640冊目 解錠師/スティーヴ・ハミルトン | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「解錠師」スティーヴ・ハミルトン著・・・★★★★

八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に……

 

2013年「このミス」海外部門1位の作品。

このところ、マニアックな本ばかり読んでたので、久々にメジャー(?)な海外ミステリィを読もうと思い本書を手に取った。

 

いや~、久しぶりにミステリィで泣かされた~。

あらすじの一部は紹介文の通りだが、肝心な物語についての話が抜けている。

本作は金庫破りの犯罪小説と同時に、恋愛小説でもある。

 

主人公のぼく(マイクル)は解錠師として犯罪に加担してはいるものの、心に大きな傷を負い喋る事が出来ない純粋無垢な少年だった。

マイクルは高校生仲間たちといたずら目的で侵入した家(マーシュ宅)で捕まってしまい、1年間の保護観察処分を受け奉仕作業として、ひと夏じゅうマーシュの庭でプール用の穴掘りを命じられる。

マーシュにはマイクルと同い年の娘(アメリア)がいて、マイクルと同様に絵が巧く心に傷を負っていた。

マイクルとアメリアは徐々に惹かれあい、お互いに漫画を描いて意思疎通をしだし始める。

炎天下のもと、黙々と穴堀を続けるマイクルの仕事ぶりに感心し、マーシュはある人物に引き合わせる。

8歳のマイクルに何が起き、言葉を失ったのか?

犯罪に加担するマイクルと、一途にマイクルを思うアメリアの行く末は?

 

本書はストーリーもいいが、序章と終章が現在、本ストーリーが1999年と2000年に起こった事が交互に描かれている構成もいい。

マイクルとアメリアが、漫画を交互に書き足して交換しあう場面はオヤジながらに胸がキューンとした。。。( ´艸`)

そして、劇的で感涙ものの結末。。。。(iДi)

本作は単なる犯罪ミステリィではなく、上質な恋愛小説であった。

 

著者のスティーヴ・ハミルトン(1961年生)は本作で米エドガー賞を受賞。

IBM本社に勤める兼業作家で、執筆活動は家族の就寝後に行っている、そうである。

その為、寡作で日本語訳も少ないのが残念。

 

次はまたマニアックで、長~い本です。(>_<)

 

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