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心理コンサルタントのしらたきです。
さて、先日、『「私のことをわかってくれない」と言う人は、わかってくれないように行動しているのです。』という記事を掲載したところ、次のようなコメントをいただきました。
(記事の詳細は、コチラ をご参照ください。)
「原因があって結果があるように、感謝されない何かをしているってことですね。
思うようにならない時は、その原因を追及する必要ありですね。
確かに、人間の行動には、その行動の起点となる原因があり、一般的な心理学では、この方の仰るような原因論の立場を取っています。
しかし、私たちの気づきの思考法では、原因論ではなく、『人間の行動には目的がある』とする目的論の考え方を採用しています。
そこで、そのようにお答えすると、その方から、
目的論ですか…
なんか分かりそうで分かりにくい
なんか難しいですか、目的はこの場合はこう!と決まっているのでしょうか?
例の場合だと、嫌われようとする目的は行動範囲を狭くする目的があるとのことでしたが、他の目的は考えれることはないのでしょうか?
というご質問をいただきました。
普段、私たちは、ものごとを原因と結果という因果関係で理解することを習慣としていますので、目的論という考え方は、確かに分かりづらいかもしれません。
しかし、人間は、常に、目的を持って行動しています。
それは、問題を解決する場合の行動を考えれば、分かりやすいかもしれません。
たとえば、指に怪我をして絆創膏を貼った、とします。
この場合、原因論的に考えれば、
『指に怪我をした』のが原因で、『絆創膏を貼った』というのが行動の結果になります。
つまり、指に怪我をした 『から』 絆創膏を貼った、という考え方です。
しかし、必ずしも『指に怪我をしたから』といって『絆創膏を貼る』わけではありません。
場合によっては絆創膏を貼らない場合もありますし、あるいは、違う行動を取る場合もあります。
この場合、『違う行動を取る理由は何か』と考えれば、それは、『そのときの目的が違うからだ』と考えられます。
ある人は、
指に怪我をした。『傷口にばい菌が入らないようにするために』、絆創膏を貼った。
のかもしれませんし、また、ある人は、
指に怪我をした。『これから水仕事をするので、傷口に水が入らないようにするために』、絆創膏を貼った。
のかもしれません。あるいは、ある人は、
指に怪我をした。『傷口を早く治すために』、傷薬だけを塗って絆創膏は貼らなかった。
という行動を取るかもしれません。
このように、人間の行動が、たとえ同じ原因であっても、その行動の結果に多様性があるのは、その行動の目的が違うからなのです。
私たちの行動は、その起点となる原因と、その行動の結果との間に、必ず『〇〇するために』という目的があるのです。
これが目的論の考え方です。
他の例で言えば、たとえば、仕事中にお腹が空いた、としましょう。そのときに、昼休みまでにはまだ時間があったとします。
このとき、ある人は、お腹が空いて、職場をこっそり抜け出した、とします。
この場合、『お腹が空いた』のが原因となりますが、決してこのことが理由で『職場を抜け出した』のではありません。
この人が職場を抜け出しのは、あくまでも『食事をするために』という目的のためです。
さらに言えば、お腹が空いた 『から』 こっそり脱け出した、のではなく、
『見つからないようにするために』 こっそり脱け出した、のです。
このように、私たちの行動には、その行動の結果を導くための目的が存在します。
それゆえ、その目的を知ることができれば、『自分がなぜそのような行動を取っているのか』その理由が手に取るように分かるというわけです。
さて、もう一つのご質問である、
「目的はこの場合はこうだと決まっているのですか?」
ということですが、これは原因論と違って、『ある行動の目的は必ずこうだ』と決まっているわけではありません。
それは、その人がどのような目的を持つかによって行動の結果が変わってくるのと同じように、どのような目的を持つかは人によって変わってきます。
ただ、先日の記事の例で示した『行動範囲を狭くするために』という目的は、もちろん、自己欺瞞を演じていることを意味しているのですが、人が自己欺瞞を演じる場合には、その目的は必ずと言っていいほど『行動しないため』です。
それゆえ、『行動範囲を狭くする』というのは、『行動しないための』常套手段なわけです。
ただ、このような場合でも、もっと具体的な目的、つまり、その人が何のために行動範囲を狭くする必要があるのか、
たとえば、『他人との接触を避けるため』なのか、
『失敗するのを恐れて行動をするのを避けるため』なのか、
あるいは、他の目的のためなのかは、その人がどのような意味づけの世界に生きているかによって変わってきます。
それゆえ、その人の行動の目的を本当に理解するためには、その人の本質そのものを理解する必要があるのです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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