「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介著・・・★★★☆
「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。
2年ぶりに図書館を訪れ、さて何を借りようかと彷徨ったが借りたい本が全くない。
何を基準に選べばいいのかも分からず途方に暮れかかったところ本書を発見。
そう、この本は、あのお笑いのピース又吉が書いた「火花」と共に芥川賞を同時受賞し話題となった本である。
又吉のお蔭でこの著者も注目を集め、クイズ番組やらバラエティ番組やらと、ここぞとばかりにTVに出演し、本書がプリントされたTシャツを着て宣伝していた。
著者にしてみれば又吉様様だったんじゃないでしょうか。
前置きはさておき本書であるが、介護老人のじいちゃんとその孫健斗、じいちゃんの実の娘で健斗の母親の3人の日常を健斗の目線で描いている。
現代日本が抱える一番の社会問題である高齢化、老人介護の話で重くなりがちなテーマをユーモラスに軽妙なタッチで描いている。
お母さんが実の娘であるがためのじいちゃんに対する酷い扱いと物言いに対し、「早く死にたい」と口にするじいちゃんをいかに苦痛なく楽に死なせてあげるか?という健斗との対比が際立っている。
結末は健斗が就職で家を出るところで終わるのであるが、じいちゃんとお母さんがこの先どういう生活を送っていくのかが気になるところである。
スクラップ・アンド・ビルド
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