159冊目 海の向こうで戦争が始まる/村上龍 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「海の向こうで戦争が始まる」村上龍著・・・★★★★

海辺で出会った水着の女は、僕にこう言った。あなたの目に町が映っているわ。その町はゴミに埋もれ、基地をもち、少年たちをたくましく育てる町、そして祭りに沸く町。夏の蜃気楼のような心象風景の裏に貼りつく酷薄の真実を、ゆたかな感性と詩情でとらえた力作。


村上龍のデビュー2作目。

この作品の構成はちょっと変わっている。

いくつかの話がオムニバス形式になっているのだが、章ごとに構成されているのではなく、改行だけで前後の文脈は関係なく突然違う話になってしまう。

よって、頭を切り替えながらじっくり読まないと訳が分からなくなる(日曜の昼間にビールを飲みながらほろ酔い加減でこの本を読んだのが間違えだった(´д`lll) が、そこにこの作品の面白さがひとつある。

文体は前作「限りなく透明に近いブルー」と同様短いセンテンスで、詩情的に描かれ、叙情的な”どろどろ”した表現と、叙事的な”さらさら”した描写とのコントラストがこの作品に緊張感を与え独特な雰囲気を醸し出している。

こういう作品は私のツボだ。

もう一度、今度は素面で再読してみたい。

経済について語る今の作者を、この作品からはとても想像できない。



海の向こうで戦争が始まる/村上 龍
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