婦人科便り227 いつ手術をするのか問題 ① チョコレート嚢胞 その1 | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

自力で発電中。

全国のマダムの底力を信じる。

ネタの仕込み、よろしく頼み申す。

 

さて、いつするの、今でしょ

と某予備校の名物教師が言ったのは記憶に新しいが

実際問題、手術っていつ決心するの?というのは

ムズカシイところがありますね。

誠に勝手ながら手術の時期について

私的解説をしたいと思います。

要するにネタが尽きたってことです。

 

困ったときに手術をするのが

一番ありがたみを感じられると思うのですが

ちっとも全然全く

な~んにも症状がない or   薬飲んでりゃ収まる

的なマダムは

なっかなか決心がつかないと思うのが

 

チョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)

 

で、あります。

 

チョコレート嚢胞の問題は

① がん化する

② 不妊の原因になっている・・・かもしれない

という2点なので、それを

分けて考えないといけません。

 

これに生理痛や下腹部痛、性交痛が絡んでくると

話がより複雑になるのでひとまず

痛み問題は横に置いておきます。

痛い人、ごめんね

 

チョコレート嚢胞は大体早い人では20代から発症

卵巣に血豆ができて、生理のたびにそこから出血

だんだん大きくなって、周りとくっ付き始め

40歳以上からがん化の率が高まってきます。

全年齢でみると、

がん化の率は0.7%と言われているんですが

40歳以上で20代の13倍の確率になってくるらしく

このギョーカイ、100人中数人程度の病気は

「ちょくちょく見かける」レベル。

目安としては

「チョコレート嚢胞 一番長い径が4センチ以上」で

手術を強くお勧め。

ちなみに50歳、チョコレート嚢胞10センチ、だと

50%ががん化するとも言われていて

まあ怖い病気です。

しーかーもー

抗がん剤が効きづらい、

「明細胞腺癌(=clear cell carcinoma)」

に変化しやすく、かつ

卵巣がんの初発平均年齢が62歳であるにも関わらず

ほぼ10年ほど早く発症。

現役バリバリ、まだまだ元気で

世のため人のため自分のために働ける人たちの

自由を奪う、恐ろしい疾患なのであります。

 

以前もこのブログのどっかに書いた

(ほんと無責任)んですが

チョコレート嚢胞の悪性転化あるあるは

 

閉経後はチョコレート嚢胞が消えると言われて

手術を勧められたが逃げ回り

無事に閉経を迎え、婦人科を受診したら

こないだまであったチョコレート嚢胞が「消えた」。

嬉しくてしばらく婦人科受診をやめていたら

急にお腹が苦しくなって

閉経後3年目くらいで

卵巣がん発覚。結構でかくて病期も進んでいるらしい。

 

というストーリー。典型的。

 

そう、チョコレート嚢胞の怖いところは

閉経後、運がいい人はそれで治っちゃうのだが

がん化する直前にいったん

 

すっと

 

消える

 

ホラー~~~~~~

 

仲良くなったマダムを

この病で失ったことがあるワタクシ

見つけ次第即刻手術を申し付けるのは

そんなこんなの悲しい自分史から、であります。

 

こういった時の医者の言うことは聞いておくもんです。

 

よく、「手術したいからだけやろ」

とか言ってくるマダム、おられますが

究極のところ、マダムの手術を一つ増やしたところで

サラリーも上がらなければ

何かの勲章になるわけでもなく

 

ただただ

 

あんな目に二度と遭わせてなるものか

 

という一心で手術を勧める場合もあるわけなので

そこらへんの見極めは

やはりマダムの一つのたしなみとして

女の勘を働かせてほしいものです。

 

まるぽこ。嘘、つかない。

 

とりあえず人の話はよ~と聞け。

どんな気持ちで手術を勧めているのか

全集中で聞いてほしい。

聞いた挙句に別段、それならそれでどんと来い!

・・・と、思えたならそれも選択肢の一つだけれど

できる限り予防できる運の悪さとやらは

さっさとそうしておいた方が

人生が楽しいのではないかと

勝手に思いますです、ハイ。