160冊目 コインロッカー・ベイビーズ/村上龍 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「コインロッカー・ベイビーズ」村上龍著・・・★★★★☆

コインロッカーを胎内としてこの世に生まれ出たキクとハシ。罪の子ふたりの心に渦まく愛と憎悪。廃墟と化した東京の上空に、華やかなステージに、そして南海の暗い海底に強烈な破壊のエネルギーがほとばしる。巨大な鰐を飼う美少女アネモネの願いは?鮮烈なイメージで織りなす近未来小説の大きな序章。


3作目の本作は前作までの詩情的な作品とは異なり物語性が強い長編作品である。

その分ストーリーも理解しやすく面白い。

本作でもドロドロとして腐敗したムッと臭いがするような村上流の描写が生き独特の世界観を持っている。

安らぎの場所を捜し求め、暴力とセックス、癒しと不安、絶望と希望の世界を彷徨う2人の主人公達を描いている。

読み始めて数ページでこの作品がただならない作品だという手応えを感じた。

近未来的な設定という事で結末はちょっと違和感を感じたが、全編にわたりエネルギーに満ちた著者渾身の作品である事に間違いは無い。

コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)/村上 龍

¥490
Amazon.co.jp