閑話休題 うちのコムスメの言うことにゃ② | 婦人科備忘録

婦人科備忘録

ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

お気遣いもしかと受け止めておりますまるぽこ。です。

 

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羽鳥慎一モーニングショーで、

日本の外科医減少について取り上げていました。

ゲストにこられていた

大阪医科薬科大の河野恵美子助教が、

特に女性医師は医局に入る時点で差別を受けて

外科医への道が険しいし、

なれたとしても簡単なオペしか

させてもらえないと話されていました。

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まあ、上記はちょっと

センセーショナルに言い過ぎ、かな?

テレビでは大げさに言わないと

注目されないので殊更に衝撃発言を

してしまいがちだと推察します。

私が研修医だったジュラ紀、

女性医師専用の更衣室すらなくて

当直室で目が覚めたら助教授(55歳、男性)

に添い寝されてたことあるYO びっくり


それに比べれば今はなんぼか進化しています人類。

 

ぼちぼちと若い女性医師も第一線で活躍しつつあるし

キツくて報われないことが多い仕事は

避ける傾向にある昨今、

かつて多数日本にも生息していた、

女はすっこんどれ!とか言って

女性を数に数えないようなジュラ紀的頭では

いずれ絶滅していく運命にあるかと思われる。

っつーか、はよいなくなれ。

 

ただ、現実問題として

外科の手術は長い。

婦人科と比べるとチョー長い。

たまにお腹の中がうんこまみれで

ほんとにげんなりすること多数。

確かに体力勝負な点があるのは否めない。

 

うちのコムスメも外科系に入局したいと

常々申しておりまするが

内科系だと在宅でも本人さえ志を失わなければ

いくらでも勉強できるのに対し、

外科系は手術に入ってなんぼ、

執刀してなんぼの世界であるため

女だからと手術に入らせてもらえないと

技術の習得はムズカシイ。

 

オペ室って相撲の土俵?

それとも高野山かなにか?


と勘違いしてしまいそうになるが

創意工夫で負けずにくらいついて行くことは可能。

それを可能と認めず

俺たちが苦労してきたように苦労しろ!

と四方八方、ハラが出ているおじいたちが

目下、壁として立ちはだかる。

 

寺社仏閣を造る宮大工は

(例によって例のごとく又聞きですけどね)

これはと思う弟子に目をつけると

最後の試験として

今まで建てた建物の詳細が記された書物が

大量に収められているお堂を掃除してこい、と

言われるらしい。

・・・んで、素直に掃除「だけ」してくると不合格。

一人前の宮大工になるためには

掃除と称してそこに入れたからには

「自発的に」その書物に目を通し、

秘伝の技術をこっそり

ものにしなくてはならないんだそうだ。

 

なんで?

教えてやったらええやん。

何すかしこいてんの。

 

ちょっと昔の外科系医師にはこの、

宮大工伝承タイプが多かった。

俺の背中を見て覚えろ、とか言われても

特に子宮鏡手術なんて

肩甲骨の動きしかわからん。

もちろん、なんでも教える側が用意し

やる気を焚きつけるだけだと続かないので

(すぐ飽きちゃう)

できれば若手の方から

「これはどうしたらええですか」

と聞いてほしいですけどね。

特に年齢が重なってくると

ごく単純な技術、これをどうやって修得できたのか

 

すっかり忘れていますからね

すっこーん!


一億皆、記憶喪失。

聞いてもらえば思い出すよう努力する。誓う。

 

誰しも最初は1年生。

究極のところで体力に劣る女性が働きやすい職場は

男性にだって働きやすいし、楽しい職場であるはず。

人類皆兄弟、

できれば仲良く、協力体制で

たのしーーーーーーく手術をしたい。


要はどれだけ技術を系統立てて伝えるかであって

俺だけがグレイト!をやめてもらえばええのです。

 


ちなみに婦人科は外科よりもっと人材不足であるため

割と早期に執刀を任せてもらえるYO!

腸より子宮が好きな人、集まれ~

 

若手の合流を気長に待つ。