ネタ提供ありがとうございます。
まず、肉腫と癌の違いをおさらいしましょう。
以前もこちらのブログで解説しましたが
再度お尋ねがございましたので
耳タコだったらスマソ。
ギョーカイ用語ではありますが
悪性腫瘍＝がん＝肉腫＋癌（漢字）
よってなんちゃらがんセンターは存在するが
なんちゃら癌センターと表記することはない。
癌＝人間の体の一番外側をくるむところの悪性腫瘍
扁平上皮、腺など
婦人科でいうなら
子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんが
これに相当。
体の外側をくるむところは外からの刺激が多いので
遺伝子が傷つきやすく、がん化しやすい、と
覚えていただければ。
肉腫＝上皮や腺以外の、間質や筋肉の悪性腫瘍
婦人科でいうなら子宮平滑筋肉腫、卵巣肉腫など
間質や筋肉は比較的細胞分裂がおとなしいので
がん化しにくく珍しい、となります
思い出した？
ま、全国のマダムが納得するまで
何回でも書くけどねー
研修医のせんせもわかってない人多いんで
あんま覚えてなくていいです。
なんどでもbyドリカム
さて
子宮肉腫は
子宮にできる悪性の病気の１％程度に起こるもので
比較的まれです。
悪性度が低いものからすごく悪いものまでさまざまで
患者さんの数がごく少ないので
なかなか治療自体に統一性がありませんし、
研究も進んでなくて
決定的な治療法は確立されていません。
子宮にできた肉腫と言われて
すぐ思い出すのは平滑筋肉腫で、
子宮の筋肉細胞に突然変異を起こして悪性化するもので
悪性度が高いものはほんとに恐ろしいです。
以前、わたしの先輩が
筋腫と思い込んで
めっちゃでっかい「筋腫」だけ摘出したあと
１週間くらいで再発
退院する頃に同じ大きさに育った、
というケースを体験して青ざめていた。
みるみるうちに同じか、それ以上に育つ腹を見て
マダムと手を取り合って泣いたんだとか。ホラー
さて、お尋ねの件ですが
本来一つ一つお答えする方針でいましたが
肉腫をこの際まとめてお答え。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
Q１．「筋腫が肉腫になるのではなく、
肉腫は最初から肉腫」と医師から言われた、
という記事を最近見つけましたが、そうなのですか？
はい、そうです。
筋腫と見かけはよく似ていますが
筋腫ががん化することはありません。
いわば他人の空似
駄菓子菓子
手術をするとき気を付けないと
手術のストレスで肉腫の目が覚めて
一気に病気が進むことがあります。
筋腫と肉腫の鑑別は、
そういった意味でとても大事なんですね。
Q2. 筋腫ではなく肉腫である
確率はどのくらいなのでしょうか？
子宮筋腫だ、と思い込んで手術をするケースの
５００人に１人くらいです。
骨盤MRIを術前に撮影することで
さらに診断の精度が上がる。
例え閉所恐怖症であっても耐えに耐え、
検査をすることをお勧めしますです
わたし、
狭いところが苦手で～ぇ、
とか
くねくね野の字
書いとる場合やない。
命かかっとるわ！
こういう場合は鎮静剤を打ってでもMRI。よいな！
Q3.子宮肉腫を疑ったらどうすることが標準ですか？
私は「子宮と卵巣の摘出を」と言われました。
肉腫を強く強く疑う場合は
転移しそうなところ、つまり
子宮と卵巣、卵管を全摘出が標準です。
肉腫を疑っているのに卵巣を残す話が出るのは
おそらく、主治医があまり強くは疑っておらず
多分肉腫じゃないだろうと踏んでいる可能性が高い。
また、対象の患者さんがお若く、
例えば３０代未婚女子、とかだと
遠慮してちゃんと診断が下ってからにしよっかなー
とか思うこともあります。
肉腫の診断は結局のところ、
病理診断に頼らざるを得ず、
切ってみないとわからんちん、だからです。
婚活中&未婚だとおいそれとぜんぶは取れん。
命が助かるだけでは
救われないこともまま、あるのでがーす。
私もかつて、３０代半ばの未婚女子で
肉腫に苦しんだ方の主治医になったことがあります。
術前の画像で肉腫を疑って
他の病院でセカンドオピニオンも受けましたが
ご本人が子宮摘出に同意できず（そりゃそうだ）
腫瘤のみ摘出後、顕微鏡検査で確定診断が出ましたが
それはもう、恐ろしく大出血する
怖い手術になりました。
一緒に手術に入ってくれた後輩が途中で
あまりの光景にフリーズしちゃって
「せんせ、この血、ほんとに止まりますか？」と
べそべそ泣き出したんですが
私こそ、止まるかどうか知りたかった。
嫌がる後輩を叱咤激励、
引きずるようになんとか終わらせましたけど
ああいう手術はしたくないですねー
患者さんがかわいそうだし、おしゃれじゃないし。
肉腫は血管が密に走っていて、それだけ取ろうと思うと
噴水みたいに出血します。怖いです。
今でも時々夢でうなされるくらい。
もう二度としたくない。
Q3.肉腫を疑われてセカンドオピニオンを
希望する人はどのくらいいますか？
肉腫は手術してしまうと
病気が一気に進む可能性があるので
私が肉腫を疑った場合は
事前に必ずセカンドオピニオンをお勧めします。
っつーか誰か執刀医を
代わって欲しい気持ちでいっぱい。こわいんで。
患者さんの今後に大きく関わる治療になるし
ほんとうのほんと～うに肉腫だったら
今現在の医療水準では
手術でできる限り根こそぎ取り切るしか
治る方法がありません。
抗がん剤もはっきり効くものがないし
放射線治療も無力です。
そう、マダムにも
相応の覚悟がいる。
それは、
いますぐ昔のラブレターを
焼き芋と一緒に焚火しろ！
レベル
名古屋大学あたりが
せっせと肉腫に効くかもしれない
抗がん剤の治験をしているようですが
その成果が実際に臨床の現場で
使われるようになるまで数年かかるでしょうし
今現在は見つけ次第、取り切る！しか術がありません。
お尋ねのマダムは幸いにも
最大の悲劇を免れたようで何より。
あとは久光製薬の誇るエストラーナでも腹に貼って
残りの約５０年を楽しく暮らそ。
わたしもそうする。