「パディ・クラーク ハハハ」ロディ・ドイル著・・・★★★
1968年アイルランド。サッカーが大好きな10歳の少年パディ君の目に映る大人の世界は奇妙キテレツ。大きくなるにつれて世の中わからないことが出て来た。ダブリンの移りゆく町並を背景に限りなく広がるドイルの世界。
1993年ブッカー賞受賞作品。
ユニークな表題で前から気になっていた作品で、パディ・クラークは小学生の少年(ぼく)でこの物語の主人公である。
「ハハハ」は文字通り笑声だ。
舞台は1968年頃のアイルランドで、物語はストーリー仕立てにはなっておらず、弟のシンバッドや友達との遊び・いたずら・喧嘩、意地の悪い先生の授業、理不尽で怒りっぽい父ちゃんと優しく律儀な母ちゃんたちとの多くのエピソードで構成されている。
読み進めていくいくうちに、いつになったら面白い物語になるのか?と思いながら読んだが、読んでも読んでも、出来事の断片だけで途中で諦めた。
子供の頃に体験した遊びや喧嘩などは、悪ガキどもがやりそうな”あるある”で、リアルに生き生きと描かれ、親たちの夫婦喧嘩にはパディは息を潜め怯え、何とかして仲裁したいという揺れ動く繊細な思いが伝わってきた。
しかし、これがブッカー賞を獲ったという事には驚きだ。
私的にはストーリー仕立てにして欲しいところだが、審査員たちに郷愁的な同情を誘ったのだろうか?
パディ・クラーク ハハハ
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