「ブラック・ダリア」ジェイムズ・エルロイ著・・・★★★★
1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は〈ブラック・ダリア事件〉と呼ばれるようになった―。
本書は「このミス」1991年版3位の作品で、映画化され(本作も映画化されている)ヒットした「LAコンフィデンシャル」や「ホワイトジャズ」「ビッグ・ノーウェア」と共に「暗黒のLA四部作」とされている。
以前読んだピエール・ルメートル著「悲しみのイレーヌ」で出てきた作品で気になっていた。
600P近くある(文庫版)長編だが、警察関係者、容疑者、<ブラック・ダリア事件>周辺の事件などがテンコ盛りで複雑に絡み合い濃厚で、実際以上に長く感じ読み疲れた。
共にボクサーだった、主人公の巡査バッキー・ブライチャートとリー・ブランチャートの友情と懐疑。
次から次へと現れる容疑者。
地元有力者家族とブラック・ダリア事件の係わり。。。
惨殺事件を巡り、それを取り巻く人間たちの欲望と不安、真相と疑惑が交錯する心理劇を描き、単なる事件解決にとどまらない犯罪小説となっている。
訳者あとがきで「アメリカのドストエフスキー」を目指し・・・
と書かれているが、なるほど、底流には何となくそのテイストを感じる。
ブラック・ダリア (文春文庫)
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