「忘れられた巨人」カズオ・イシグロ著・・・★★★
アクセルとベアトリスの老夫婦は、遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村を後にする。若い戦士、鬼に襲われた少年、老騎士……さまざまな人々に出会いながら、雨が降る荒れ野を渡り、森を抜け、謎の霧に満ちた大地を旅するふたりを待つものとは――。
失われた記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描く、ブッカー賞作家の傑作長篇。
前出した「7つの習慣」を返却し、何を借りようかと思いカズオ・イシグロの棚に行ったら新作(と言っても2015年刊)があるじゃないですか!
即、借りてきました。
寡作な作家なんで首を長くして待っていたけど、2年間一冊の本も読んでなかったんで知らなかった~
前作の長編作品「わたしを離さないで」から実に10年ぶり(2009年に短編集「夜想曲集」はあるが)である。
巻末の解説によれば、物語の舞台は五世紀のアーサー王が姿を消した後のブリテン島(現在のグレート・ブリテン島)。
あらすじは上記の紹介文の通りなのだが、悪鬼やら竜やら妖精やらが登場しファンタジックなストーリーなのである。
しかし、決して大仰な作品ではなくカズオ・イシグロだけに抑制の効いた文章表現に終始し、物語は淡々と進んでいく。
う~ん、これはどう読み解けばいいのだろうか?
AMAZONを見ると高い評価のレビューを書いている方々は奥が深いですねぇ((>д<))
本書の解説によれば、デイヴィッド・ミッチェルという作家が「もしナイフを突きつけられてイシグロの最高傑作を選べと強制されるなら、自分は『忘れられた巨人』を選ぶ。なぜなら、ファンタジーとの融合によって、実直なリアリズムには到達しえない文学の高みを成し遂げたからだ」とコメントしているそうだ。
正直私は本書を読んでいて、いつになったら盛り上がるんだろう?この本のどこがおもしろいのか?と思いながら読み進めて行った。
あと残り2ページ、1ページ、、、う~んこのまま終わってしまうのかぁ?
、、、と思ったら!
結末の3行に思わず唸り声を漏らし、この作品の奥深さを知ったのであった。
イシグロは本書について「(竜や鬼などの)表面的な要素に惑わされないでほしい。新作はたんなるファンタジーではない」「読者がついてきてくれるか心配した」と語ったそうである。
しかし、この作品名はどういう意味なんだろうか?
こりゃまた奥が深~い(>_<)
忘れられた巨人
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