婦人科便り285 続・HPVは潜伏する  | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございますー

 

しょーじき

HPVの潜伏にそこまで??

と、思っちゃったYO~

ここまで記述させられるとは思ってもみなかったなり。

 

暇なんで、いいんですよ、暇なんで。

い~ですよ~~だ

 

ウイルスについては

確かに中学や高校ではあんま、教わらないですかね。

えー教わらんやった!というマダムは

科学に興味をもって日経新聞を読まれたし。

たいてい書いてある。特に日曜日版。

 

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Q.

HPVウイルスって、彼が変わったらすぐ 

自分の体にもうつって 

HPV検査結果に反映されてくるものなのでしょうか?

私の考えはこんな風にとらえてました
ウイルスに感染しても潜伏しているだけで 

すぐには表面化しない
(よって、検査しても

今の彼が持っている

HPVウイルスは検出されない)

それが数年~10数年し、自分の免疫力が弱った場合など 

何らかの原因で ウイルスが活性化しだし、

異形成細胞を作成する
その際にHPV検査をすると

 数年~数十年前の彼との性行為でうつっていた

HPVウイルスが陽性の反応を出す

こう思ってました

 

A.

彼が変わったら「すぐ」反映されるかどうかは

厳密にはわからんちんです。

だってそうだよね?

彼変わりましたー、はい、検査!とは

ふつうならんやろ。いかが。

 

後半の解釈はいろいろと妄想が混ざってますんで

簡単に解説しておきます。

興味があったらヒトパピローマウイルス、で検索を。

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ウイルスとは面白い「生物」で

自分たちだけでは

増える=子孫を残すことができません。

動物や植物の細胞に感染して

間借りさせてもらうことで

ようやく子孫を残せるようになります。

生きとし生けるモノすべての目的は「生殖」

ウイルスもご多分に漏れず、

増えよう、増えようとするわけですな。

 

ウイルスにはそれぞれ、

「好きな場所」ってのがありまして

ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)

の好きなところは

扁平上皮、しかも根っこに近いところの基底細胞です。

HPVはわかっているだけでも

100種類くらいあるそうなんですが

たいていのHPVは扁平上皮細胞の遺伝情報がない部分、

いわゆる細胞質というところまでしか入らず

そこでせっせと感染細胞の

システムを借りパクして「子孫を作ります」。

 

子孫を作ると一般的な他のウイルスが

感染した元々の細胞を「壊して」

大量に出てくるのと対照的に

HPVは宿主を壊さず、

ひっそりこっそりしのびながら

じわーっと出てきます。

よって、そこらへんをパトロールしている

免疫細胞には見つからず

「潜む」ことが可能なようです。

 

ここに新しく「炎症」つまり

細菌感染などのイベントが起こると

侵入してきたばい菌を

やっつけようと駆けつけた免疫細胞が

「ついでに」こそこそしていたHPVを見つけて

退治してくれるので

感染された細胞が

そこまでひどくウイルス仕様になってなければ

自然治癒もあり得る、と予想されます。

よって臨床的には軽度異形成までは

見かけ上、「治癒」の可能性もある、

ということになります。

比較的お若いマドモアゼルなら

ぶっちゃけ、「感染」のチャンスも多いため

治りやすいんじゃないかな、知らんけど。

一方で感染の機会が多いということは

新しい型のHPVもまた

感染する機会あるということなので

結局のところ、正解としては

「HPVは常におるんじゃね?」で、ございます。

 

感染の機会がそんなに訪れないマダムは

ヨーグルトなりR1なりを摂取し

腟内の乳酸菌を増やし、免疫システムをアップ

今あるHPVに対峙してもらえばいいと思います。

ちなみにこないだまでせっせと大学で

乳酸菌で異形成は治るか?とかまじめに治験してたよ。

どういう結果になったかは知らん。

だんだん万能薬みたいに扱われている

乳酸菌ではありますが

あんまり高くないし、

お腹の調子を整えるのにもよさそうなんで

お財布に余裕があるなら

摂取してもいいかもしれないですね。

なんとかのサプリより健康的ですし。

 

長くなったので

 

つづく!