婦人科便り229 いつ手術をするのか問題 ② チョコレート嚢胞 その2 | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ありがとうございます。

 

メッセージに何かしら、

商品の宣伝をお願いするものがぽつぽつ来ているが

極めつけにめんどくさがり屋なので

ごめんあそばせ。

 

尻にクリーム塗って→しばらく塗って

→尻の具合を鏡で確認→つやが出たかどうか確認

→前後で写真撮る→ブログになにかしら書いて

→写真をアップして→感想を書く・・・

思いつく限り、かなりの工程があるじゃないか。無理。

そちらもきっとお仕事なのであろうから

お断り申し上げるのは大変申し訳ないが、

きっと別の、尻に日々、注目しているマダムが

宣伝してくれると思うYO。がんばれ。健闘を祈る。

 

しかし、なぜに尻クリーム・・

確かに山笠の担ぎ手は

見せ尻にするため尻ケアをしているとの情報があるため

そちらを狙うといいのに・・・と、

担当者に教えてあげたいがぐっと我慢する。

もしこの記事を読んでくれていればトライ。

 

さて、だいぶ尻クリームにブログ面を割いた。

そんなこんなで何かの宣伝は

だいたいのところお断りしておりますので

安心して読んでください。

ちなみにつらたーんは

誰からも宣伝されていないことを明記。

ちょっと辛すぎた。かっら。口から火を吐くかと思た。

 

 

もっと若いマドモアゼル世代のチョコレート嚢胞

いつ手術するの?問題

ちょっと前の国家試験に出題されていた。

婦人科医の間では

日常臨床のあるあるを扱った良問とされたが

産婦人科の授業など居眠り&鼻くそほじる時間

くらいに思っているだろう医学生には

難問だったようで、採点から外されたと聞く。悲しい。

 

赤ちゃんほしい世代のチョコレート嚢胞の治療は

取っておしまい!的マダム世代のそれとはまた別の苦悩が存在する。

 

チョコレート嚢胞は卵巣の周囲に

癒着を生じさせるばかりか

どうも排卵まで邪魔しているらしいのであるが

いざ手術で嚢胞を摘出しようとすると

正常な卵巣までちょっとは削れてしまうので

大事な卵が手術によって失われる可能性も秘めている。

 

卵巣の機能を最優先して

先に体外受精で採卵しようとすると

間違ってチョコレート嚢胞を穿刺してしまい

結果として中身が漏れ、それを餌にばい菌が入って

不妊治療どころではなくなるような

骨盤腹膜炎をおこす可能性もあり

腕のいい不妊治療の専門家だと

場合によっては先に手術してこい、

と言って寄越します。

 

そこらへんを見極めつつ

この人は先に手術、あの人は後で手術、と

判断していくわけなのであるが

なかなかどうして、

そう簡単にはマドモアゼルも動かない。

個人の思いがそこに加わり

 

なんで私は先に手術なの、

そんなの嫌に決まってるでしょう~

 

的な爆弾も時に紛れる。

 

一人外来で爆発すると後がつかえてしまうため

慎重に導火線を切っていく作業が求められる。

外来では一発触発

いつ何時誰が爆発しても対応できるよう

常にペンチを携帯しておかねばならない・・・あれ?

何の話だったっけ

 

・・・そうそう、チョコレート嚢胞ですYO

 

ちょっと気持ち、

何かの特殊捜査班みたいになっていますが

それだけ生殖年齢のチョコレート嚢胞は

血と汗と涙がつきもの。

甲子園と同じくらい、

熱き闘いが繰り広げられておるのです。