民主主義の本質を考えよう [前編] | 蜜柑草子~真実を探求する日記~

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民主主義とは何か?
民主主義の本質とは?
答えられる人がどのくらいいるだろうか。(もちろん、古代の民主主義ではなく、近代の民主主義)

嘆かわしいことに、かなり少数派だと思う。
もし、多数派だったなら、今のような惨状にはなっていない。
自信を持って答えている人でも、間違っていたりする。
でも、それは仕方の無いこと。
民主主義とは何かを知られると困る人がたくさんいるから(例えば、文科省、官僚など)、きちんと教えられてない。
今の日本を良い方向に持って行くには、まず、こうした根本から見直していかないといけない。

民主主義を考えるにあたって、いくつかの意見を検討してみよう。

1.「民主主義の本質は、多数決である
これは、全くの嘘。大嘘。間違い。
多数決が生まれたのはいつか? 1179年。
ローマ教皇を選ぶコンクラーベの際に、いつまで経っても次期教皇が決まらないので生まれた。
この多数決が生まれたことで、民主主義は生まれたか? 生まれない。
その後も300年以上、封建制が続いた。
故に、民主主義と多数決は、本質的に何の関係もない。

1'.「民主主義の本質は、少数派(マイノリティ)の排除である
これが誤りであることは、1の系(corollary)として出てくる。
民主主義と多数決は、何の関係も無いのだから、少数派とか多数派とかを考えても意味が無い。

2.「民主主義の本質は、多様性である
これも間違い。
ローマ帝国崩壊後、中世ヨーロッパの社会は、それこそ多様な封建領主が群雄割拠していた。
あまりにもいざこざが多かったので、その領主達の中で力を持っている人を国王と決め、全体の取りまとめ役にしていた。
しかし、それでも一部の特権階級や王様が支配する封建制は何百年も続いた。
多様な人々がその土地に住んでいて、多様な議論を交わそうとも、民主主義は生まれて来ない。
もっと手っ取り早いのは、今の中国やインドを見ること。
人口が多いということは、それだけ多様な人間がいることを意味する。(1人1人は違うのだから)
しかし、民主主義は生まれていない。

3.「民主主義の本質は、民に主権が在るという事である
携帯のキャリアのどこかの社長さんが言ってたね。
良い線行ってるけど、50点。
これだと、ある民が、他の民に対して、100万倍の主権を持っていたとしても、やはり民主主義ということになる。
これは封建制。
例えば、18世紀のイギリス。
選挙はあったけど、選挙権を持つ人もいたし、大都市にも関わらず選挙権を持たない人も、うじゃうじゃいた。
結局、この意見は、シオクラシー(神聖政治)の対極としてのデモクラシー(人が行う政治)を言い換えただけに過ぎない。

4.「民主主義の本質は、議論を尽くすことである
最近、流行ってるね。これ。
でも、間違い。自由主義と混同してる。
次のような状況を考えると分かりやすい。
男女が20人ずついるあるクラスの学級委員を、そのクラスの中から1人だけ選ぶことを考えよう。
先生への影響力を持ちたいから、男子ならA君を、女子ならBさんを学級委員に選出したいと思っている。
そこで、どちらが学級委員にふさわしいか、猛烈な議論をしたとしよう。
そして、その議論によって男子のうち5人が、これはBさんの方がいいな、と思ったとする。
その後、投票を行った。結果は、15対5で、A君の勝ち。
何で15対25じゃないの?
女子は、投票権を持っていなかったから。
これを民主主義と呼べるのか?呼べない。
故に、議論を尽くすことと民主主義とは何の関係も無い。


ここまで考えれば、自ずと答えが見えてくると思う。
民主主義の本質は、全ての人が平等の権理を持つこと
(又は、民主主義の本質は、人権にある)
この"平等"という言葉が、民主主義を理解する急所。
現代の人にとっては、これが当たり前のように思え、暗黙の前提として使ってしまう。

しかし、歴史的に見ると、これほど異様な考え方は無い。
中世の封建社会では、貴族や王様など一部の人間だけが特権を持つことは当たり前だった。今でもそういう国はある。
そこに、予定説が現れ、天地がひっくり返った。
全知全能の神から見れば、一部の特権階級の人間と普通の農民にも、大した違いは無い。
無限大から見れば、どんな数字でもゴミ。塵以下。
人間は、神の前には王様であろうと平民であろうと、皆平等である。
従って、人間が持っている権理もまた平等であるという意識が生まれてくる。
ここから、人権という概念が生まれ、民主主義が誕生した。
そして、民主主義が誕生した後は、バタバタと特権が倒れ、封建制が崩れた。

より詳しい歴史は、中編で。


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