ちくま日本文学全集(13)佐藤春夫
蝗の大旅行・西班牙犬の家・李太白・お絹とその兄弟・美しき町・のんしゃらん記録・殉情詩集 他
久しぶりの近代日本文学。
作者は明治25年生まれ、昭和39年72歳没。
この作品集を読むと著者は実に多彩な作風を持った作家だという事を感じる。
「蝗の大旅行」は素朴で小学生でも読める童話風作品。
「李太白」は中国物。
「お絹とその兄弟」は「おしん」風の女工の人情話。
「のんしゃらん記録」はSF小説的作品。
そして、詩歌など
その中で私が印象に残った作品は「美しき町」。。。
主人公のE(画家)の元に憶えの無い名前の外人から手紙が届き、その手紙には「会って相談をしたい」と書かれていた。
会ってみると幼少からの旧友で混血児の川崎であった。
川崎は父から莫大な遺産を受け継ぎ、それを使ってある壮大な計画を持っている事をEに打ち明ける。
それは東京に自らが都市風景をデザインし、理想の家を建てた”美しい街”を造り、そこに川崎の条件にあった人たちに暮らしてもらう(家はタダで貸す)という途方もない構想だった。
川崎はその都市デザインの手助けをEに依頼する。
Eはその夢のような計画に魅せられ、2ヶ月土地を探し求め東京を歩く。
ある日、Eは美術展覧会を訪れ1枚の版画の画題”NAKASU”から隅田川の中洲が閃きそこに予定地を決定する。
その後、老建築設計技師が計画に加わり3人は設計図を描き、紙模型を造ったりして着々と計画は具体化し進んで行った。
そんな夢中な日々を送り、計画も第1期を終え3人で祝いの酒席を開いていた夜、不意に川崎は2人に告白を始める。
3人の描いていた”美しい町”は。。。
この作品集の通底に佐藤の人に対するやさしい愛情を持った眼差しを感じた。
今日信号待ちしていたら隣の車の中で
旦那がおもむろに自分のマスクをとり
臭いを奥さんに嗅がしていた。。。
新手のSMかっ!
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