『眠られぬ夜のために①』七月五日: | 真田清秋のブログ

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 『神の霊の存在については、たとえ他に実証的な証拠はなくても、次の事実はやはりその証拠といえるだろう。すなわち、われわれ自身が精神と意志を尽くして努力しても、もし神がそれを拒まれるならば、われわれは神との結びつきを回復することができないし、また「熱心な信心」によっても、心配や悲しみを逃れることはできないのである。これに反して、神の霊がしばしば思いがけない仕方で訪れてきて、その生命(いのち)喜びをもってわれわれの全存在を満たし、一瞬のうちに全ての重荷をわれわれの心から取り去ることがありうるということである。それでも、人間から独立して自主的に働くこのような力が存在しないであろうか。或いはなんらの実在でもないのであろうか。一体、力より以上に実在するものが他にあるだろうか。とにかく、人間の単なる思想は決して力ではない。これは、自分で慰めを得ようとして得られなかった経験を度々繰り返した人ならば、誰でも知っていることである。そうではないこの力は、一体何であろうか。ーー単なる「心理学」はこの時われわれを全く見捨ててしまう。およそ心理学はそれ自身になんの力をも持たないものであり、かつて、不幸に陥った人を元気付けたことの無い、一つの学問体系にすぎない。』

 

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