ハーバーランドを見下ろして | スイーツな日々(ホアキン)

スイーツな日々(ホアキン)

大好きなスイーツと甘い考えに彩られた日々をつづっていきたいと思います。

ハーバーランドの神戸新聞ビル。

この18階にレストランがあることはあまり知られていない。

この地を訪れた人はモザイクや煉瓦倉庫でランチを楽しむ人が多いようだ。


話には聞いていたが、私も利用するのは初めてだ。

女性一人ではやはりためらいがある。


「素敵」

窓際のカウンター席に座った私は思わずつぶやいていた。

「そうだろ?なかなかの景色だよな」

カフェバーでもある「koo 」。

夜景はさぞかし綺麗だろう。



スイーツな日々(ホアキン)

神戸ポートタワーに、オークラ、カワサキワールド、メリケンパークオリエンタルホテル。

眼下にはモザイク。

遠くに六甲の山並みが見える。

船着き場には遊覧船が停泊している。


「週末なのにこの席を確保できたのはラッキーだと思うよ」

「そうよね。よく来るの?」

「え?いや、平日だけさ」

私以外の誰と?という疑問が口をついて出そうになる。

今、そんな話をしても仕方がない。

2人だけ。

大事な時間。


眺めがいいと食事も楽しい。

「今日は大丈夫なの?」

「息子と一緒に、総合運動公園でバレーの試合を見ているはずよ」

スポーツ観戦が大好きな夫。

今ごろ、年端もいかぬ息子に細かな戦術を説明しているだろう。

「お食事も美味しいし、思い切って来て良かったわ」

「僕も嬉しいよ」

彼の視線が私の目と唇をさ迷う。

顔全体が熱くなる。

「あまり見ないで」

「ごめん。だけど景色に負けないくらい綺麗だから」

「お上手ね」

そう言いながら私は直前の出来事を思い出し、改めて彼の言葉に酔っていた。


ビルの18階に昇るには外壁に取り付けられたエレベーターを利用する。

透明な乗り物は外からもよく見える。

それなのに。。

乗って間もなく彼に抱きすくめられ、唇を奪われた。

そう、文字通り奪われたのだ。

ただ、その後、18階につく短い間に、私も彼の唇を求めていた。


手を引かれ、レストランに入った時も心臓がドキドキしていたことを彼は知っているのだろうか。


「この後、どうする?」

無邪気な目をした彼が問いかける。

夫との待ち合わせ時間までまだ2時間以上ある。

彼の部屋はここからそう遠くないはずだ。

「あなたに任せるわ」

そう言うのはたやすい。

それでいいのだろうか?

浮遊するようなこの気持ち。

この高さがそういう思いをもたらしているのかもしれない。

エレベーターを降りる時、また夢見心地の時間があっても

地上に着いたら、現実感が襲ってきそうな気がする。


「遊覧船に乗りたいの」

一瞬、戸惑った表情の彼。

でもすぐに

「いいね。そうしよう」と笑顔になった。

それでいいのよね。

海上にいる間は、また現実とは別の世界で遊べるから。