千客万来!! 蒼天堂古書店

千客万来!! 蒼天堂古書店

暇人が稀に小説書くブログです。あ、日記もたまにします。

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「はぁっ、はぁっ…」

インスは自宅へ向かって疾風のように駆けた。

母の無事を確かめなければ。

自宅は定食屋。すなわち料理に使う油など燃えやすいモノがかなりある。

逆に考えれば1階で仕事をしているから、すぐに逃げ出せるということにもなる。

様々な思いが交錯しながら、インスは必死に走り、遂に家が見えた。

! 母さん!!

やはり自宅も轟々と燃えさかっていた。

「…迷ってるヒマはないか!!

腹をくくって、炎の中へと突っ込む。

「ううっ、あっちい…母さん!! 母さん、どこにいるの!

大声で必死に母を探す。瓦礫があれば、鉄剣で薙ぎ払って道を開く。

「クソっ…母さん、母さん!!

「…コホッ、イン…ス…?」

すぐ後ろで、瓦礫が崩れ、母が顔を出した。外傷は特に見当たらない。

「母さん!! 大丈夫だった?

「ああ。お客さん先に逃してたら、調理台の下敷きになってね…なんとか自力で這って出たのよ」

「よかった…すぐに出よう!

「そうしようかね」

息子は母に肩を貸して、どうにか家を脱出した。

「…だあっ、助かった…」

「ありがとね、インス。わざわざ助けに戻ってきてくれて」

「息子が親を助けるのは義務みたいなもんだよ。…そうだ、シグマ!

「シグマ君、何かあったのかい?」

「実は…」

インスは事の顛末を母に話した。

「なぁるほどね…分かった。アタシは先に避難所に行く。アンタはどうする…って、聞くまでもないか」

「うん、シグマを待つ。いや、加勢しに行く!!

OK。絶対、死ぬんじゃないよ! このアタシの子なんだからね!!

レイリアは駆け出して、残されたのはインス1人となった。

「まったく…そこは、『あの人』の息子なんだから、とか言って欲しかったな…」

言い残し、インスは駆けた。

たった1人の良き友人を救うため。

「…シグマ、大丈夫かな…いや、アイツは意外とタフだし大丈夫か」

「お! うぉおーい、インス!!

見ると向こうから1人の少女を打き抱え、走ってくる親友の姿があった。

「シグマ、無事!?

「この俺がそうそうヘバッてたまるか!! …と、その前に…」

シグマは抱いている少女を下ろし、優しくいい聞かせた。

「あのな、ミリア。兄ちゃん達はもう少し用事があって、ミリアと一緒に逃げることはできねぇんだ。1人で避難所まで行けるか? ほら、あの先にある大きな教会だ。すぐに兄ちゃん達も行くから、な?

少女は少し考えた後、元気に答えた。

「うん、わかった! ミリア、ひなんじょでまってる!! だからおにいちゃんたちもすぐに来てね?

「おう、任せとけ!!

「じゃあ、いってくる!! ぜったいだよぉ!

少女、シグマの妹は元気に手を振って、教会に向かって走り去った。

「…さて、平和タイムはこれにて終了だな。あとは分かってんな、インス?

「ああ。このまま逃げても街がボロボロになるだけだ」

「てコトは…」

「この惨事の首謀者を叩きのめす!!

「決まりだな」

「うん。シグマ、武器は?」

「コイツだ」

シグマは両手にはめた鉄甲を見せた。

「何、それ?

「ナックルダスターだ。まあメリケンサックとかいろいろ呼び名はあるんだが、こうやって拳にはめて殴るんだよ」

「へえ、そんな武器があるんだ」

「最近開発されたばっかなんだそうだ…お前もちったあ世の中勉強しろ。科学ってのはどんどん進んでいくんだぞ」

「う…分かってるよ。それより…」

「っと、そうだな。…行くぜ?」

「うん」




生まれ育った故郷を取り戻すため、2人の戦士は駆け出した。

インスが自宅を飛び出した頃と同時刻・・・

ギルセンの街外れにはおよそ200体程のGM軍団が集結していた。

「ッフフ・・・まずはこの街からだ」

「いいのですか? こんな平和ボケした星、それもこんなド田舎を襲って・・・なにかメリットでもお有りなのですか?」

「その疑問はもっともだな。しかし、我はそこに目をつけたのだよ」

「というと?」

「フフン、こんな田舎を襲うことによって人々を完全な戦意喪失へと導くのだよ。

それに、いきなりヴェンデッタやローサットのような大都市を無理に攻撃し、こちらが甚大な損傷を負うのも忍びない・・・まずは確実に勝算のある都市を狙うのが最も賢いやり方なのだよ」

「なるほど・・・武闘派かと思っておりましたが、意外にも頭脳戦もお得意のようで」

「そうか? ハハハハハ・・・」

その中でも一際目立つ、2人組がいた。

1人は長身の白髪、やや2枚目気取りな男。もう1人は低い背で切れ目の悪魔男(ゴブリン)。

「さて、無駄話もここまでだ。そろそろ行くとするか・・・行け、我が獣人(ビースト)軍団!! この街を片っ端から叩き潰せぇぇぇぇ!!!!


グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!


キギャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!





今、獣人達が猛攻勢を開始した。





「ふっ、っふ・・・せいッ!

インスはその頃、家からやや離れた、今はもう使われていない採掘場で鉄剣を振るっていた。

「はっ、せぇい! よっとぉ!

突き、薙ぎ払い、前転してから逆手持ちし、空を斬る。

「…毎日、よく飽きねえよなぁ…」

それを端から眺める少年1人。名をシグマ・レイダース。

インスの幼なじみであり、良き相談相手である。

「ま、好きで始めたことだしね。いろいろ身につけとかないと」

「それをすんのは必然なのかよ?」

「ほっ! ふう…シグマもやる?」

「パス。正直ダルい」

「もー、せっかく誘ってるのにー。相手もできるし、僕としても都合がいいんだけど」

「俺ぁ、オメーみたいに正義の炎がメーラメラって訳じゃーねえのヨ」

「僕だってそんなつもりないよ。ただ…」

「ただ?」

「…いや、なんでもないッ! ほっ!!

一時置いて、また剣を降りだした。

その時、遠くの方で獣のような吠え声が聞こえた、ような気がした。

「…ん? シグマ、何か聞こえない?」

「うんにゃ、なーんにも」

「そんなことないよ…ほら」


・・・・ォォォォォォォン・・・・・


「…そうだなぁ、聞こえる。なんか街であったか?」

「戻ろうか、トラブルだとマズいし」

「そうすっか」

2人は元の住宅地へと走った。



だが、そこは既に、



「…こりゃあ、何の冗談だぁ、オイ…」



異形のよそ者の手によって、



「どうして、こんなことに…」



瓦礫の跡と屍人の山が築かれていた。



周りは既に火の手がいくつも上がっており、化物のようになっていた。

建物は大半が半壊、もしくは全焼しており、逃げ惑う人々の群れができていた。

泣き叫ぶ子供、叫ぶ女性、狂ったように炎に向かっていく男…

そこはまさに、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

「誰が…こんなことを…」

インスは鉄剣を強く、強く、握り締めた。

「あぁ…まったく…人様の土地で好き放題してくれやがって…」

シグマも拳を固めていた。そして、


「どこのどいつだあああああああぁぁぁああああ!!!!!!!!!!


最大級の怒声を放った。


シグマは普段はおどけて、やる気のないように見える少年だが、

この街の誰よりも星を愛する男でもあった。

その為、復讐の念が今まさに沸々と煮えたぎっていた。

「ゼッてえ許さねえ…そいつに1発ブチかますまで、このイライラは抑えきれねえ!!

「…シグマだって充分、正義の炎燃やしてるんじゃない?」

「へっ、そうかもな。…っと、まずは家に戻ろう。家族が心配だ」

「そうだ!! 母さん!!

刹那、走りだしたが、友人の声によって呼び止められた。

「待て、インス!

言われ、インスは振り返る。今も足踏みをし、居ても立ってもいられないという状況だ。

「なんだよ、急がないと!!

「…生きろよ」

そう言って唯一無二の親友は親友に親指を突きつけた。

「…ああ、シグマもね!!

「おうよ!!

2人はお互いの家へ向かって走りだした。



これが彼の伝説の第1歩となるのも知らずに…

えー、連載を開始した僕のファンタジー小説「銀河航海時代」


まだ1話までしか更新できてませんが、おおまかなストーリーやキャラなどはほぼコチラの方で出来上がっています。


そこで皆さんに1つ、お願いがあります。



ぜひこの小説にイラストを付け加えてくださる方を募集します!!


・・・・・・・・あー、流石に無理かなぁ・・・・・・・・

夢なんだけどなー、挿絵。


えー、こんな大胆な募集なんですが、もし、もしもこんな馬鹿の願いを受け入れて下さる方がいらっしゃるのであれば、是非メッセージにて、ご一報下さい。

まだ未登場のキャラもおりますので、そちらの容姿なども設定をお話します。


絵には自信がある。 腕に覚えがあります。 と言う方、ぜひ! ぜひとも!!

「Fの魔術師」にてご一報下さーーーーーいッッッッッッ!!!!!!!!!!


お願いしまーーーーすッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


星々に太陽の光が差し込み、街や都市がにわかに活気づき始める。



ヴァーロック銀河系の遙か南西に位置する惑星、ラルカス。別名『深緑の惑星』。

星の約80%を草原が覆っており、低い背の木々が生い茂る、まさに文字通りの緑の星である。

主に草食系の穏やかな性格のギャラクシー・モンスター、通称GMが生息している。

中には、人々の生活を手助けするような種族も存在する。

人と人とが手を取り合い、仲良く共存を果たしている。



安穏とした平和が続く、辺境の惑星。



それが人々の思い描く、惑星ラルカスのイメージであった。

そう、あの非日常が襲いかかってくるまでは。



ラルカスをさらに西に移動すると1つの小さな街が見えてくる。

そこが伝説の生まれた、ギルセンの街。

この街に、今はまだ他と何ら変わりのない1人の少年が住んでいる。


「ん・・・んんっ・・・・朝・・か・・・」

名をインス・アルカーダ。後にその名は流星の如く銀河を駆け巡ることとなるのだが、

今はまだ全てを語るべきではないだろう。


「ふわぁ~~っ・・・」

寝具からもそもそと這い出し、盛大に欠伸をしていると、


「イ~~ンス~~~ッッ!! 起きなさ~~~いっ!

下から母の怒号が飛んできた。これは日常茶飯事。

たまに自分の方が早起きなこともあるのだが、大半はこんなものである。


「もう起きたって!!

こちらも同じように言い返し、急いで寝間着から普段着へ着替え、下の階へと下りていく。

2階では母、レイリアが朝食の準備をしていた。

余談だが、アルカーダ家は3階建て。1階では母の切り盛りする定食屋、2階にリビングや洗面所などの生活ルーム。そして3階には、インス、レイリアの自室という造りだ。

「おはよ、母さん」

「おっはよう、我が息子よ。ってアンタ、髪ボサボサじゃない。フフッ」

「へ?・・・わっ」



言われて自分の頭皮を見ると、インスの髪は寝グセによって豪快にちぢれていた。

「早く顔洗っといで。今日もバリッバリ働くぞー」

「あんまり無理しないでよ・・・」

言い残し、洗面所へ向かう。

「・・・ひどい顔だなぁ、我ながら」

ほどんどが寝起きのためなのだが。

鏡には橙の頭髪、澄んだ蒼い瞳。見慣れた自分の顔が映っている。

冷水で顔を洗い、髪をとかしてリビングへ行くと、既に食卓には朝食が並べられていた。

「「いただきます」」

母と2人で食卓を囲む。そしていろいろ話をする。

母とのコミュニケーションにはいつも食事がつきものであった。

インスには父がいない。幼い頃亡くなったと母から告げられている。

しかし彼は、父の本当の生き様を既に知っていた。

その物語は追々語っていくとしよう。

「インス、アンタ最近、鉄剣を振り回して遊んでるそうねぇ」

「遊んでるとはヒドいなぁ・・・剣術の稽古だよ。最近始めたんだ」

「なんで?」

「それは・・・その」

急に縮こまるインス。しかしレイリアは深く追求はしなかった。

「・・・アンタが何をしようと勝手だけど、くれぐれも無茶だけはしないでよ?」

「それは母さんもだろ。毎日ぶっ続けで料理してるし。倒れたりしても知らないよ?」

「おっ、いっちょ前に言い返すか、このこのっ」

「ちょ、つつかないでよっ」

「フフフン」

「・・ハハッ」

母と息子のじゃれ合い。普通なら父親とこうなるのであろうが、インスにはそれがない。

だからレイリアは夫を亡くした時、母親であると同時に父親にもなろうと決意したのだ。

まあもともと豪快な性格をしているので、あまり変わらないような気がしないでもないが。

「まあアタシのコトはいいの。ケガとかご近所の迷惑にならないならアタシは口出ししないさ」

「・・・ありがと」

「礼を言われる程のことはやっちゃいないよ」

「そうでもないよ・・・ごちそうさま」

食器を片付けると、インスは出かける用意をし始めた。

「今日もするのかい?稽古」

「うん、しばらくは頑張ってみるよ」

「・・・そ。行ってらっしゃい」

「行ってきま~す」

ジャンパーを羽織り、玄関に縦掛けられている剣を取り、

インスは外へと駆け出した。




この時の行動は正しかったのだろう。いや、間違っていたのかもしれない。


なぜなら既に、街に向かって大量のGM軍団、それも凶暴なものがやって来ているのを、


彼に限らず、大勢の市民が知るよしもなかったのだから。


その昔、数多の歴史から葬り去られた時代があった。





彼らは武器を手に取り、己の烙印を掲げ、星の大海原へ繰り出した。




そこに浮かぶは7つの惑星、秘宝、大罪。



そして幾千の海を支配する、神々――――。





自らの意味を求める者。



自らの野望を果たす者。



自らの可能性を試す者。





各々の目的は違えど、彼らは前へ突き進んだ。





後にその歴史はこう呼ばれる事となる。






「銀河航海時代」と―――――。




これは、そんな時代に生まれた伝説の、ほんの叙情詩に過ぎない・・・・・