FOOLS GOLD 

小説です。お暇なら読んでくださいな。

僕が単行本の帯の文句を書く人だったらこう書いちゃいます。

「滅法面白い!」

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕
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ミュージックバトン

ごぶさたしております。

わけあって自宅のPCから離れておりました。

いままでは会社のPCでコッソリみなさんのブログを読みにいったり、コメント書いたりしておりましたが、ここ最近とても忙しいのと精神的にキツかったことがありまして、敬遠しておりました。



今、ひさびさに会社のPCで自分のブログを除いてみたら、少しビックリ。

yokoさんからTB、nikoさんからコメントをいただいていて、しかも同じ件。

ミュージックバトンだと。

いろんなもんが流行するね。

おもしろいので参加いたします。



□Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量)


僕もPCで音楽は聴きません。


□Song playing right now (今聞いている曲)

ケロロ軍曹のマーチ

※最近、CDを聴く機会がめっきり減りました。確実に僕の耳は退化していると思う。

この曲は息子のためTUTAYAで借りてMDに録音した曲です。

子供と一緒に見るアニメがいくつかあるけど、このアニメが一番おもしろい。


□The last CD I bought (最後に買ったCD)

NEW ORDERの新譜

□Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)

1)「FOOLS GOLD」 STONE ROSES

2)「TRUE FACE」 NEW ORDER
3)「DANNY GO」 ミセル
4)「FAKE……」 レディヘ
5)「HIGER THAN THE SUN」 PRIMAL
6)「HEROES」 BOWIE
7)「リンダ リンダ」 ブルハ
8)「KISS」 プリンス
9)「ONE LOVE」 ボブマーリー
10)「移民の歌」 ZEP
11)「WHATEVER」 OASIS
12)「There is a light that never goes out」 スミス
13)「Smells……」 ニルバナ
14)「ガソリンの揺れ方」 B.J.C

う~ん。とても5曲にしぼれない……

だけどこのへんで止めておきます。
各曲の思い入れなども書きたいけど、長くなるので14)以外は割愛します。
14)「ガソリンの揺れ方」 B.J.C
僕は半年に1回くらいしかカラオケに行かないのだけれど、この曲は僕の数少ない持ち歌の一つです。周りからはたいてい知らないのでヒンシュクを買いますが、必ず歌います。歌ってキモチイイんだよね。
□Five people to whom I'm passing the baton (バトンを渡す5人)
コメントをいれてくださったかたにバトンを渡します。
よろしくお願いします。
今度はアルバムとか映画とかマンガとか小説とかちょっと違うものでもいいかもね。

80年代ロック事情


 世は80年代ブームなんだそうな。いわれてみれば、80年代調なノーテンキなロックやらゴスやらニューロマやらなんやかんやいかにもな音楽を最近耳にする。BUZZでも特集をやっていて少し立ち読みしてしまった。2000年代になって80年代がもてはやされているらしい。こういう特集を読むと、ろきのんってホントにダメ雑誌になったなあと思ってしまう。

 

 ロックとは何か?その答えは様々あると思うが、極めて重用な要素の一つに「反体制」がある。「反体制」といってもいわゆるパンクとか共産党とかをイメージしてほしくないのだけど。長いものに巻かれない、要するに体制に迎合しない、自己の表明である。ロックで重要なのは、音楽的完成度でもなければ、演奏力でもなければ、もちろんルックスでもない。大事なのはアティチュードなのだ。自分がロックを通して何と向かうべきなのか、何をすべきなのか、闘う相手は誰なのか、それらを見定めるための手段なのだ。

 

 さて80年代に明確なるアティチュードを持ったバンドがいくつあるだろう?もちろんその数は多くはない。(好きなロックバンドはいくつかあるけれど)80年代というのは少し特別な時期で、それは一言で言えば資本主義が完全勝利した時代だといえると思う。より早く商品や物事を回転させる。それが一番の美徳とされていた。その行き過ぎがバブルなわけだし、その象徴としてMTVがある。MTVにとって一番重要なのはより早く消費することであった。一番大衆に迎合した音楽をもてはやし、そして1ヶ月単位で回転させる。ボンジョビ、ジャーニー、トト、エイジア、ダイアーストレイツ、スターシップ、シカゴ、etc.僕は当時のクソバンドの悪口なら一晩中でも喋れる自信がある。なぜなら僕の貴重な一時期(昔は青春時代と呼んだ。今はなんて言うのだろう?)をそのクソまみれで過ごしてしまったのだから。

 

 ろきのんの話しに戻ると、増井氏が編集長だった頃は前述したアティチュードが雑誌のなかに確かにあったと思う。つまりロッキンオン自体がロックしていたのだ。流行に迎合した記事(それも80年代)なんてものをテーマにしているだけで僕はげんなりしてしまう。

 

 

クイズ、本日の記事のテーマは次のどれでしょう?

1、増井氏はどこにいったの?

2、80年代に比べ、反動で90年代のロックは信用できるのが多い

3、でもクソバンドのLP何枚も持っていたなあ。

 4、 立ち読みしたBUZZの記事でオアシスのリアムがいいことをいっていた。

   その話しは次回に。

おひさしぶりです。

デースケドガーも終わってブログに何を書くか思案中。

最初の頃みたいに、僕の転落人生っぷりを物語風に書くのも正直飽きてしまった。

そんなわけでしばらく、ノンテーマでUPしていきたいと思います。


パリ、テキサス

パリ、テキサス

 この間BSで放映していたので久しぶりに観ました。高校生の頃レンタルビデオ屋で借りて以来です。

当時、コアなヴェンダースファンからはらしくないとの評判をよく聞いていたので(なぜだろう?お涙頂戴的なところがあるからかな?)、そんなに期待しないで観た。でも予想に反して、この映画は当時の僕にとってとても大事な映画になったのを覚えている。


 この映画の一番の魅力はなんといってもハンター君につきる。こんなかわいい男の子を見たのは始めてだった。(注意!僕は誓ってノーマルでありんす)

 おやじになった今ならばいざしらず、同世代の女の子にしか興味のなかった男子高校生でさへ惚れさせてしまうほどのかわいさなのでありました。先日観たときもその印象は変わらなくて、やっぱり僕の知る限りナンバー1だなあと再認識しました。ファントムメナスのアナキン坊やもかわいかったけど、その差は大きい。うちの息子もかわいいけど、ハンター君には悔しいけど負けるかなあ。アナキン坊やとはいい勝負できると思うけど。※念のため自己弁護しておきますが、僕はいわゆる親ばかではありません。とても冷静に公正に判断しております。うちの息子は東京都で2番目にかわいい幼稚園児です。1番と言わないのは、一人くらいはうちよりかわいい子がいるだろうから。(ここらへん冷静でしょ?)いや、ホントだって!冷静だって!決して親ばかではありませんって!

 そんなわけで、かわいい男の子に興味があるかたはぜひご覧あそばせ。


 ちなみにストーリーは悲しみに身を浸した中年男トラヴィスの孤独なお話しです。初めて観たときは1年くらいつきあっていた彼女に振られたばかりで、それだけにとてもシンパシーを感じてしまった。今回は少し違って、トラヴィスのダメ男っぷりに共感。う~ん。なさけない、、、、、o72

 当然かもしれないが、観る立ち位置が違うと、その作品の印象も少し変わる。

 映画に限らないけれど。


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FOOLS GOLD〔デースケドガー〕

レニのたいこが響くとき、デースケドガーに想いを馳せる。


16世紀から21世紀までカードゲームをめぐる異聞奇譚



トップページにまとめてみました。
少し順序を入れ替えてあります。


2chの2スレにて批評依頼中。ちと長いですが読めるとこまででかまいません。

よろしくお願いします。


最後の勝負のゆくえがわかりづらいとのご指摘がありましたので「27」は少し修正しました。

そのほかただ今微妙にリライト中


FOOLS GOLD〔デースケドガー〕1
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史①
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕2
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史②
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕3
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史③
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕4
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史④
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕5
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く①
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕6
デースケドガーに関する考察その3 世界分布図と東京アンダーグラウンド
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕7
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史⑤
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕8
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史⑥
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕9
デースケドガーの遊び方 How to play The Dayskit Dagger
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕10
満州式デースケドガー ルールとレート
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕11
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く②
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕12
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く③
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕13
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く④
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕14
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕15
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕16

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕17
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕18
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕19
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕20
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕21
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕22
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕23
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕24
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕25  
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕26
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕27
エピローグ
あとがき ***********************************************************************************

おまけ

デースケドガー旅行記

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あとがき

あれは全て観客を楽しませる演出だったのだろうか?ドス男は広告屋が絡んでいることを言及していた。ディーラーは凄腕のマジシャン。電気イスなんて相手が本当にその電圧を受けているなんて調べようがない。そして五体満足な彼女。しかし、あの時の彼女が全て演技だとは僕にはとても思えなかった。それでも、全てが演出だとしても、いいような気がしてきた。僕はあのどこか憎めない親分に勝手にキャスティングされた。一晩のギャランティとしてはハリウッドの超一流のアクター並。そして巧妙な脚本。悪くない。平凡な一人のサラリーマンライフを壊したがただそれだけだ。

 

この物語は2005年2月5日に書き始められ、同じ年の年5月4日に書き上げられた。SEOコンテストに乗じて、僕の物語を綴ってみました。幾分脚色してあるが、基本的には実際の出来事をトレースしただけ。文章化することで、この件について検証してみようと思ったのだ。その意味でこのコンテストに感謝します。このコンテストが無ければ小説なんて書こうと思わなかったから。コンテスト期間中に完成はできなかったけど、そのへんはご愛嬌。

 

それからコメントをくださった皆さんに感謝です。暖かい励ましの言葉が無ければとても最後まで書き上げることはできなかったでしょう。

 

最後にこの作品は僕の妻とかわいい息子に捧げます。


(了)



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エピローグ

あれから3年が経過した。僕はあの出来事のあと会社を退職し(あたりまえだ。視力は回復し生活に支障は無かったが、急に小指を2本無くし、頭髪も真っ白になってしまったのだから。とてもサラリーマンを続けることはできなかった。)それまでの貯金を元出にして、JAZZ BARを開いた。場所は新宿2丁目だ。

 

2勝負目が終了した後、僕はヤクザの親分と会い約束通り1,000万円をもらった。勝ち金と合わせて1,800万円になった。そのお金にはまだ手を付けていない。あそこで貰ったボストンバックに入れたまま、店の奥に放り投げてある。この金は僕が身を犠牲にして得た金ではない。愚かな世界の愚かな住人になり愚かな脚本に準じた愚かな出演者への愚かなギャランティだ。いくつものマイナスな現象がもたらした負の産物だ。自分の愚かさを忘れないように捨てないで傍に置いておいた。

 

なにもかも終わった後、例の親分に気に入られたのか、組へ誘われた。僕は柄ではないので丁重にお断りした。翔さんみたいに男気があれば良いかもしれないが、僕には無かった。Vシネマを観ているだけで十分だ。

 

ニューオーダーが新譜を発表した。相変わらず極上のポップソングだ。彼らみたいに演奏の下手糞なバンドがかくも長くリスナーに受け入れられているのは奇跡だと思う。リグレットで「名前も住所も忘れてしまったよ」とうそぶいた彼らだが、今回は「全てが間違いだ。君の所為ではないけれど。君がいなくなって僕はどうすればいいのだろう?」といつもより素直に心情を語っている。

 

一度、新宿のBARでディーラーを見かけた。彼はステージの上に立ち、マジックショーを開いていた。その時一緒にいた連れに聞いたのだが、最近人気の凄腕スタンドアップマジシャンだそうだ。するとあの時の僕の印象は間違っていなかった事になる。僕と目が合った時、彼は微妙に目の光りが変化した。それは本当に微妙だったので、もしかしたら照明の加減でそう見えただけだったかもしれない。その後は見事な手さばきで客を魅了していた。相変わらずクールな男だ。

 

新宿駅で彼女を見かけた気がする。雰囲気は大分違っていたが、あの口元のほくろと胸の大きさは彼女だと思う。僕は咄嗟に左の小指に視線を這わせたが、そこにはきれいに指が5本連なっていた。彼女はチャカカーンだったのだろうか?

 

店は水曜日が定休日だ。理由は一番客数が少ないから。そして日曜日と月曜日は店を23:00に閉める事にしている。毎日明け方まで営業していたら赤字になってしまう。それでなくともなんとか営業している状況なのだから。そして月曜日には店を閉めた後、ローリングストーンに寄り、小1時間ロックを聴く。もちろん踊りはしない。カウンターでジントニックを飲みながら、――僕はジントニックが好きだ。ギムレットやマティーニだと自分もバーテンも周りがこころもち緊張してシリアスになる。その点ジントニックは平和だ。誰もジントニックに真剣さを求めない。平穏の象徴――70年代と90年代のロックに耳を傾ける。そして80年代と現代のロックにもほんの少し。

 

リクエストするのはニューオーダーの「ブルーマンデー」とストーンローゼズの「フールズゴールド」

僕の若かりし日々。気恥ずかしく、切なく、無防備だったあの頃。

 

「フールズゴールド」のイントロダクションが流れた。レニのドラミングが店内に響く。僕は学生時代を想い、そしてあの時僕の身に起きた奇妙な出来事に想いを馳せる。

 

 

おわり

 

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FOOLS GOLD〔デースケドガー〕27

「レイズ オア コール?」

ディーラーが彼に問い掛けたが、彼も長考していた。当然だ。デースケドガーは認識と想像力のゲームだ。僕がレイズアップする金額、タイミング、声色、あらゆることを考慮して、推理の基盤とするのだ。手本引きよりゲーム内容が単純な分、よりその性格は顕著だ。簡単に答えをだすのは、想像力が弱いからだろう。彼も一回戦を勝ち上がってきたのだから、当然楽な相手ではない。

 

「レイズ オア コール?」

僕が500万にレイズアップしてから、10分は経過しただろうか?あるいは永く感じたが実際には5分くらいだったかもしれない。2回目にディーラーが訊ねると彼は何も言わずにディーラーに札束を投げ捨てた。僕はその行為を目で見ていたわけではなく、ドサッという音がしたので、かなりの札束をレイズしたのだと思った。マナーの悪いやつだ。賭場には賭場のマナーがある。きたない野郎だと思ったが、思い直した。それだけ彼も必死なのだ。こんな状況下でマナーを求める方がどうかしている。

 

僕は再度岐路に立つ事になった。またレイズした金額が分からない。こんどは指で清算しなくてはならない。先ほどの音から判断するとかなりの金額だろう。できればコールして金額を合わせたい。あるいは今度こそ勝負を降りるか。今回は金額を訊ねても不自然ではないだろう。彼はアップした金額を言わなかったし、札束も多くなり一目ではいくらかわからないだろうから。僕はディーラーに向かって幾らですかと訊ねた。その刹那、彼は僕に向かって「ウィナー」と叫んだ。

「?」

僕はわけがわからずテーブルの向かい側、相手の方を見た。先ほどまでそこにあった黒い塊、車掌さんがいなくなっていた。先ほどの音は彼がイスから転げ落ちる音だった。きっと1試合目で既に限界にきていたのだろう。彼が倒れたその瞬間に僕の勝利は確定的だったはずだが、視界が悪くなっている僕はディーラーに宣言されてやっと理解した。僕は勝利したのだ。生き延びたのだ。やっと開放されるのだ。そしてこのくそったれな世界と縁を切ることができるのだ。

 

彼がどんな状態でいるのかはわからないが、彼女同様凄惨なのだろう。クールなディーラーは僕を「ウィナー」と讃えた。

「勝者」

僕はその意味を考えた。どこかで笑い声が聞こえた。それはとても大きな笑い声なのだが、どこから聞こえるのかすぐにはわからなかった。この部屋には3人しかいないはずだった。倒れた勝負相手の彼とディーラーと僕だ。倒れた彼のはずがない。ディーラーも笑うはずがない。彼は中立の立場だし、それにクールな彼がそんな笑い方をするわけが無い。笑っているのは僕だった。こんなに大きな声で笑ったことがないので、すぐには自分の笑い声と気付かなかった。もちろん、生き延びたのがうれしくて笑ったのではない。気が触れたのでもないと思う。勝者と自分が讃えられたことに対してだ。

 

勝者。僕がこの二つの勝負で得たものはなんであろう?そして失ったものはなんであろう?得たものと失ったものを比較して、たとえ幾ばくがプラスだったとしても、それが勝者といえるだろうか?僕は勝者ではない。サヴァイバーだ。

 

僕は笑い続けた。そして涙した。

 

 

 
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FOOLS GOLD〔デースケドガー〕26

正直に言って、自棄になっていたのかもしれない。僕はもっと目をこらしてカードの数を理解すべきだったのかもしれない。大金や自分の身体が賭けの対象になっているこのゲームで僕は文字通り盲目に勝負しているのだ。それが、勝負事として正しいことなのか自信が無かった。正しいという言葉は御幣があるな。それが自分にとって有利に働くか否かわからないということだ。僕はファーストベットの100万円をディーラーに放り投げながら、そのことについて考えを巡らせた。今回がいくら勝負になるのかは分からない。相手がどれくらいまでレイズアップするのか。彼も状況はそう変わらないだろう。決して、楽ではないはずだ。どちらにしても早く勝負を終わらせたいに違いない。さすれば、この勝負のレートはインフレ化するだろう。そんな高レートを盲目で勝負している。だが、今の視界ではどちらにしても、はっきりとカードを見極めることはムリだ。それにうまくやらないと僕のキズ(ほとんど目がみえない)がばれてしまう。キズを相手に知られれば、負けたも当然だ。無用に時間稼ぎをされるかもしれない。あるいはサマを使うかも。ヤクザが仕切る賭場で、サマは普通ご法度だ。ただギャンブルの世界ではこう考える場合もある。「ばれないサマは技術である」と。要するに見抜けない方が間抜けなのだ。そういう意味でも僕はまさに崖の淵に立たされていた。だからこそ、盲目に自分の手を決めたのだ。

僕は自分の考えが無限にループしていることに気付いた。おい!しっかりしろ!お前が考えることはただひとつ。どのようにして生き延びるかだ。それこそがこのゲームの本質、サバイバルゲームという本質なのだから。「-にレイズ」サバイバルゲームという、、、、、、、、。まずい。聞き逃した。彼はいくらにレイズしたのだろうか?ディーラーの前には幾ばくかの黒い塊があるような気がする。いくらレイズしたのか、訊ねようとして思い留まった。普通、ズクは100万円で一束だ。2本か3本か4本かそれくらいなら、ディーラーの目の前にある金の山を見れば分かる。それを聞き返すのは、野暮というものだ。だが、いくらレイズしたのか分からなければコールしようがない。今回は勝負を降りるか。いや。待て。こんな風に毎回勝負が推移すれば、確実に自分は破滅する。もう自分には後がないのだ。はっきりと認識しろ。そう。もう自分には後がないのだ。

 

僕は持ち金の全て、500万にレイズアップした。彼がそれ以上賭けたかもしれないが、その時はどちらにしても現金がないのだから、残金に相当する指を教えてもらえばすむことだ。こんな状況だ。引き算ができなくても怪しまれないだろう。僕はもう一度相手の方を見据えた。

 

今度は彼が考える番だった。

 


つづく



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FOOLS GOLD〔デースケドガー〕25

最終戦。なんとしてもサヴァイブしてみせる。僕はできる限り瞳に力をいれて、目の前の相手を見据えるふりをした。ふりをしたのは目が見えないことが相手に知られたくないからであった。ギャンブルでキズを相手に知られることは致命傷だ。それはある意味目が見えないことそれ自体よりも。

この部屋が明るくしてあるとはとても思えなかった。テーブルの向かい側の相手は輪郭がおぼろげにわかる程度で、どんな顔をしているのか、年齢はいくつくらいなのか、さっぱりわからない。雰囲気で男であることはわかる。銀河鉄道999の車掌さんを相手にしているみたいだ。

この最終戦、僕がとった作戦は短期決戦だ。理由としてまず、同じ身体を酷使するならば、レートは高いほどいい。いや、というよりも高い方がまだましだ。目一杯レイズして勝負に望むつもりだった。もう一つの理由が視力の問題だ。今はまだなんとか見えているがいつ全く見えなくなるかわからない。僕の視力は時間を追って悪くなっているようだった。カードが判別できるかどうか心配だ。もちろん、よく見えなくても明かりに掲げたり、目を近づけたり、目を凝らしたりもできない。先に述べたように相手に自分のキズを知られてしまうからだ。

 

勝負が始まる前にディーラーが僕らのイスの電圧を上げた。一気に上げようが少しずつ上げようが、電気イスは電気イスだ。マッサージチェアとは違う。またお尻に衝撃が走った。

僕は200Vだが、相手は何Vなのだろう?僕よりも長く1回戦を闘っていたということは僕よりも多いかもしれない。相手には悪いがそう願った。

 

5枚のカードが配られた。自分のカードを引き寄せ中身を見た。よく判別できない。まず数字が分からない。マークの数で判断するしかない。「1」「2」「3」などの小さい数はなんとか判別できそうだ。絵札も絵柄が潰れているから判別できる。あとは「4から6」「6から7」「7から10」まではちょっと見ただけでは判別できない。僕は考えているふりをしながら、カードを凝視した。

 

僕は長考した。僕のカードは絵札が1枚、多い数(8か9か10)が2枚、中頃の数(4から6)が2枚だった。絵札を真中にして多い数で挟めば、たいてい強い目になる。ただし数字のカードが「10」だと最悪なことになる。そしてデースケドガーの位置に来る数は強い目もしくはとても弱い目だ。デースケドガーがブラックジャックと一番違うところは普通の目(例えば6)では勝てないというところだ。「普通の目」をつくるくらいなら、「強い目もしくは弱い目」のほうがいいのだ。

僕は意を決し、絵札を真中にして開示し残りはカードを伏せテーブルに並べた。

 


つづく

 

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