームの難易度に一役買っています。
主人公とパートナーにはそれぞれ守護霊のようなガーディアンが憑りつくことでステータスが強化されたりするのですが、
ガーディアンが憑りつく条件は、なんと死ぬこと。
つまり、主人公とパートナーの強化をするためにはあえて敵にやられなければいけないということになり、しかもどのタイミングで死ぬかによってつくガーディアンが変わってくるので、ちょうどいいタイミングを狙って敵に倒されなければならないというなかなか難解な調整を強いられることがあります。
しかも、頻繁に死んでしまうとどんどん憑りつくガーディアンのランクが低くなっていくため、ガーディアンが憑りつくことで逆にステータスが弱くなってしまうという現象も起こります。
僕が初めてこのゲームをプレイした時はこのシステムを理解するまでにかなり時間がかかりましたね。
そしてストーリー面ですが、このゲームはストーリーの全容を把握することもまた難しく、1ルートクリアしただけだと中々ストーリーの全体像が見えてこないという特徴があります。
みんなを助けたいというユミルート、とにかく脱出したいというチャーリールートでは、それぞれの目的のため奔走することになりますが、エンディングを迎えても、なぜラスボスが学校を魔界に移したかという動機や背景までは多く語られません。
アキラルートでは、ラスボスがどのように力をつけてきたのかその過程を知ることができますが、裏ルート的なコースなのでクリアすること自体が非常に難しい。
レイコルートはいわゆる真エンディングに一番近いもので、このルートを最後まで進めればラスボスの動機や背景が明らかになります。ただし……
といった感じでしょうか。
時間があれば、全パートナーでクリアするとよりこのゲームを楽しめるかもしれませんね。
さて、そんな『真・女神転生if……』ですが、学園物ながらその世界設定やストーリー、そしてエンディングは、他の女神転生シリーズと同じようにかなりダークな雰囲気となっています。
ルートによってはエンディングがもう全然救われないバッドエンディングのような終わり方をするので、非常にもやもやした気持ちのままゲームを終えてしまうことも。
ですが、傑作であることは間違いないこのゲーム。システム的にもストーリー的にも難易度が高いゲームではありますが、また学校と魔界を行き来していきたいですね。