菊川英山  風流四季遊

 

 

 

 

菊川英山の大判錦絵になります。

昨日のニュースなどでも大雪を伝える映像が流れていましたが、そろそろ雪の降る季節になって来ましたので、蒐集した浮世絵を入れているファイルの中から選んでみました。

 

ヤフオクで購入した物でシミなどが見られますが、額などに入れて飾る事もないので、考えてみると勿体ないことです。

 

美人の髪型などから文化期の、まだ英山の若い時の作品だと思われます。

二人の美人が一本の傘に入って歩いている姿ですが、「寒~」という声が聞こえてきそうです。

 

振袖を着た美人が雪の中を歩くだけで、なんとも絵になる美しい景色に見えますが、よく見てみると大変そうですね。

 

着物の裾が地面に着かないように、左手で捲り上げています。

しかも裸足に下駄。

 

こんな下駄で転ばないのでしょうか、翌朝の凍った雪道では絶対に無理でしょう。

しかし江戸時代は皆これで歩いていたのでしょうから、凄い。

まあ、少しずつゆっくりとしか進めないでしょうけど。

 

 

子供の頃は雪が降ると大喜びでしたが、大人になると雪かきの事を考えると憂鬱になります。

まだ関東なので滅多にないのが救いですが、雪国の人は本当に大変でしょうね。

 

 

 

広景 江戸名所道戯尽 廿二 御蔵前の雪 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

江戸時代でも、それは同じだったでしょう。

子供たちは歓声を上げながら雪の中を駆け巡り、雪を使って犬やダルマを作った事でしょう。

江戸時代の雪ダルマは現代の物と違って、本物の達磨のような形だったみたいです。

 

雪ダルマと呼んでいても本当に達磨を、模した物だったとは知りませんでした。

 

 

最近は温暖化と言われていますが、過去の時代を見てみると、縄文時代は暖かく、弥生時代は寒くなり、平安時代にはまた温暖になり、江戸時代は再び寒くなったそうです。

 

江戸時代は現代と比べると、夏は今よりも過ごしやすかった分、冬は江戸でも寒く雪も降ることが多かったといいます。

 

浮世絵にも雪景色は良く書かれていますが、当時の人々は一面の銀世界となると、近場の雪景色の名所などに出かけていたといいます。

 

風流なご隠居さんなどは、隅田川へ雪見舟を出して向島や浅草の雪景色を望んだあと、川を下って深川の茶屋街へ出向いて雪見酒と洒落ていたといいます。

 

 

 

浮世絵の風景と言えば歌川広重が有名ですが、「銀世界東十二景」というシリーズで江戸の雪景色の名所を描いていますので、ご堪能下さい。

 

江戸時代に銀世界という言葉が有ったのも少し意外でしたね。

雪国の人は雪なんか見たくも無いと思いますが、御容赦くささい。

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 真崎の大雪 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 湯しま天神雪のあくる日 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 お茶の水雪中の美人 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 日本橋雪のあけぼの (国立国会図書館蔵) 

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 赤坂山王 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 亀井戸天満宮境内一覧 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 外桜田雪あがりの朝 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 新吉原雪の朝 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 雪の朝州崎の日の出 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 浅草金竜山朝の雪 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 隅田川両川岸一目の月 (国立国会図書館蔵)

 

 

 

歌川広重 銀世界東十二景 井のかしら弁天雪中風 (国立国会図書館蔵)