婦人科便り205 術前カンファレンス | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ありがとうございます。

 

医療系ドラマはいろいろありますが

見てきた中で割と現実に近いのは

コウノドリ

ファンタジーだなと思っているのは

ドクターX

でしょうか。

あと初期の頃のER、あれは良かった。

 

 

さて素朴なご質問来た。

 

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Q.

大学病院ではやはりオペ前に主治医だけでなく複数の医師が集まって、

術法等についてカンファレンスを行っておられるのでしょうか?

 

A.

大学病院でなくてもどこの病院でもたいてい

こういった「寄合」的な話し合いはするYO

だって一人でするのが怖いんだもん。

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例えば総合病院でも婦人科が2~3人しかいないと

四六時中、患者さんたちのことについて話し

(っつーか、他に話題があんま、ない)

情報を共有しているため

構えてカンファレンスをこの時間にしよう、ってのが

ないところもあるかもだが

私調べでは4人以上常勤医が在籍している場合

術前カンファレンスをスケジュールの中に組んでいるところが多い。

 

他の大学のことはちょっとよくわからないが

私が在籍していたところでは

お昼から夕方までずーーーーーーーーーーーーっと

カンファレンスという名前の「つるし上げ」が行われており

術前のみならず、術後やその他のやらかしちゃった案件まで

詳細に俎上に上り

文字通り解体される鯛のような気持ちを味わっていた。二度とやだ。

 

しかもやらかした後輩の分まで

盾にならねばならず、

満身創痍だYO。

 

まあ、最近では医学の分野も専門分野が細分化されており

同じ婦人科といえども細かく専門が分かれているため

お互いに情報のすり合わせというか

ある程度同じジョーシキで仕事をしよう、という姿勢は大事。

皆それぞれ生命活動に忙しく

かつ、大学病院は忙しさに皆、サバンナの獣のような

殺伐とした状況下におり、

強制的に集めないと話がなかなか進まないので

カンファレンスは必要悪と思われます(ないならない方が気楽だが)。

それに、ときどーき、まれーにマッドな医者もいるからねー

マッキンリー単独登頂、みたいな挑戦を

誰にも内緒で計画されても困る。死人が出るやん

 

ただ個人的には欠点をあげつらい

してしまったことへの懲罰的対応はいかがなものかと思っているので

もう少し、建設的な話し合いを希望、しま~す。(ちょっと小声)

毎回カンファレンスの前後で体重が1~2キロ減っていたので

かなりのストレスだったなあとしみじみ・・・

 

事件は会議で起きるんじゃない

現場で起きるんだ!(古)

 

医療事故、医療ミスってのは

故意に起こすものではなくて

ある程度の知識と技術をもって

よし、できる!やれる!と確信したものを行う中で

ひょんなことから起こってしまう、悲しい出来事

を指すのでありまして

一般的に思われているような

医者が「わざと」やっちまう的なことは

本来、医療事故、医療ミスとは言わず

傷害事件・殺人未遂であり、

患者さんが亡くなられれば殺人事件なのであります。

 

そういった事故やミスを未然に防ぎ

たまにいる頭おかしい医者の所業を予防するためにも

そして自分の見落としや考え違いを是正するためにも

お互いの意見をすり合わす、

カンファレンス(=寄合)はしないとだめだ!とは

認識しております。

 

適宜、やりますやってますー 誓