『サザエさん』に見る日本の子育てへの不安  | 人生を変える『気づきの思考法』~アドラー心理学に学ぶ人生を成功に導く方法~

人生を変える『気づきの思考法』~アドラー心理学に学ぶ人生を成功に導く方法~

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マジで今の人生を変えたい、人生を成功に導きたい、そう思う人は、アドラー心理学をベースにした『気づきの思考法』を学んでください。
自らが演じている自己欺瞞に気づき、必ず変わることができます。

サザエさん」と言えば、毎週日曜日の夜6時半からフジテレビ系列で
放送されている国民的に人気のあるアニメです。


 
視聴率は毎回15%以上あり、高いときでは20%前後にもなります。


私も「サザエさん」を楽しみに観ている一人なのですが、
ただ、このアニメを観ていると、どうも不安に思ってしまうことがあります。

それは、磯野家というか、このアニメでの子育ての方法です。


「サザエさん」というアニメが、現在では失われつつある、大家族での一家団欒の様子をほのぼのと描いている作品だけに特に気になります。


ましてや、視聴率が良いだけに、観ている親が真似はしないかとハラハラしてしまいます。

まず気になるのが、カツオへのサザエさんや波平さん(父親)、フネさん(母親)の対応の仕方です。

カツオが何か悪さをすると、すぐに彼らは頭ごなしに彼を叱りつけます。


確かに、他人に迷惑を掛けたり、うそをついたりするのは決して褒められたものではありません。
悪いことをすれば、叱られて当然のことでしょう。


しかし、彼の発想力の豊かさは家族で群を抜いています。
たとえそれが自分の身を守るためにしたことであったとしても、
彼の行動は時に目を見張るものがあります。(彼の強みです)


今のように、彼の行動をすべてひっくるめて叱っていたのでは、
いつの日か、彼は自信を失ってしまい、その豊かな発想力さえも失ってしまうでしょう。
ですから、悪いことは悪いと叱った上で、彼の発想力そのものは、認めてあげるべきだと思うのです。
(悪い点に注目して反応していることが問題です。良い点にも注目して、認めてあげることが大事です)



つまり、彼の行動の理由が自己の保身のためであり、それによって他人に迷惑を掛けたのなら、
そのことに対しては叱るなり、罰を与えたりします。

しかし、彼の取った行動そのものが非常に発想力に富んだものであるのなら、
それを悪いことに利用したことを心から残念がってあげるのです。

そして、彼の豊かな発想力を勉強や普段の生活、あるいは他の人の役に立つことに生かせるように
導いてあげることこそが真の教育なのではないでしょうか。


次に気になるのが、タラちゃんというか、イクラちゃんへの対応の仕方です。

今回は、特にイクラちゃんに絞って話を進めたいと思います。

イクラちゃんは、ご存知通り、まだ言葉をはっきりと話せません。
彼がまともに話せるのは、「ハーイ」と「パプー」ぐらいなものです。

機嫌のいい時には、たいてい「ハーイ」と言い、
機嫌の悪い時や自分のわがままを通す時には「パプー」と怒ったように言います。
そして、この「パプー」が曲者なのです。

イクラちゃんの母親であるタイ子さんは、
イクラちゃんがわがままな行動に出たときには、「いけません」とか「ダメです」とか、
一応叱ることは叱ります。

しかし、その叱り方はいかにもなーなーで、
夫であるノリスケさんが悪いことをした時に怒るような迫力はまったくありません。

そして、ほとんどの場合、イクラちゃんのわがままは通ってしまいます。
その上、彼のわがままな行動がたまたま他人にとって良い結果を招いた時などは、褒められたりさえします。

観ていてゾッとする瞬間です。

人間は、ものの善悪を見極める能力を持って生まれてきますが、何が善くて何が悪いかを最初から知っているわけではありません。また、ある年齢になれば、突然、ものの善悪が分かるようになるわけでもありません。


あくまでも、幼い頃から日々の生活の中で、何が善くて何が悪いかを教えていかなければならないのです。
(0歳児から自立に向けて、教育は始まっているのです)


そして、
そうすることによって、社会にはルールがあるということを子供は理解するのです。


しかし、イクラちゃんのように、
いつも「パプー」の一言でわがままが通ってしまったのでは、
そういうルールを理解する機会を失ってしまいます。

ましてや、
その行動によって結果的に褒められたりすると、
自分の行動は良いことなんだと勘違いしてしまいます。

そして、ある日、
「パプー」と言っても物事が自分の思い通りにならないことを知るのです。
彼はそのことに混乱し、タイ子さんに対して反抗的な態度を取るようになります。

考えてもみてください。
昨日まで何事もなく認められていたことが、今日から突然「ダメです」と言われて、
「はい、そうですか」と納得できるでしょうか。
おそらく、理不尽なことだと思うのではないでしょうか。

それが、イクラちゃんの「パプー」なのです。
昨日まで「パプー」と言って認められてきたことが、今日から突然「ダメです」と言われても
イクラちゃんは「はい、そうですか」と納得できないでしょう。
おそらくイクラちゃんも、自分に対して、理不尽なことをされてると感じるでしょう。
そして、それが反抗的な態度を取らせるのです。

そうなってから、いくら物事には良いことと悪いことがあると教えようとしても、なかなか聞く耳を持ってはくれないでしょう。

だからこそ、幼い頃からたとえ「パプー」と言って自分の意見を通そうとしても、それが間違ったことであるなら、「ダメなものはダメ」」だとはっきり教えていく必要があると思うのです。