46 恋する季節(2)「深間克明の場合」 | 海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

街と空と木と花と虎と、現実と空想のブログです。

函館ちゃんちゃんこ物語46

 

道場海峡男、間本久直、山高ー焚人ー潔、深間克明の、
通称「ちゃんちゃんこ軍団」は、年に数回、不定期に総会を開く。
会場は、いつもの団員の部屋ではなく、
「かしら」を食べたくなった海峡男の提案で、久しぶりに海岸町の焼き鳥屋「かしらや」。
そこで極秘の「軍団会議」が今、開かれようとしている。

 

 

恋する季節(2)

深間克明の場合 

 

ちゃんちゃんこ軍団の「定期総会」、今回は外部会場、焼き鳥屋「かしらや」。4人そろって暖簾をくぐり店の中に入った。まだ他には客はいなかった。道場海峡男、山高-焚人-潔、深間克明、間本久直のちゃんちゃんこ軍団の4人は、右隅のテーブルに陣取った。

 

この「かしらや」を部活でもよく利用しているサッカー部の深間が、

「おじちゃん、生中4つと枝豆どんぶりで一つ!」

と、座るやいなや、いや、座る一瞬前に慣れた口ぶりで注文した。

 

 

「さあ、やるか!」

来たジョッキを4人は嬉しそうに持ち上げて、

「かんぱ~い」
席についてまずはビール!。みんなでとりあえず乾杯して「定期総会」は始まる。

 

特別に議題があるわけではないが、最近調子に乗っているのが深間である。同じ国語の研究室に在籍している野々村さんと、ちょっといい仲に・・・?

 

 

野々村聡子は、地元は函館の出身で、地理研のマドンナ安子の友達である。非常に聡明で頭の切れる野々村さんが、地理研の眠り姫、脳みそが停滞気味のマドンナ安子の友達というのは、はなはだ信じがたいが、もう一人のお淑やかな美人の白沢さんと「地元函館仲良し3人娘」で有名?であった。

その野々村さんとの「のろけ話」をしたい深間であったが、話題があちこちに行って、なかなか「恋バナ」に行かないし、深間に野々村さんとのことを誰も聞かないので、なかなか切り出せないでいると、突然、なぜか間本が、
「おれさあ、うちの横野が可愛いんだよお・・」
とぶちまけた。横野典子さんは間本と同じ哲学研究室だ。また海峡男とは同期入学で、学生番号も一つ前、入学式なども隣だった、小づくりの可愛い人だった。海峡男も、少しだけ横野さんと会話をして、いい感じの人だなあと思っていた。

そんなことで、話題は一気に、間本久直を無責任に励ます方向へ向かおうとしていた。


続きます。



※おことわり
この物語は、実際にあったかどうか疑わしいことを、作者の老化してぼんやりした記憶をもとに書かれていますので、事実とは全く異なります。登場する人物、団体、名称等は、実在のものとは一切関係はありません。
また、物語の中の写真はすべてイメージです。

 

 

「函館ちゃんちゃんこ物語」

毎年届く年賀状。ここ数年多くなったのが「退職」の知らせだ。いつの間にかみんな年を取った。道場海峡男(どうばうみお)は、本棚の隅から、大学の研究室の機関誌「学大地理」を取り出した。色あせた機関誌だが、40年前の懐かしい思い出の数々が鮮明に蘇って来た。

研究室の仲間、ちゃんちゃんこ軍団の同志、4年間の輝く函館の歴史がここにある。