690冊目 春の庭/柴崎友香 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「春の庭」柴崎友香著・・・★★★☆

東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―

 

第151回(2014年)芥川賞受賞作品。

 

芥川賞作品を続けて読んできて、はたと気付いた。

女性作家ばかりである。

調べてみると、ここ10年間で21人の受賞者中、11人が女性である。

特に今回読んだ、147回~151回までは5人連続で女性だった。

時代性があるんだろうか?

 

世田谷の古いアパートの1階に住む太郎は、ある日2階に住む30歳位の女がベランダから頭を突出し何かを見ているのに気付く。

後日、その女・西は近所に建つ水色の洋館を見たいと太郎の部屋に入り、お礼にと居酒屋に誘われ、そこで「春の庭」と題された1冊の写真集を見せられる。

そこに写っている家が水色の洋館だった。

1964年に建てられたその洋館には、撮影当時35歳だったCMディレクターと27歳だった小劇場の女優夫婦が住み、写真集には室内の写真や夫婦のスナップ写真が載せられていた。

西は外で迷っていた子どもを助けた事が切っ掛けで、その洋館に住む現在の家主・森尾と親しくなり遊びに通い始め、太郎も紹介され洋館の中に招かれる。。。

 

ストーリーにはさしたる起伏は無く穏やかに進み、都会の中にありながらも、アパートの住人たちのコミュニケーションや洋館の時代を感じさせるデザインなどノスタルジックに描いている。

 

後半になり、そこまで三人称で描写されてきたものが、何故か突然「わたしが」と太郎の姉の視点に変わった。

結末に何かカラクリがあるのかと思ったが、特別そのような事も無く、どういう意図があるのかは不明なまま終わった。

 

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