熱風ペナンの物語52「改革へ4」
ペナン支店のうさんくさい内規問題。
海峡男は、実態が分からない内規を明文化するのために、
上西と大坂に、内規をリストアップをお願いした。
数日後、大坂と上西は、約束通りリストをつくってもってきた。
さすが、仕事はしっかりやる連中だ。
海峡男はリストを見て、「これは簡単だな!」と思った。
支店の改革に一気に突き進む。
3日後、会議は始まった。
定例の週予定などを確認したあと、「内規明文化」について海峡男は提案した。
「まず、会社とペナン支店の勤務規定を確認します」
と海峡男は宣言して読み上げた。
当たり前のことではあるが、意外にいい加減にしていることもあるので、全員に確認させた。
「・・・ということです。ペナン支店独自の規定は、
ペナンの実情に合わせてつくられたものです」
「2年前に一部変更されましたが、私ももう少しペナンのことが分かってきたら、
皆さんと相談しながら変更する部分もあるかもしれません」
「その時は、お知恵をお貸しください」
と言って、正式な「勤務規定」については終わった。
次はいよいよ、「内規の明文化」についてである。海峡男は、
「次に、内規というものがあって、今まではっきりしないことで、
特に1年目の私たちが戸惑うことが多かったので、
今回明文化することにしました」
海峡男が支社長を見ると、大きくうなずいていた。
「支社長よろしいでしょうか。」
一応確認して、海峡男はつくった「内規」を配付した。
「昨年度以前にいた方々から伺って、つくりました。ご確認ください」
全員が明文化された「内規」を読んだ。海峡男は言った。
「ご覧の通り、語尾が・・・努めるとか、することが望ましいとか、
気を付けるなど、あえて、断定するのは避けました」
「社内や支店の勤務規定に大切なことははっきり書かれていますし、
内規はあくまでもここペナンで生活する上で、
参考にすべきのものという考えでそのように表現しました」
「何か、ご質問などがありましたらお願いします」
海峡男は周りの様子を伺った。
誰も何もなかった。
「よろしいでしょうか。・・・金田さんいかがでしょう?」
あえて金田を指名した。
「内規に従えないなら会社を辞めろ」と言ったやつだ。
金田は、
「は、はい。いいと思います」
何も言えなかった。
そのあと、支社長にまとめてもらい会議は終了した。
赴任1年目の連中はほっとしたような顔で、席を立った。
それ以後、「内規」を振りかざして語る人間はいなくなった。
その日の空と海は、格別きれいであった。海峡男は特にそう感じた。
「今日も、タイガービアが美味い!」
2022年ありがとうございました。
2023年に続きます。