731冊目 Passione Alfa Romeo/カーグラフィック | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「Passione Alfa Romeo」カーグラフィック刊

大きな転換期にあるアルファ ロメオの真の姿 長く商業的成功に恵まれなかったにもかかわらず、今なお熱狂的な信奉者に支持される魅力の源泉は何なのか。アルファロメオ固有のストーリー、ヘリテージの深部にメスを入れ、新型ジュリアをはじめとする現代のプロダクトに照らすことで、真のアルファ ロメオ像を描き出す一冊です。

 

このブログで雑誌を紹介するのは初めてです。

 

アルファロメオほど「過去の栄光」を背負っている自動車メーカーは他にはないと思う。

裏を返せば「昔は良かったのにねー」という事だ。

 

アルファロメオの栄光は自動車史上に燦然と輝き、アルフィスタと呼ばれる熱狂的ファンも多数いる。

それには、フェラーリもポルシェも敵わないかもしれない。

この私も所有した事は無いが(156を一度試乗した。現在はドイツ車)アルファロメオは昔からの憧れで、生涯に一度は乗りたいと思っている車である。

 

アルファロメオは1910年イタリア・トリノで設立され、創業してすぐにレースに参戦、タルガ・フローリオやミッレミリアなどを席巻、ル・マン24時間レースでも1931-1934年に4連勝し無敵を誇った。

1950年にF1が始まると、アルファロメオは伝説のドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオを擁し、名車「Alfa158アルフェッタ」により初代年間チャンピョンに輝く。

この頃にはフェラーリの創業者である、エンツォ・フェラーリもアルファロメオに在籍していた。

 

写真は158の改良型の159アルフェッタ

1500cc直列8気筒(!)スーパーチャージャー275PS 最高速はなんと300km(マジで?)近く出る!

細いタイヤが何とも心もとない。このボディで300km出したら恐怖だろうな~。

 

その後、資金難からF1からは撤退するが、1960年代には欧州ツーリングカーレース選手権に参戦しサーキットを席巻。

1970年代に再びF1に参戦する。

 

一方、乗用車メーカーとしてのアルファロメオは、少量生産メーカーながらもレースで培った技術を乗用車にも応用し「ジュリエッタ」や「ジュリア」といった小型高性能車を生み出した。

しかし、排ガス規制の技術などに遅れをとったアルファロメオは次第に販売力を失い低迷期を迎える。

1986年フィアットグループの傘下となり復活するかに見えたが、ベンツやBMWなどのライバルメーカーに大きく水をあけられ低迷状態が続いた。

その後「156」「147」などのヒット作を出すもののFF化された乗用車にアルフィスタは嘆息した。

 

ところが2006年、一台のスポーツカーがアルファロメオから発表される。

8Cコンペティツィオーネ。

往年のレーシングカーの名前を冠し、強力なエンジンを美しいボディで纏ったこの車は、アルファロメオ復活を思わせる1台だった。

 

8Cコンペティツィオーネ

3.2LV8ツインターボ450馬力

曲線美に名車ティーポ33ストラダーレの面影を感じる。

 

2013年には8Cの小型版とも言うべき4Cを発売。

1750ccという小排気量ながらピュアなスポーツカーとして高い評価を受けた。

 

そして、アルファロメオの真骨頂とも言えるスポーツセダン「ジュリア」が40年ぶりに復活し、日本でも昨年からデリバリーが開始された。

ジュリアの最上位車種である「クアドリフォリオ」は、ライバルであるBMWのMやベンツのAMGなどに引けを取らない性能で、アルファロメオファンが待ちに待った待望の1台である。

 

ジュリア クアドリフォリオ

2890cc V6ツインターボ 510ps

エンジンはフェラーリV8を2気筒減らした物。 フェラーリとしてはアルファロメオに恩返しした形だ。

 

本書にはジュリアの試乗記をはじめ、この車の開発に携わった「スカンク・ワークス」やアルファロメオの歴史と支えてきた人達、アルフィスタなどへのインタビュー記事と多くの写真で構成されている。

 

話は遡るが、1990年、創業80周年を記念し「Alfa 80」というイベントが開催され、その模様が映像化された。

その映像には前出のF1チャンピョンマシン「159アルフェッタ」を始め、史上最も美しい車と称される「ティーポ33/2ストラダーレ」や「ジュリアTZ/TZ2」「SZ」などの走行シーンが収められている。

 

ティーポ33/2ストラダーレ

史上最も美しい車と称される。

1967年、レーシングカーの「ティーポ33」のロードカーとして発表され、8台のみ造られた。

デザインはベルトーネのフランコ・スカリオーネ。

今オークションに掛けられたとしたら何十億の値が付くと思われる。

 

 

当時この映像(最初はCGTVで放映)を見て、「159」のエンジン音(爆音で耳を塞ぐ女の子が印象的だった)や走行シーン、ストラダーレの美しさに魅了されたが、私が最も魅かれた車が「6C 3000CM」だった。

 

曲線美を持ったクラシカルなオープンボディーと、レーシーで高音のエクゾーストノートが素晴らしい1台だった。

もし、「あらゆる車の中で1台だけ買っていい」と言われたら私はこの車を選ぶ。

 

1953年デビュー

6C 3000CM

6気筒3000cc 278ps 最高速275km

 

とまあ、マニアックな記事となってしまいましたが、今回発売されたジュリアによりアルファロメオが技術的にも商業的にも成功して、再び栄光を取り戻してくれたらと切に願っています。

 

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