773冊目 銀河鉄道の父/門井慶喜 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「銀河鉄道の父」門井慶喜著・・・★★★☆

宮沢賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、創作に情熱を注ぎ続けた。地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。

 

第158回直木賞受賞作。

 

本作は題名の通り、宮沢賢治の父・政次郎の視点から宮沢賢治の生涯を描いた作品である。

偉人の生涯を描いた小説は数多いと思うが、作家を描いたものは少ないのではないか?

それだけ宮沢賢治の生涯は波乱に富み、人間的にも作家的にも魅力があるという事だろう。

 

明治に生きた男としての表向きの威厳と、賢治に対する内面的な愛情を併せ持つ政次郎と、葛藤しながら自分の道を生きる賢治の姿を、客観的ではなく父の視点で描いた事で、ノンフィクションにはない物語としての面白さを感じた。

 

彼の作品がどうして生まれたのか?その背景を知るにはいい一冊になると思う。

 

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