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心理コンサルタントのしらたきです。
さて、先日、『他人の評価が人の価値を決める』と題する記事を書きました。
その中で、私は、人間の行動を複雑にしているのは、私たちが、『他人の評価が自分の価値を決める』とい考え方を無意識に信じ込んでいるために、他人の評価に対していちいち言い訳をする行動を取っているからだ、ということを書きました。
(記事の詳細は、コチラ をご参照ください。)
そして、この記事に対して、
「他人の評価を気にするのはある程度はしかたないという風に読み取れたのですが」
というコメントをいただきました。
私としては、この記事で、人の行動が複雑であることや、他人の評価に対する言い訳をする行動とは、もちろん、人が演じる自己欺瞞のことを指しており、その自己欺瞞を演じる要因として挙げられるのが先に示した『他人の評価が自分の価値を決める』という考え方なのだ、ということを理解していただくつもりで書きました。
それゆえ、他人の評価に対していちいち言い訳をする行動、つまり、自己欺瞞を演じなくなれば、今よりも幸せになれるということを伝えたかったつもりだったなのですが、
なぜそのことを容認しているような印象を与えたのか?
と思い、何度も自分の文章を読み返しました。
一体どの表現がそのような印象を与えたのだろうか、と読み返すうちに、ふとあることに気づいたのです。
それは、タイトルです。
私はこの記事のタイトルを『他人の評価が人の価値を決める』という肯定文で表現しました。
そのために、この記事の内容をそのタイトルが示すとおり、私がそのことを容認しているような内容だと理解されたのではないだろうか、と思ったわけです。
ひょっとしてそうであれば、つまり、記事のタイトルが記事の内容に影響を及ぼしたのであれば、そのことを認知心理学では『プライミング効果』と言います。
『プライミング効果』とは、前に受けた刺激やものごとの印象が、後に続く事象に影響を及ぼすことで、人はこのプライミング効果によって、前に受けた印象を引きずりながら、その後のことを理解していることが多いのです。
唐突ですが、ここで記憶のテストをしてみましょう。
次に示す10個の単語を3秒間のうちに覚えて、そのあと、画面を見ずに覚えた単語をできるだけ多く書き出してみてください。
では、いきます。
夜 枕 ベッド 睡眠 眠気 うたた寝 目覚まし 寝坊 寝ぐせ 朝食
さて、いくつ思い出せたでしょうか?半分ですか、それとも全部でしょうか?
この記憶テストは、それによって記憶力の何かが分かる、というものではありませんのでご心配なく。
これで知りたかったのは、思い出した単語です。
みなさんが思い出された単語の中に、『眠り』または『寝る』、もしくは『起床』というような言葉は入っていなかったでしょうか?
もしそのような単語が含まれていたとすれば、それは、提示された言葉が眠ることや起きることに関連していたために、その影響を受けて当然『寝る』とか『起床』という単語が含まれているものだと記憶してしまったからです。
『プライミング効果』とは、このような現象を言います。
私たちは、このように、最初の印象を引きずりながら、その後のことを理解することが多いのです。
最初にどの部分に注意を向けるか、その注意の向け方によって、後の事象の印象が大きく変わってきます。
若い頃に読んだ小説や見た映画を、年を取ってから読んだり見たりすると印象が違って感じるのは、若い頃とは注意を向けるところが違ってくるからです。
もしものごとが行き詰まって二進も三進も行かなくなり、他の視点から考えようとしてもうまく行かないときには、
まず最初に、自分がどのようなことに注意を向けて現状を理解したかを考えてみれば、視点が変えられるようになります。
この記事をここまで読んで違和感を感じられた方がいらっしゃれば、それは、記事のタイトルから恋愛や失敗に関する内容だろうと無意識に思いながら読まれたからだと思います。
それが『プライミング効果』です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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