斎藤暁文 扇面画 / 江戸・明治時代の肉筆浮世絵の販売価格
斎藤暁文(さいとう きょうぶん)の肉筆の扇面画になります。斎藤暁文は歌川芳輝及び河鍋暁斎の門人。名は金治または金之丞。後に宮川、真下と改名、静現斎真春、一蘭斎輝重、惺々文真、惺々暁文と号す。真下宗八、ツ子(つね)の四男として、上野国群馬郡岩鼻村矢中邑(現・群馬県高崎市矢中町)に生まれる。明治時代から昭和時代にかけての浮世絵師。猿が男の髪の毛を引っ張って、縁台から転げ落ちるユニークな場面の絵です。猿は紐が付いていますから猿回しの猿でしょう。男は団子を手に持っていますから、稼いだ金で男が一人で団子を食べているのに怒った猿の仕返しでしょうか。最近見た動物動画で、エサを2粒しか貰えなかったポメラニアンがブチ切れるのを見ましたが、爆笑してしまいました。餌入れをしばらく見つめて2粒しかないのを見て、鬼の形相になって餌入れを蹴とばすなんて人間のようで可笑しかったですね。いままで飼っていた犬では考えられない行動です。ポメの性格なのでしょうか。そういえば近所のポメラニアンも外見と違って、癇癪持ちで飼い主も本気で噛まれると言っていました。昨日は江戸時代の肉筆浮世絵の画料がどのくらいだったのか、北斎を例に書きましたが結局は良く分らなかったのですが、古画としてどのくらいの価格で売られていたのかの資料は少し見つかりました。文久元年(1861)の「書画価格録」の中には肉筆古画の価格が載っていました。一蝶 六十匁 文晁 三十匁 崋山 四十五匁 嵩谷 十匁 武清 五匁 椿年 五匁 北斎 十匁 雪旦 三匁 鄰松 二匁 祐信 十五匁北斎は十匁というと、文久元年当時の金銀相場は1両74匁位ですから1両を10万円で計算すると、約13,500円になります。北斎の肉筆画が13,500円?これは本当なのでしょうか。ちょっと信じられない価格です。古道具屋での中古品としての販売価格なのでしょうが、それにしても安い。これでいくと一蝶は約81,000円、文晁は約40,500円、本当ならばこの時代は肉筆古画の価値があまりなかったという事なのでしょうか。これは古道具屋での価格なので現在のヤフオクと似たようなもので、本物とは限らない代物と言う事かも知れませんね。ちなみに幕末から明治になったばかりの頃には、錦絵(浮世絵版画)は写楽だとか、歌麿だと かいう錦絵は、余り人気も無く蔵前の須原屋の前に夜になると店を出す坊主という古本屋が、一枚一銭位で売っていたそうですが、それでも余り買う人もなかったと言います。明治初年頃には、浅草見附の辺などの路上に出た露店の店頭に、山積みにされた錦絵を、よりどり一枚一銭位で売っていて、中には、写楽の雲母摺なども交っていたそうです。一枚一銭の絵が、僅か四、五十年の間に嘘の様に高騰するとは思いもしなかったでしょう。今思うとなんだか夢のような話に聞こえます。明治三十年(1897)一月刊の『新撰日本美術書画予価一覧』の中には当時の 肉筆古画の価格が載っています。 (掛軸 絹幅)応挙 300円 一蝶 150円 光琳 200円 抱一 150円 崋山 100円 文晁 150円 若冲 50円 北斎 150円 暁斎 20円 明治30年の貨幣価値がどのくらいになるのかですが、これも何を比較するのかによって大きく異なってきます。今回は公務員初任給が明治30年は50円だったので、現代は22万円として計算すると、明治30年の1円は4400円になります。そうすると北斎は150円ですから、換算すると66万円ということになります。当時は浮世絵が高騰していたでしょうが、まだ現代に比べると相当安いですね。若冲が22万円というのも驚きです。その他の浮世絵師を見ると長春 30円 師宣 45円 春章 6円 清長 3円 春潮 7円 栄之 6円 祐信 40円 政信 10円 豊広 4円 国政 3円 豊信 4円 春町 5円 重政 4円 湖竜斎 4円 哥麻呂 10円 俊満 5円 豊春 3円 豊国 10円 英泉 6円 広重 8円 国貞 10円 国芳 10円 歌麿が10円ということは、44,000円。当時の歌麿の評価が低かったのが分かりますね。春章は6円=26,400円広重は8円=35,200円この時代は海外の浮世絵人気の高まりが国内にも火をつけて、浮世絵を扱う商人が日本国中から「浮世絵高価買取」の広告を載せて、買い集めていた頃なのでしょう。浮世絵愛好家からすると夢のような時代ですね。時間旅行が出来るものなら、価格が高騰する前の時代に買い物に出かけてみたい。