「ライ麦畑でつかまえて」J・D・サリンジャー著・・・★★★★☆(再読)
インチキ野郎は大嫌い! おとなの儀礼的な処世術やまやかしに反発し、虚栄と悪の華に飾られた巨大な人工都市ニューヨークの街を、たったひとりでさまよいつづける16歳の少年の目に映じたものは何か?
800冊目となり、何を読もうか?と考えたが、大作に挑む気力も時間も無く、再読したいと思っていた本書を10年ぶりに読んでみた。
本作は言わずと知れた青春小説の名著と呼ばれる作品で、多くの人に読まれているにも関わらず、これ程謎の多い(解釈が難しい)作品も珍しいのではないだろうか?
本作に関する解説書も出ている位だが、もしタイトルの出所となる、主人公の”僕(ホールデン)”と”妹(フィービー)”の会話が無ければ、これ程有名にはなっていなかっただろうし、ただのつまらない青春放浪記になっていたかもしれない。
このたった数行のセリフだけで単調だった作品がガラリと様相を変えてしまい、ホールデンの言動の細部にまで謎が隠されているのではないか?と深読みしたくなる気持ちも分かる。
本作を読者がどう解釈しようとも本意は作者にしか分からないだろうし(私も分からない)、傑作 or 駄作だと判断するのも読者次第で構わないだろうが、時代を超え多くの人に読み継がれている事に変わりは無く、これからもそれは続いていくんだろう。
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