肉筆浮世絵の偽物を見破ろう。 トリックに騙されるな。
今回はオークションで失敗をしない為の話とでもいいますか、偽物の見破り方を少し例を上げてみたいと思います。浮世絵だけに限らず古美術、現代美術にも共通するかもしれません。オークションに入札される方で、かなりのお金持ちと感じる方が、時々現れるのですが残念ながら、そういう方はニセモノを良く買われています。金銭的に余裕があると、よく商品を見ずに買われてしまう傾向があるようです。今までの経験から言うと、オークションではいかにも本物らしく奇麗な箱に入って、誰が書いたのか良く分からない鑑定証などの付いている物は危ないと思ってください。しかも本に載ったことのある品だと、間違いない履歴だと思われるかもしれませんが、これも注意が必要です。これから例題として作品の画像を載せますが、作品の中の一部だけの画像になります。 オークション出品作品(部分) 目録掲載画像(部分)これはある有名な絵師の作品が出品されたときに、以前に有名な寺の所蔵品であり、入札目録に載った事のある品であるとして、目録の写真を載せていました。当然そんな品であれば、履歴がはっきりしていますから本物に間違いないと思ってしまいます。作品の一部分だけを拡大して載せますが良く見比べてください。同じものと思った人は、オークションは当分やめた方がいいかもしれません。この件は模写作品に本物が載った目録を付けて、いかにも本物と思わせるように仕組んだ物でした。インターネット・オークションは実物を手に取って見る事が出来ませんから、画像で判断しなくてはなりません。ニセモノとは当然のことながら本物に似せて作る物だから、似ているのは当たり前の事です。似ていても違いがありますから、それに気付かなくてはなりません。全体をボャーと見れば似ていても、一部分を良く見比べれば違いは分かりやすくなります。 オークション出品作品(部分) パンフレット掲載画像(部分)次の作品は浮世絵師の美人画でしたが、やはり展覧会に出された作品としてパンフレットに掲載されていた、画像が載せてありました。本に掲載された小さな写真の一部を拡大した物ですので、画像は粗く醜い物ですが、慣れると違いが分かります。赤い矢印の付近の線を見ると違うのが分かります。どちらも本に掲載された作品と思わせて、間違いのない真筆と思わせる手口です。ちなみに作品は良く描けていて、本物と思えるほどの出来栄えでした。 オークション出品作品(印章) 真筆作品の印章次のものは浮世絵師の月岡雪鼎の肉筆美人画として出ていた作品の中の印章です。浮世絵の美人画にはとても良く描けている物があるのですが、この絵師の贋作はニセモノとしては飛びきりに上手いと感じます。それはこの絵師を得意とした贋作絵師がいた事の証明なのでしょうが、絵は似ていて判定し辛いのですが、幸いにもこの印章は複雑なので流石にボロが出ています。赤い矢印の所を見ると、直角に近いですが、オークションに出品された方は角ばっていなく、曲線になっています。他の所も同じような違いが随所で見られます。今回紹介した3点の作品は、全て初めから贋作を作ろうとして制作されたものです。一番最初の作品などは、本来オークションに出るはずのないほど有名な絵師なのですが、トリックに引っかかってしまった人は、お気の毒です。展覧会に出品した事が有る事や、本物を証明するかのような書付、豪華すぎる箱などは黄色信号と思って注意しましょう。浮世絵に興味を持たれた方、浮世絵愛好家の方々浮世絵ライフをエンジョイしましょう。