娘と成人式 | スイーツな日々(ホアキン)

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成人は何歳からが妥当? ブログネタ:成人は何歳からが妥当? 参加中


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今日は成人の日。
最近は10歳で「2分の1成人式」を祝う家庭が増えているとか。
ホテルの小宴会場でやる人もいるらしい。
「すごいわね~」と高校1年生の長女に言ったら
「あら忘れたの?私もやってもらったよ」という。
そうだっけ?
よく覚えていない。
しばらくすると、アルバムを出してきた長女の愛が
「ほら、これよ」と指差した。
ああ、これか。
夫と今は中2の次女亜季、夫の両親が一緒になって長女の誕生日祝いをしたのだ。
「おじいちゃんとおばあちゃんがちょうど上京していたのよね」
「理由はともかく、こんな風に6人が集まって、お祝いしてくれたから嬉しかったわ」
夫が奮発して、銀座の個室のある和食レストランを予約したのだった。
「亜季は、私はやってもらえなかった、とむくれているけどね」
翌年暮れに義父が急逝し、義母はすっかり老け込んだ。
義兄夫婦に頼り切る生活になり、上京する元気などなくなったのだ。
「愛だけを優遇したつもりはないのよ」
「今は亜季だって分かっているわよ、お母さん」
「だと、いいけど。そう言えば亜季は?今日は部活はないんでしょ」
「友達と出かけているんじゃないの」

娘といろいろ話す、こんな日も悪くない。
私は短大を出て3年後に結婚、24歳で長女を出産した。
翌々年には次女ができ、あっという間に2人の子持ちになった。
夫は今、2度目の単身赴任中だ。
今3年目。
仕事だから仕方がないが、正直言って寂しい。
短大卒業後、両親を相次いで亡くした私にとって、家族のつながりは何より大切だった。
長女の高校受験の時も、できれば夫に近くにいて欲しかった。
昨年のクリスマス連休には帰ってきたが、年末年始は仕事が忙しく、戻ってこなかった。

「今は成人の日って月曜日ばかりになったけど、昔は15日だったんでしょ」
「そうよ~、お母さんの誕生日」
「もう~、アピールしなくたって、プレゼントは用意しているわよ」
「ボーイフレンドの紹介だけは願い下げよ」
「それはないわよ、あっても別の日にするわ」
「別の日って、愛、あんたまさか」
「また大げさに驚く。。娘のボーイフレンドにやきもきするのは男親のはずじゃないの?」
「お父さんがいないんだから仕方ないでしょう」
スマホを見ていた愛がちょっと間をおいて答えた。
「いないんじゃなくて、単身赴任しているだけじゃない」
「だからその間は、お母さんが目配りするしかないのよ」
「今日はその必要はないわよ」
「どういう意味?」
玄関のカギを開ける音がする。
亜季だ。
「ただいま」
弾むような亜季の声。
「ただいま」
野太い声が続いた。
「え?お父さん?」
「ただいま、久子」
「どうしたの?」
「愛と亜季からせがまれてな」
「まぁ」
「これプレゼントだ」
「誕生日は明後日よ」
「ま、いいじゃないか。それに今日は」
「今日は何?」
「2度目の成人式のお祝いだ」
「あ」
「そうよ、お母さん」
「大台突入おめでとう」
「あんたたちったら・・・」
言葉が出ない。
夫のプレゼントは時計だった。
クリスマスに、デパートの時計売り場で見て、私がため息をついた品だ。
ちゃんと気づいていたのだ。
「クレジットで落ちるから」
「分かっているわ。ありがとう、嬉しい。ほら見て。似合う?」
娘たちに見せびらかすと
「私たちからのも開けて」とリボンで飾られた小さな箱を手渡された。
娘2人からは、ブレスレットだった。
「時計をしていてもバランスがいいと思うの」
「こんな高価なもの、どうしたの」
「お小遣いを貯めたのよ」
「本当はおばあちゃんにも援助してもらっちゃった」
「ありがとう」
「ほら、お姉ちゃん、お母さん泣いちゃったじゃない」
「だめよ、お母さん、今日は成人式、大人でしょ。大人は泣いちゃダメ」
「あはは」
夫の笑い声をきっかけに、家族がみんな笑い始めた。
私も化粧が崩れるのも気にせず、いつしか笑い声になっていた。

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成人式の思い出のある方、お子さんが成人式を迎えそうな方、
あるいは成人式のお手伝いをされる方、いろいろいらっしゃるでしょうね。





(画像はお借りしました)