669冊目 バディ・ボールデンを覚えているか/マイケル・オンダーチェ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「バディ・ボールデンを覚えているか」マイケル・オンダーチェ著・・・★★★☆

ジャズは、この男から始まった。少年サッチモを虜にした、ニューオリーンズの天才コルネット奏者、バディ・ボールデン。爆裂するコルネットを手に、狂気の淵へと疾走した苛烈な生涯を、妻や友人を語り手とする挿話、インタビュー、詩的断章等によって再現する。伝説と史実を巧みにコラージュした、『イギリス人の患者』(ブッカー賞)の作家によるドキュメント・ノヴェル。

 

オンダーチェの「ビリー・ザ・キッド全仕事」に続く2作目である。

 

Jazzファン(最近はミスチルばっかり)でもある私だが、ジャズの創成期に活躍し「ジャズの父」と呼ばれたこのバディ・ボールデン(1877-1931)の存在は知らなかった。

たぶんジャズファンでも殆どの人が知らないのではないだろうか。

なにしろ、演奏録音も残されていないのだから。

 

普通のジャズファンが聴くのは、古い時代でも1930年代のデューク・エリントンやグレン・ミラーなどのビックバンドによるスイングジャズ、その後のチャーリー・パーカーらによるビ・バップ以降だろう。

そして、ハード・バップが生まれ、帝王マイルス・デイビスの登場によりジャズの黄金時代を迎える。

ジャズファンに人気があるのは、このハードバップ~モダンジャズの全盛期(1950年代中頃~後半)に集中している。

 

バディ・ボールデンは1900年頃から活躍し、ラグタイムをニューオリンズ・スタイルに発展させ、非常に大きな音であったことや絶え間のない即興演奏をし人気だったが、30歳頃にアルコールによる精神病を患い入院しその後の生涯を送った。

後列、左から2番目

 

で、本作であるが、手法的には前著「ビリー・ザ・キッド全仕事」と同様、断片的な挿話、詩、インタビューで構成されている。

「ビリー・ザ・キッド全仕事」よりも詩や空白が少なく、ストーリーの筋立てが出来ていて、物語としては分かりやすい。

しかし、同じ手法で描かれてはいるものの傑作「ビリー・ザ・キッド全仕事」のイマジネーションをかきたてられるような筆致は希薄で、前著より色褪せて感じた。

読む前からそれは危惧していたが、残念ながら柳の下に2匹目のどじょうはいなかった。。。ort

 

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