閑話休題 軟着陸を目指す。 | 婦人科備忘録

婦人科備忘録

ある婦人科医の独り言です

お便りをお寄せ下さりありがとうございます。

 

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診断時71歳 現在73歳
辛い治療から逃れる安楽死は罪だと思いますが
それでも延命より苦しまない最期を望む 

としよりの気持ちはまた違うと思います。


子宮などから病巣が広がりすぎていて

手の付けられない状態から
今現在のとても元気な状態にしていただいたのは 

医療のおかげと感謝していますが
としよりがお金をかけて治療をすることに

以前から疑問を持っていました。
手術後ストマ(人工肛門)になり 

こんなことをしてまで生き延びようとする自分が

どうしても許せないのです。

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サムライですな。うん、サムライ。

下手な情けは受けぬ!という気迫を感じます。

人生の先輩に申し上げることなど

この若輩者、何もござらんが

一言だけ言えば(やっぱ言うんかい)

 

墜落より軟着陸だYO

 

だいたい私の意見はこれに集約される。

 

先日も上梓した安楽死やら

人としての尊厳やら

みじめに死なないやら

いろいろ好き勝手書いてきたけど

すべてを貫く基本的な信条は、これ。

 

陸を飛び立った飛行機は

どんなにいい飛行機でもいずれ燃料が枯渇する。

ずっとずっと飛び続けることは叶わない。

でも、他を殺さず傷つけず、

そっと軟着陸することは

努力次第では可能かもしれない。

いっきなりエンジンを止めてがーっと落ちたら

みんな迷惑、自分も迷惑。大炎上して森が焼けるかも。

他者を巻き込み、不幸にすることだけは

なんとしてでも避けねばならぬ。

 

かつて新渡戸稲造は著書「武士道」の中で

武士道といふは死ぬことと見つけたり。

と書きましたね。

ほら5000円札のおじさんですよー

あれは、何もせずともいつか

行き着くところが「死」なら

せめてかっこよく、

今まで生きてきた集大成にしようぜみんな!

ってことをむずか~しく言うただけなのでは、

と思うんですよね、諸説あれども。

 

なにもどんなことがあっても挫けず戦え、

言うとるのではありません、先輩。

死ぬにもきちんとした手続きがございます。

例え安産であっても

あんなに泣いて、苦しんで生まれてくるのに

死ぬのが苦しくないはずはないし

きっとたくさんの人の手を借りることになるでしょう。

それでもできるだけ

軟着陸を目指そう、この世を愛そう、

ということを言いたいだけです。

 

森を焼かないために。

 

それは、

関わる人間すべてに対しての敬意だと思うんです、

とどのつまり。

 

そして今、悩み右往左往するだけでも

砂時計の砂は確実に落ちていく。

迷ってるだけ時間がもったいないので

ぜひ、美しいこといじらしいことせつないこと

失いたくないこと伝えたいこと見届けたいこと、に

集中してください。

 

ほら元気出して。はなかんでー

延長戦、できるだけいい試合にしましょ。

 

 

野球はツーアウトから!!

ホームラン打つで!!!