婦人科便り260 生殖医療は不自然ですか? | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ありがとうございますー

 

先日、術中の所見から

赤ちゃん希望の若いご夫婦に

「体外受精の方が近道ですよ」と告知かました同僚が

診療後、ひとしきり一人で苦悩していた。

こムズカシイ顔したムッシュ、

「体外受精ってなんか不自然なような気がして

 気が進まない」言うたそうです。

その違和感をなんかで済ますな。

傍らで美しいマドモアゼルはしくしく泣いているし

こんな外来、いたたまれないよねーーーーーー

そんなムズカシイ局面で

どう返せばいいのかわからなかったそうだ。

 

かーんたん

 

ムッシュ、あなたはiPhone使ってますか?

ああ、使ってる。

それ、不自然ですよね?

自然がいい、おっしゃるなら

 

真っ裸で槍持って

洞窟生活せんですか、あ?

 

・・・と即座に言い返せるように日々訓練することを勧めた。

すべてはトレーニングと瞬発力。

キーワードは素っ裸と洞窟ね。

 

大事なことなのでメモして。

 

江戸時代、「三年子なきは去る」と

女性蔑視この上なかった。

つまり、夫婦になって3年間で後継ぎを産めなければ

女性は婚家を去らねばならなかったのだ。

子を産めない女として。

以前にもこのブログで書いたが(探してちょ)

日本の昔話の主人公たちの多くは

「子供のいない老夫婦」である。

桃太郎も花咲じじいもすずめのお宿もかさこじぞうも

よう考えてみ?

あれだけ子だくさんの時代が長かったにも関わらず

お時話に出てくる夫婦は

子ができずそのまま年を取ってるぢゃないか。

そういった、語られない背景に気が付くために

我々は学校教育を受けているのだよ。(えらそう)

 

労働力としての「子」がいない家庭は

集団へそれを提供できず、よって立場が弱く

村や集落から仲間外れにされる傾向があった。

どんなに清く正しく美しく暮らしていても「子がいない」

その一点だけで差別区別されていた時代

日本昔話は

そんな弱い立場であってもくじけず生きていたら

きっといいことありますよ、ということを暗示しているのである。

わかるか?このいじらしさを~~~~~~絶叫

 

駄菓子菓子

 

何度も言うようだが時は令和。

もしかしたらもしかすると

マジでドラえもん作れそう、なところまで来た。

 

生殖医療もずいぶんと進歩し

今や、体外受精で生まれたお子がそのまた子を作り

孫の世代が生まれつつある世の中で

知らない・わからない・受け付けられないといった

己の無知「だけ」が理由で

体外受精は不自然、と言い放つ、

そのデリカシーのなさを即座に反省せい。

不自然上等。iPhone大好き。

しつこいが時は令和であり

お忘れのようなので念を押すと

江戸時代は明治維新で終わっているのだYO。

 

もっかい、

歴史の教科書を見ろ。

書いてある。

明治維新1868年

いやーろっぱくん、めいじだよ、で覚えたろー

ところで「ろっぱ」くんて誰。

 

子供が欲しい男女に

子供のいない人生を努力もなしに諦めさせるのは

もはや虐待だと私は思う。

もちろん、努力してもままならない人生もあるだろう。

誰もが思い描いた夢が叶うとは限らない。

ただその時流した汗や涙は単なる分泌物じゃねえ。

がんばったねあたしたち、が未来の自分らを支え

次の難局を乗り越える原動力にきっとなるし

なるように努力することに繋がる。

 

そこまで言われてもなお

俺は真っ裸、洞窟生活を頑張る!

というムッシュがいたらぜひ挙手願う。

・・・どんな顔だかちょっとだけ興味があるので

できる範囲でお会いしに行きまっす。

 

洞窟に。(どこの)

 

 

裸にひんむいてやろうか!ふんかふんか