オバマ大統領とパキスタンのギラーニ首相は、ソウルでの核安全保障サミットの晩餐の最中に私的な会談をした。
ギラーニ首相は、アメリカとの関係は選挙によって選ばれたパキスタン議会の知恵や意思を尊重しなければならない、と言った。
オバマ大統領は、関係見直しは、パキスタンの主権を尊重するだけでなく、アメリカの安全保障を尊重することも重要だと言った。
そして、2人は、今後の2国間関係のあり方について、意見を交わし合った。
オバマ大統領とギラーニ首相共に、アフガニスタンを安定させればパキスタンにも平和と安定が訪れる、という目標で一致した。
この会談は、アメリカとパキスタンの関係が悪化しているため行われた。
去年5月のビン・ラディンの殺害や11月のNATOによる誤爆で24人のパキスタン兵士が死亡した(カイバル峠の近く)ことが原因。

ひとこと
パキスタン内部でも、反米デモが起きている。[5]
音頭を取っているのは、最大のイスラム政党ジャマーアテ・イスラーミー。
そして、アルカイダのザワヒリ指導者も、パキスタンの政権を打倒するように言っている。[6]
一刻も早く、アメリカを追い出したい。
しかし、ギラーニ首相は、欧米の支援を必要としていて、内と外の板挟み。
パキスタンのことを考える時は、アフガニスタンも考える必要がある。
パキスタンとアフガニスタンは、さまざまな民族や部族を共有していて、ほとんど一体化しているから。
アメリカのアフガニスタン戦略は、アルカイダを活動させないことと、安定した民主主義政権を作ること。
アメリカとパキスタンが言ってる「安定」とはこのこと。
アメリカ(NATO)は、アフガニスタンへの補給線として、パキスタンとの関係を残しておきたい。
カイバル峠とチャマルを通して、アフガニスタンの首都カブールとカンダハールに補給してるから。
また、アメリカは、パキスタンをアフガニスタンへの盾にしておきたい。
アメリカにとって、パキスタンはこの地域での重要なプレーヤーだから、ギラーニがどう出ようと結局は支援しなければならない。
中国とパキスタンが、これ以上親密になることは避けなければならない。
これをじーっと見てるのがロシア。
ロシアのアフガニスタン戦略は、アメリカをこの地域になるべく引きつけておくこと。
アメリカがアフガニスタンで活動するには、ロシアの助けが必要だから。
そうして貸しを作っておき、他の地域での交渉で譲歩を勝ち取る戦略。
あわよくば国内に影響を及ぼしたいが、ソ連時代の失敗があるので、そこまでは求めない。
この地域は、とても複雑なバランスで成り立っているから、中々平和と安定は訪れない。
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[1]:Voice of America、"Obama: Pakistan Review of Ties Should Respect US Security Needs"
[2]:The Wall Street Journal、"Obama, Pakistan Premier Seek Better Ties"
[3]:PakTribune、"Gilani asks Obama to have faith in Pak parliament"
[4]:Pakistan Observer、"I welcome parliamentary review: Obama"
[5]:Iran Japanese Radio、"パキスタン中部で、反米デモ"
[6]:CNN、"Al Qaeda leader calls for revolt like Arab Spring in Pakistan"